白内障手術を受けるオススメの時期・タイミング5選

「そろそろ白内障の手術をしたほうがよいですか?」「どのような状態になったら手術をしたほうがよいですか?」など、患者さんからの質問はよく受けます。答えは以下の通りです。

  1. 見えにくさを自覚し不便を感じたとき
  2. 運転される方で免許に通らない視力にまで下がりそう・下がったとき
  3. 手術しないと後々の手術が非常に難しくなる場合
  4. 手術しないでおくと合併症を引き起こす可能性がある場合
  5. 身体が元気なうち、認知症が始まる前

白内障とは?白内障手術とは?という人は下記記事を参考にしてください。

目次

白内障があっても視力のよい人はいる

まずはじめに、白内障があっても視力のよい人はたくさんいます。白内障があって視力が低くても、全く不便を感じてない人もいます。

そのような人は必ずしも手術を受けなくてよいです。

ただし、運転する人は手術を受けてください。運転するのに視力が低い人は、自分の運転の危なさで自身も危険であるだけでなく、加害者となって周りの人を不幸にする可能性もあります。

さて、

日常で必要としている視力は人それぞれです

視力が0.3程度でも、運転もせず自宅内メインで生活している人などには、必ずしも治療は必要ないです。その人にとってはその視力(数値としては低いですが)で、充分生活できているからです。

そもそも医者は患者が望まなければ治療法を提供することはできないので、本人が治療を受けるつもりがなければ始まりません。手術を検討している方は、是非以下のことを確認してみてください。

手術をうけるべきタイミング

白内障手術を受けるオススメのタイミングは、冒頭に記載した以下の5つです。

  1. 見えにくさを自覚し不便を感じたとき
  2. 運転される方で免許に通らない視力にまで下がりそう・下がったとき
  3. 手術しないと後々の手術が非常に難しくなる場合
  4. 手術しないでおくと合併症を引き起こす可能性がある場合
  5. 身体が元気なうち、認知症が始まる前

それぞれについて書いていきます。

見えにくさを自覚したとき

白内障がそれなりにあっても視力が1.0以上でている人はたくさんいます。1.0あれば数値的には免許も全く問題ないし、よく見えてるから治療は必要ないと思うかもしれません。

しかし白内障の症状は視力低下だけではありません。光の乱反射でかすんで眩しく見えたり、それに伴い眼精疲労を起こす可能性があります。視力は良いけど見にくいと感じ、見え方が悪いことで疲れてしまう状態です。

医療者側からすると、視力が低い状態の人が手術を受けて視力が上がれば、視力という数値から客観的に改善したと判断でき、手術を受けた本人の満足度も高いことから、どちらかというとそのような人に手術を勧めます。

視力がよく、かすみなどの自覚症状だけの人は、手術後の症状が改善したかどうかも自覚症状でしか判断できません。元々視力がよいので、手術しても視力の数値自体はあまり変化しません。つまり、客観的には判断できずご本人の自覚のみで手術の結果が決まるわけですね。

したがって、そのような人に対しては、医療者側も人によっては「まだ視力もいいからやらなくていいよ」と手術を勧めないこともあります。しかし、白内障が原因で見えにくいと確信できる場合は手術を検討すべきであるし、受ける側も手術を受けてよいと思います。

ただし、手術に限らず医療行為には合併症は付きものなので、リスク&ベネフィットで考えたほうがよいです。

運転免許の視力基準に満たないとき

白内障で視力が下がって運転免許が更新できなくなっては困りますので、今後も運転をする予定の人は、手術すべきです。

視力が免許更新の基準以下で、運転をしている人はしばしばいらっしゃいますが、そのような人にはこちらからも手術をお勧めます。その理由は、

  • そのままの視力では次回免許更新ができなくなるから
  • 低い視力で運転することは危険であるから

です。

高齢者の運転の事故が増えているなかで、免許に通らない視力で平然と運転されている人を見つけて放置しておくのはいかがなものでしょう、という話です。

視力が低ければご自身が交通事故に合う可能性も上がりますし、それで他人が巻き込まれる可能性もあるります

運転免許の基準は、通常のものであれば片眼0.3ずつ、両眼で0.7以上の視力です。

運転するのに視力が低い人、見えにくさを自覚している人がご家族いる場合は、是非手術を勧めてあげてください。

後々の手術が困難になる、強い白内障があるとき

続いて医療サイドから勧める症例についてです。

一つは白内障がそれなりに進行している人です。視力が良くて、見え方に困っていなくても、結構白内障が進行している人はいます。そのような人は、早めに手術しておいてよいです。

現在一般的に行われている白内障手術は、局所麻酔(痛み止めの目薬のみ)で、10分前後で終わります。

しかし、進行しすぎた白内障だと、難易度があがり時間が多くかかります。時間が多くかかると、それだけ目の負担も大きくなり、手術後の見え方の改善が乏しくなる可能性があります。

また、通常の白内障手術では対応できない場合は、大病院へ紹介となったりと、いろいろと大変になることが多いです。進行しすぎている白内障は手術自体が難しいので、手術をやりたがらない医師も多いです。

日本では簡単に医療機関を受診でき、治療を受けることができますので、進行しすぎる前に手術することをお勧めします。

他の目の病気を引き起こしてしまう可能性があるとき

水晶体(白内障になるレンズのこと)があるだけで、他の目の病気のリスクになる人がいます。よくあるのが、前房が狭い人の急性緑内障発作です。前房というのは、目の中のスペースのことで、つまりは目のスペースが狭い人、目が小さい人、遠視の人に多いです。

急性緑内障発作は、発症するまでは緑内障は全くありません(多少ある場合もあります)。しかし、発症すると非常に急激に進行して、程度にもよりますが放置するとすぐに失明します。

まったく見え方も困っていなくて何も症状もない目から、数日にして視力を失ってしまうという状態になり得るのです。こんな恐ろしい状態、放置したいと思いますか?

このような人は自覚症状がないため、たまたま関係のないことで眼科受診したときに見つかります。白内障による症状は何もないので、いきなり言われてもなかなかピンと来なくて、手術しなければならない理由が伝わりにくいです。

また、このような人は、普段内科などで出される薬も飲めないものが多くなります。(緑内障の人には使えない、という薬は数多く存在します)

「緑内障(りょくないしょう)になりそうだから、白内障(はくないしょう)手術をしましょう」と言われたら、なんのこっちゃと言わずに、是非納得できるまで質問して、そのうえでご検討いただければと思います。

認知症になる前、身体が元気なうちに

白内障手術は基本的には局所麻酔(意識がある状態)で手術をしますので、じっとできないと手術が難しくなります。

認知症が進行してくると、局所麻酔での手術が難しくなってきます。全身麻酔で手術を対応できるところもありますが、小さい規模の医療機関では難しくなります。

また、視力低下自体が認知症と関係し、認知症を悪化させる可能性があります。視界がはっきりしていない状態だと、活動量も低下し、ボケやすくなりそうなのは何となくわかりますよね。

白内障は加齢に伴いでてくる病気であり、基本的に高齢になるほど、進行した白内障になっていきます。

まだ見えるから手術はしたくない

というのは確かにわかりますし、それでよい場合も多いですが

もう少し見えにくくなって手術を受けたほうがよいくらいの視力になったときに、身体が元気な状態でないと、医療機関にかかるのも手術をうけるのも大変です。

したがって、ある程度の年齢になったら手術を受けておく、というのも一つの方法だと思います。

もちろん、身体の病気があるかないか、健康的であるかどうかで変わってきますが、70代後半~80代の人は後々のことを考えて、今それほど困っていなくても手術を受けてよいと思います。

まとめ

  1. 白内障が原因で見え方に困っている人(視力問わず)
  2. 運転免許の基準視力に満たない人(片目0.3ずつ、両目で0.7以上)
  3. かなり強い白内障がある人
  4. 緑内障発作などの怖い合併症が起こりやすい人
  5. 身体が元気なうち、認知症になる前に

以上、白内障手術のおすすめ時期についてまとめました。

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