近視の度数による分類 強度近視・病的近視

日本における近視の屈折値による分類のまとめ記事です。

また、病気を引き起こす病的近視についても、度数の目安や、引き起こす合併症について記載しました。

現代社会では近視のほうがメジャーになってきています。あなたの近視はどれくらい???

目次

近視とは

近視とは無限遠の像が網膜より前方(硝子体側)に結像する屈折の状態

有限距離(無限遠より手前)のものは屈折により網膜上に結像するので、近視の度数によって位置は異なりますが、近視の人は有限距離が見やすいです。(近視度数が強いほど、近くが見やすくなり、遠くが見にくくなります)

近視は基本的に眼軸(目の奥行の長さ)が長いことで、網膜より前方へ像が結像してしまう「軸性近視」が多いですが、角膜疾患や核性白内障など眼軸は正常でも屈折力が強いことで網膜の前方へ結像する「屈折性近視」もあります。

  • 屈折性近視
    :角膜、水晶体のでの屈折力(カーブの強さなど)が強く、網膜の手前に結像する状態
  • 軸性近視
    :角膜、水晶体の屈折力(カーブの強さ)は変わらないが眼軸が長く網膜までの距離が長いため結果的に網膜の手前に結像する状態

近視の分類

屈折値によって以下のように分類されます。

  • 弱度近視(~-3D)
  • 中等度近視(-3D~-6D)
  • 強度近視(-6D~-10D)
  • 最強度近視(-10D~-15D)
  • 極度近視(-15D~)

度数の逆数にピントが合っている状態で、-3Dなら1÷3で0.33m=33cmで手元33cmが見やすい状態です。-6Dであれば1÷6=0.166m=16.6cmにピントが合っています。ピントの合っている位置から遠ざけると、文字などはぼやけてしまいます。

実際の臨床ではこれらすべてを度数で分類してわざわざ表記したりはせず、近視が強い人を強度近視と表記する程度かと思います。

近視は軸性近視が基本のため、近視が強ければ強いほど基本的に眼軸が長く(目が奥方向に長く)引き伸ばされており、その眼球が引き伸ばされた影響に伴う合併症が生じやすくなってきます

病的近視の度数

眼軸が長い影響で眼球が変形して奥のほうに引き伸ばされ、その結果、網膜・脈絡膜・視神経などに病的な変化を生じ視機能に影響を及ぼす状態を病的近視といいます。

病的近視は-8D~と言われています。

強度近視の途中からそれ以上の屈折値の人が該当していますね。

また、病的影響を及ぼす目安は年齢によっても少し変わり、年齢別では

  • 5歳以下 -4D以上
  • 6~8歳 -6D以上
  • 9歳以上 -8D以上

となるようです。

病的近視は近視が強くて生じる病気であるため、近視進行が進む近代社会では病的近視による視力喪失が増えており、その観点から近視予防の研究が行われています。病気を起こさない軽度の近視であれば、日本であればメガネやコンタクトで矯正することができる社会であるため、大きな問題ではありません

近視による合併症

たくさんありますが、以下のものがよく知られていると思います。

  • 裂孔原性網膜剥離
  • 開放隅角緑内障
  • 核性白内障
  • 網膜分離症
  • 黄斑円孔網膜剥離
  • 近視性脈絡膜新生血管
  • 網脈絡膜萎縮
  • 固定内斜視

それぞれ簡潔に書いていきます。

詳しくは参照リンクがあるものはそちらをご覧ください。

裂孔原性網膜剥離

近視は眼軸が引き伸ばされ、それに伴い目の内部構造も引き伸ばされるため、網膜は引き伸ばされて薄くなります。

その薄くなった網膜に穴が開き、網膜剥離となることがあります。

開放隅角緑内障

近視は緑内障のリスクとなります。この場合のリスクは、開放隅角緑内障という慢性タイプの緑内障です。徐々に視野狭窄が進むタイプで、ずっと眼科通院をする必要があります。

逆に、急性に発症して起こる緑内障(急性緑内障発作)は遠視の人(眼軸が短い人)に多く、言ってしまえば近視も遠視もタイプは違えどどちらも緑内障のリスクがあるということになります。

遠視の人は閉塞隅角「緑内障」で、治療は「白内障手術」です。

核性白内障

白内障は眼内にある水晶体というレンズが汚れた状態を指す病名です。

汚れ方は多種多様であり、いろんな種類の白内障があります。そのうちの、中心部(核)が詰まって密度が高くなって濁るのが核白内障です。

近視の人は核白内障になりやすいです。

また、核白内障は中身の核が濃くなる白内障なので、屈折率が高くなり、結果的に「屈折性近視」の状態も引き起こします。

網膜分離症

近視性黄斑牽引症候群というものにも分類されます。

近視に伴い眼軸が伸び、それにより網膜が引き伸ばされ、さらに硝子体からの牽引、構造上の牽引が網膜にかかり、網膜内部で網膜が引きちぎれて分離する状態を網膜分離といいます。

網膜全層に穴があくのではなく(こちらは網膜剥離へ進行するパターン)、網膜内で分離している状態です。

近視によらない網膜分離症もあります。

黄斑円孔網膜剥離

こちらも網膜分離同様に、近視性黄斑牽引症候群に属します。

牽引により中心窩の網膜外層まで穴がつながって黄斑円孔となり、その網膜の下に液体がたまり(網膜剥離)、その状態を黄斑円孔網膜剥離といいます。網膜下液から始まって黄斑に穴があき黄斑円孔網膜剥離となるパターンもあります。

通常の黄斑円孔からなることは普通はありません。通常の黄斑円孔は円孔ができたときに硝子体による牽引は取れてしまっているからです。

近視性脈絡膜新生血管

近視性黄斑症という分類にも入ります。硝子体牽引は関係ありません。

近視による眼軸伸長で、ブルッフ膜が断裂しlacquer clackというものが形成され、そこから脈絡膜新生血管が発生すると考えられています。

治療は抗VEGF薬硝子体注射です。

網脈絡膜萎縮

これら網膜が伸展させられている環境下で、網膜脈絡膜が痛んで萎縮してしまった状態です。

萎縮した網膜は機能せず、視野障害となります。

固定内斜視

近視が強すぎて眼軸が長すぎることで、目を包んで存在する外眼筋との位置関係に影響がでてきます。

後ろに長くなってしまった眼球の、後方部分が外眼筋のすき間からはみ出してしまい、挟まってしまうことで生じます。

強度近視程度での近視ではあまり生じず、-15D~-20D以上の軸性近視の人が多い印象です。

まとめ

近視による度数の分類、病的近視の度数、病的近視による目の病気・疾患を説明しました。

  • 近視は眼軸が伸びて目の組織・構造が引き伸ばされる
  • 強度近視は-6Dから(手元16.6cmより近くにピントが合う)
  • 病的近視は-8Dから(手元12.5cmより近くにピントが合う)
  • 病的近視はさまざまな網膜疾患を引き起こす

病的近視で強い網膜障害をきたすと、強い視力低下の後遺症が残ることがあります。

視覚障害者手帳の原因疾患としても、トップではないですが重要であり、そのために近視抑制・予防がよく研究されていたりします。

近視が強すぎる人は(強度近視以上)注意ですが、軽度の近視の人はあまり心配する必要はありません。

自分の近視はどの分類でしたでしょうか。度数を知らない人はメガネ店や眼科で確認してもらってもいいかもしれません。

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