変視症(へんししょう、metamorphopsia)とは、物がゆがむようにして見える症状をいい、歪視(わいし、anorthopia)と同義です。
多くは網膜の病気で、正常な網膜構造がくずれているときに自覚します。
特に網膜の中心である黄斑部に異常をきたす疾患や、その治療後に残存することがあります。
変視症とは
物がゆがんで見える状態をいいます。歪視も同様の意味です。
基本的には目の病気があると、生じます。
多くは片眼性であり、片目を閉じて見るとよりはっきりとゆがみを自覚します。変視症を自身で検査する上では、カレンダーの縦横の線など、碁盤目状のものを見るとはっきりと自覚しやすいです。
以下の格子を見て、格子が格子として見えていれば問題ありません。(片眼ずつ見ましょう)
↓詳細はこちらでチェック
変視症の原因
多くは光を受けとる網膜の異常で起こります。
- 黄斑前膜
- 黄斑円孔
- 網膜剥離
- 加齢黄斑変性
- 中心性漿液性網脈絡膜症
- 糖尿病黄斑浮腫
- 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
- ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫
など
また、強い乱視あると自覚することもあります。
- 強い乱視
- 円錐角膜
など
変視症の検査
どれくらいゆがんでいるのかを評価する上で、アムスラーチャートやMチャートという検査を行います。
アムスラーチャート
検査方法は片目で、30cm程度の距離から中心の黒点をみます。格子状の線の見え方が変に見えるときは異常がある可能性があります。
また実際にゆがみを起こしている原因が網膜にないか、眼底検査を行います。(網膜の断面図の撮影を行うことがほとんどです。)
したがって、散瞳して眼底検査をするのが一般的です。
散瞳薬を点眼すると4-5時間は瞳が開きっぱなしとなり、見え方がまぶしく、ぼやけて、老眼状態になります。
眼科受診する際は、できるだけ自分で運転して来ないようにしましょう。(公共交通機関か、誰かに送迎してもらうなど)
変視症の治療
原因によって変わってきます。
- 黄斑前膜
- 黄斑円孔
- 網膜剥離
は基本的に手術治療となります。手術しても変視症が完全になくなることは多くはありません。多少見え方の異常が残存することが多いです。
これらは手術を行っている施設ではそこそこ件数があります。特に網膜剥離は急激に進行していくことも多いですが、網膜剥離が中心(黄斑部)まで及んでしまうと、術後綺麗に治っていても、中心がゆがんで見えるなどの後遺症を残します。
したがって網膜剥離が網膜の中心に及ぶかどうかぎりぎりの場合は、早めに手術を行ったほうがよいです。
- 加齢黄斑変性
- 糖尿病黄斑浮腫
- 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
- ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫
は基本的には注射治療となります。眼内へ注射する方法や眼球後方に注射する方法などがありますが、疾患によって対応が多少変わってきます。
- 中心性漿液性網脈絡膜症
- 糖尿病黄斑浮腫
はレーザー治療をすることがあります。
後遺症
変視症は治療を行っても完全には消えず、残ることが多いです。
もちろん気にならないで生活できるようになることも多いですが、後遺症として多少残ってしまう可能性があることをはじめから理解しておいたほうがよいと思います。
「一度でも網膜の構造・細胞が痛んでしまうと、その影響が残ってしまうことが多い」
という点が重要で、変視症を起こす網膜疾患は、網膜にその影響が及んでしまっているため、完全に元通りとはいきにくいのです。
まとめ
- 変視症は基本的に目の病気がある
- 網膜の中心である黄斑部に異常があることが多い
- 治療は手術・注射・レーザーなど疾患によって異なる
- 治療後もゆがみなどは多少残ることが多い
目の見え方の症状はいろいろあります。
病気であるもの、病気でないもの、どちらでもでるもの、いろいろあります。
他の症状に関してもまとめていますので、是非ご覧ください。
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