視力の定義と、20種類の視力について

「視力がよい」「視力が悪くなった」など、視力という言葉は見え方の質に関して一般的に使われていると思います。

ですが、その視力も実はたくさんの種類があります。

一般的に使われる意味での視力は

  • 静的視力
  • 遠見視力
  • 中心視力
  • 字づまり視力
  • 小数視力
  • 裸眼視力(眼科では最高矯正視力)

という意味を含んでいます。

目次

視力の意味

単純に視力(visual acuity)というとその意味は

  • 目で物体を識別できる能力

ということになります。視機能(視覚)は光覚、色覚、形態覚、視野、立体覚などに分けられ、このうちの形態覚は物体の形状を認識する眼の機能で、その鋭さの程度を表わすのが視力ということになります。

視力の定義

具体的な定義としては、

  • 2点を識別する目の能力のことで、2点を分離して見分けられる最小分離域のこと

日本で一般的に使われる小数視力は、最小分離域として最小視角(単位は分)の逆数で表します。(後述)

視力の種類、20以上

視力の分類は細かいものを含めたら20種類以上あります(もう少しあるかもしれません)。分類ごとに紹介します。

  • 裸眼視力、矯正視力、最高矯正視力
  • 遠見視力、近見視力
  • 中心視力、中心外(周辺)視力
  • 片眼視力、両眼視力
  • 字ひとつ視力、字づまり視力
  • 静止視力、動体視力
  • 深視力
  • 小数視力、分数視力、対数視力
  • 対比(コントラスト)視力
  • 夜間視力
  • 縞視力

裸眼視力、矯正視力、最高矯正視力

一番わかりやすい分類のひとつかと思います。

  • 裸眼視力→メガネ、コンタクトレンズを付けていない状態の視力
  • 矯正視力→メガネ、コンタクトレンズを付けている状態の視力
  • 最高矯正視力→一番見やすい度数でのメガネ、コンタクトレンズを付けている状態の視力

矯正視力と最高矯正視力の違いは、「一番見やすい度数のレンズを付けてでの視力かそうでないか」です。弱めのレンズを付けていても矯正はしている状態なので、矯正視力です。一方度数がずれてしまっているレンズを付けていても、それも矯正はしているので矯正視力です。ただし度数がずれている場合はレンズの度数を変えたほうがよいです。

眼科では基本的に最高矯正視力を測ります。「今一番でる視力がいくらか」がわかることで、病気の有無・状態などを簡易的に判断しやすいからです。初診時やたまに裸眼視力、現在の矯正視力を測ることもありますが、基本的な定期診察の方の場合は最高矯正視力のみ測ることが多いです。

これには良い点と悪い点があるので、以下の記事を参考にしてください。

遠見視力、近見視力

遠見(えんけん)視力、近見(きんけん)視力と読みます。

あまり馴染みはない言葉ですが、私生活においては重要な視力の分類です。要は、遠くを見たときの視力なのか、近くを見たときの視力なのかという話です。

  • 遠見視力→5m先での視力
  • 近見視力→手元30cmでの視力

私生活においては、遠くの視力も近くの視力も大切ですが、一般的な意味での視力は「遠くにある視力検査表が見えるか」ということになるので、遠見視力になります。

遠見での裸眼視力が低い場合はメガネなどで矯正する必要があります。運転などでは危ないので遠見視力の基準があります。

また、学校健診での視力も「遠くにある視力検査表が見えるか」を測っているので、遠見視力です。

一方、近くでの視力が低い場合、多くは老眼として自覚します。細かい字が見えないので本やスマホを見るとき、サインするときなどに困ります。近用メガネや拡大鏡があると見やすくなります。

静止視力、動体視力

動体視力という言葉は馴染み深いと思います。

  • 静止視力→止まっている物を止まって見ている状態の視力
  • 動体視力→動いている物を目で追って見ているときの視力

普段の視力検査は静止視力ということですね。

動体視力は静止視力よりはやや低くなり、動いている物の速度や年齢によって影響を受けます。

電車や車の窓から外の一瞬で通りすぎていく看板等の文字を認識すること、飛んできた素早いボールを目で追って認識すること、スロットマシンの回転している図柄を認識することなどが、動体視力です。

中心視力、中心外(周辺)視力

目線の中心で見ている視力と、目線の中心から外れた位置で見ている視力のことです。

  • 中心視力→目線の先(中心)での視力
  • 中心外視力→目線からズレた位置での視力

目の前の字を認識している状態から数cm視線をずらすと、さっき見ていた字ははっきりとは見えないはずです(目で追ってしまえば見えます)。それくらい中心の視力と周辺の視力は差があります。

中心窩視力(中心の中の中心)1.2の場合、視神経乳頭部では0.1程度、さらに周辺部では0.025程度となるようです。視線の中心にあたる部分の網膜とその周辺の網膜とでは、光を受け取る細胞の種類が異なるために差がでます。

片眼視力、両眼視力

言葉そのまま、片眼なのか両眼なのか、です。

  • 片眼視力→片眼で測った視力
  • 両眼視力→両眼で測ったの視力

基本的には両眼視力は片眼視力より良くなる傾向があり、両眼視力は片眼視力の√2倍(= 約1.4倍)程度よくなると言われています。両眼だから視力が2倍になるわけではありません。

しかし、目の状態によっては両眼視力のほうが下がることもあります。

字ひとつ視力、字づまり視力

子どもの視力検査のときに使う方法です。

子どもは通常の視力検査表のように、たくさん詰まっている表だと視力検査がうまくできないことがあります。子どもに視力検査をするときに、指標ひとつを持って検査する方法です。見えたら更に小さい指標を持って検査します。

  • 字ひとつ視力→1つの指標での視力検査、指標の大きさを変えて繰り返す
  • 字づまり視力→たくさんの指標のある標準的な視力検査表での検査
字づまり視力検査=通常の視力検査表での検査

引用:Vol.19 視力検査で1.0の次が1.1ではないのはなぜ?|NIDEK

字ひとつ視力検査

引用:字づまり指標と字ひとつ指標|キベベワールド

大人の検査は通常の視力検査、すなわち、字づまり検査で行います。

深視力

物体の遠近感、立体感、奥行き、動的な遠近感などを捉える目の機能の一つです。

運転免許の三桿法(さんかんほう)が有名です。(第二種や大型免許などで必要です)

小数視力、分数視力、対数視力

視力の数値をどのように表すかの違いです。

  • 小数視力→小数で記載した視力(0.1など)
  • 分数視力→分数で記載した視力(20/200など)
  • 対数視力→対数で記載した視力(logMAR 1.0など)

日本では小数で表すのが一般的です。

欧米では分数で表すのが一般的です。

研究データとして扱うときは対数視力で表記するのが一般的です。

小数視力の定義

小数視力=1 / 最小視角

視角とは、眼と対象物の両端とを結ぶ2本の線がつくる角度のこと。

視角が 1分(1度の60分の1)の場合は視力1.0、視角が10分であれば、視力0.1となります。

分数視力の定義

分数視力=検査距離 / 当該指標が視角1分になる距離

分数視力に使われる検査距離は、20フィートか6メートルです。

分数を小数に計算しなおした値は、小数視力と一致します。

対数視力の定義

小数視力も分数視力も視角の逆数、すなわち反比例する数値であるため、視力表の格段(0.1→0.2→…→1.0→1.2)は視力の実質的な「差」を表していません。

視力(VA: visual accuity)は分(60分の1度)単位での最小視角(MAR: minimal angle of resolution)の逆数で定義されています。すなわち

VA= 1/ MARとなり、これを変形していくと

MAR= 1/ VA ⇔ logMAR= log(1/VA)となります。

logMAR視力では、計算が行いやすい、データを扱いやすいという点で、研究や論文などで一般的に使われます。

夜間視力

夜間視力は昼の視力とは異なります。夜のほうが見にくいですよね?(運転のときなど)

光を受け取る細胞は、2種類あり、錐体細胞と杆体細胞があります。

  • 杆体細胞は、暗いところの弱い光にも反応し感受性が高いですが、視力は0.1程度で色の識別能はありません
  • 錐体細胞は、明るいところでの視力が1.0と優れ、色の判別ができるが弱い光には感受性がない(暗闇で働かない)

これらの影響から、夕方・黄昏時、錐体、杆体がともに働く環境での視力は0.2~0.7程度とされます。夜間(暗いところで)の視力のほうが低くなります。

対比(コントラスト)視力

通常測ることは少ない視力です。

普通の視力は、白の背景に黒の指標というように、対比がはっきりした状態での視力ですが、実際の世の中では色が徐々に変わるもの・景色も多いです。(山の中の木々たち、海の色の移り変わりなど)

似たような色を違う色と認識できるような視力が、コントラスト視力です。通常の視力検査が問題ないが見にくいと訴える人に測定してみるとよいです。

  • コントラスト視力→色の違いを認識できるかを測る視力

縞視力

黒と白のしましまを指標として測定する視力で、乳幼児にも行える検査です。(選択視法、preferential looking (PL)法として)

判別できる最小の縞の幅を視角に換算して縞視力を求めます。

MTF(空間周波数特性)はコントラスト感度検査として用いられ、MTFを求めるときに正弦波の縞を指標として使われます。

  • 空間周波数=単位長あたりの縞の本数、視覚1度あたりの縞の本数(cycle/degree)

まとめ

  • 視力は2点を分離して見分けられる最小分離域、最小視角の逆数
  • 一般的な意味での視力は、静的、遠見、中心、字づまり、小数、裸眼
  • 眼科では裸眼視力より最高矯正視力がメイン

以上、20種の視力に関してまとめてきましたが、もっと細かく言えばもう少しあると思います。

繰り返しですが、一般的に使われる意味での視力は

  • 静的視力
  • 遠見視力
  • 中心視力
  • 字づまり視力(字ひとつの機械もある)
  • 小数視力
  • 裸眼視力(眼科では最高矯正視力)

となります。

以上、視力特集でしたが、視力におけるその他のことも下記でまとめています。

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