帯状疱疹 眼合併症の頻度・発症率と考察

帯状疱疹のメインは皮膚科ですが、顔面に出現するタイプすなわち三叉神経が原因の場合は、顔面の皮膚だけでなく、眼球にも症状が出現することがあります。

したがって眼科医も帯状疱疹の患者はしばしば診ます。

また帯状疱疹ウイルスが原因の眼科超重症疾患に、急性網膜壊死というものがあります。

急性網膜壊死は、超重症です。

額、上まぶた、鼻付近に皮疹が出た場合は眼科受診もする、勧めるようにしましょう。

目次

総論

  • 帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の潜伏感染後の再活性化で生じる
  • 帯状疱疹の発生率と重症度は、加齢とともに増加する
  • 眼部帯状疱疹は三叉神経(第Ⅴ脳神経)節でのVZVが関与する
  • 眼瞼腫脹、結膜炎、強膜炎、ぶどう膜炎(前房炎症)が多いが、網膜炎(急性網膜壊死)や眼球運動障害など重症例やさまざまな合併症を引き起こす可能性がある

発症年齢

50-70代に多いです。

頻度

  • 眼部帯状疱疹は全ての帯状疱疹における10~20%程度を占める
  • 前頭部の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)は、約50%に眼合併症が出現する
  • 鼻毛様体神経(眼神経(V1)の枝)が関与する場合の4分の3、関与しない場合の3分の1、全体では約50%

→17.6%の約1/2とすると、帯状疱疹全体の8.8%程度に眼合併症が出現することになる

  • 顔面の帯状疱疹の2人に1人
  • 帯状疱疹全体の11-12人に1人

ということになります。

Hutchinson徴候

鼻背の皮疹(+)を、Hutchinson徴候といいます。

鼻背は前篩骨神経が関与します。(三叉神経→眼神経(V1)→鼻毛様体神経→前篩骨神経

鼻背までの皮疹+でHutchinson徴候ですが、鼻尖も前篩骨神経が関与します。

一方、鼻翼は上顎神経(V2)の枝(眼窩下神経)が支配します。(鼻尖も一部V2の眼窩下神経が関与するそうです)

(鼻尖、鼻背、鼻翼などの位置は下で確認を)

google画像検索「鼻尖 鼻背 鼻翼

播種性帯状疱疹

  • 通常帯状疱疹は神経領域に沿った範囲に同時期に皮疹が出現するが、その領域を超えた範囲で広がることがある
  • 正常人の約2%で、免疫不全患者においては15-30%程度で発症し、播種性帯状疱疹という

皮疹を伴わない場合(zoster sine herpete)

  • 特徴的な水疱疹を伴わない神経障害は、無発疹性帯状疱疹(zoster sine herpete)と呼ばれる

帯状疱疹は典型的には特徴的な皮疹を有しますが、それがない場合もあります。その場合は神経性疼痛のみが生じるようです。(これは皮膚の疼痛がある場合にのみ言うのかは不明)

失明するVZV感染症

最強最悪の眼科疾患、急性網膜壊死に注意しなくてはなりません。

急性網膜壊死では約半数が重篤な網膜剥離となり、失明を含めた重度の視力低下の後遺症を残すことが多いです。

急性網膜壊死は、帯状疱疹から生じることもありますが、関係なくても発症します。

眼部帯状疱疹の実際と考察

急性期の皮疹、眼瞼腫脹があるタイミングの症例においては、眼瞼腫脹が非常に強く、目が開かないくらいのことも多く、検査・診察自体ができないことも少なくないです。

眼瞼が全く開かない場合は診察しようがないですが、そこまでまぶたが腫れている場合の多くは、結膜炎は認めます。また、少量の前房炎症の存在(虹彩炎、毛様体炎、角膜内皮炎など)もしばしば認めます。

眼瞼の皮疹からの場合は、三叉神経領域と考えれば結膜炎や虹彩炎も発症するのは納得です。

さらに網膜炎となると、最悪の疾患「急性網膜壊死」ですが、これは

  • 前房内炎症が波及して網膜炎となるのか(播種性)
  • 脈絡膜を介して網膜炎となって発症するのか(播種性?)
  • そもそもの網膜、視神経(第2脳神経)が原因となって発症するのか

よくわかりませんが、少なくとも急性網膜壊死になると患眼全体の炎症となるので、三叉神経領域、視神経領域に感染は重複しています。(前房水PCRで陽性所見となる)

また、

  • 帯状疱疹に関係なくても急性網膜壊死は発症するので、その場合は無発疹性帯状疱疹(zoster sine herpete)となるのか?
  • また急性網膜壊死は反対眼にも続けて発症することがあり、この場合は領域を超えてしまっているがどのように考えるのか?(播種とも言い難いか?)

などと、疑問は尽きないのですが、よくわかりません。(調べ足りずすみません、が興味深いです)

まとめ

  • 帯状疱疹全体で、顔面の頻度は10-20%程度
  • 顔面の帯状疱疹の、約50%に眼合併症が生じる
  • 眼合併症の多くは前眼部病変(結膜炎、前房炎症など)
  • 後眼部に波及することもある(急性網膜壊死)

帯状疱疹ウイルスによる疾患で有名なものに、ラムゼイハント(Ramsay Hunt)症候群がありますが、これは顔面神経と内耳神経領域を同時に侵すことで生じる疾患ですが

ここからも急性網膜壊死を発症するパターンも症例報告では認めています。

帯状疱疹は神経領域に沿った発症が基本ですが、非典型的な例も多いな~と思うのでした。

眼部帯状疱疹|MSDマニュアル プロフェッショナル版

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