眼科 抗VEGF薬一覧・比較<費用・効果・副作用> 

2022/9下旬より未熟児網膜症にアイリーアの使用が承認されました。

眼科において使われる抗VEGF薬のまとめ記事を作りました。

眼科診療において抗VEGF薬は必須のものとなっています。

糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性、網膜静脈分枝閉塞症、などかなり一般的な病気に対して、今はなきマクジェンから、眼科疾患に承認疾患のないアバスチン、他、眼科で現在保険適応されている4剤の抗VEGFのまとめ記事になります。

※2022/09現在における抗VEGF薬情報です。

目次

抗VEGF薬の種類

ペガプタニブ(マクジェン®)

  • ボシュロム・ジャパン
  • 承認2008、販売中止2020/2-

既に廃盤の抗VEGF薬

ベバシズマブ(アバスチン®)

  • 世界初の血管新生阻害薬
  • 国内承認2007/4/18
  • 結腸がん、直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、乳癌、悪性神経膠腫など
  • 眼科領域では保険適応外

現在も他の抗VEGF薬が承認されていない眼疾患には使われたりする薬剤です。

現在も使われる保険適用外の薬剤(抗がん剤)

ラニビズマブ(ルセンティス®)

  • メーカー:ノバルティス
  • 国内承認2009/3/23
  • 薬価0.5mg 0.05ml 113702(2022)

適応疾患

  • 加齢黄斑変性(AMD)
  • 網膜静脈閉塞症(RVO-CME)2013/8-
  • 近視性脈絡膜新生血管(mCNV)2013/8-
  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)2014/2-
  • 未熟児網膜症(ROP)2019/11-

ROPへの使用は児の重症度と環境の観点から限られたところでしか行われていません。

眼科抗VEGF薬としての歴史も長く、適用疾患が多い抗VEGF薬

アフリベルセプト(アイリーア®)

  • メーカー:バイエル
  • 国内承認2012/9/28

適応疾患

  • 加齢黄斑変性(AMD)
  • 近視性脈絡膜新生血管(mCNV)2014/9/19-
  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)2014/11/18-
  • 網膜静脈分枝閉塞症(RVO-CME)2015/6/26-(CRVOは2013/11/22-)
  • 血管新生緑内障(NVG)2020/3/25-
  • 未熟児網膜症(ROP)2022/9-

NVGが承認されたのがありがたいアイリーア

ルセンティスに並ぶ抗VEGF薬の代表
効果はルセンティスよりやや強く特にAMD領域では好まれている

ブロルシズマブ(ベオビュ®)

  • メーカー:ノバルティス
  • 国内承認:2020年
  • 非感染性の眼内炎(IOI)が副作用として有名
  • 発症したときはSTTAを含む消炎治療、硝子体手術など

適応疾患

  • 加齢黄斑変性(AMD)2020/5/25-
  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)2022/6/20-

IOIのせいで大病院などを除いてそこまで広がらなかった印象。効果は強い分、副作用も多い薬剤です。

持続効果はあるが副作用がネック

ファリシマブ(バビースモ®)

  • 中外製薬
  • 薬価6mg 0.05ml 163894
  • VEGFとAng2の2つに働くバイスペシフィック抗体

適応(2022/5/25-)

  • 加齢黄斑変性(AMD)
  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)

効果の持続期間も長いとされ、ベオビュの欠点のIOIもない最新薬
まだ臨床データは少ない

眼科領域で承認済みの4薬剤

  • ラニビズマブ(ルセンティス®)
  • アフリベルセプト(アイリーア®)
  • ブロルシズマブ(ベオビュ®)
  • ファシリマブ(バビースモ®)

これらの比較表を作成しました。

比較表

眼科抗VEGF薬 比較表

モル数は分子量から単純に計算しました。

ルセンティス:アイリーア:ベオビュ:バビースモ=1:1.7:23:4 という結果に。

※薬効は分子数の数だけでなく、分子の構造や、半減期などいろいろ関係します。ベオビュの発売当初の宣伝ワードが26kDaの低分子量(使い方間違い)により分子数が多く長く効く、だったのでそのあたりを全ての薬剤で計算して比較してみました。確かにベオビュの薬剤成分量(モル数)は激多ですね。

まとめ

眼科領域の抗VEGF薬を簡潔にまとめました。

長い間メインで使われていたのが、ルセンティスとアイリーア、この2剤の使い分けなどがなされていましたが、持続時間の長い(注射回数が減らせる)と期待されたベオビュが登場し、効果は強いが眼内炎症の副作用が恐ろしく合併症副めフォローできる大病院以外ではあまり流行っていない印象。

バビースモはその点、期待ができる薬剤ですが、まだ登場して間もなく臨床データが乏しいなどの点があります。(使い始めての印象はあちらこちらからちょっとずつ出てきているようです。)

2強だった抗VEGF薬の多様化で、以前の2剤ではなかなか改善が乏しかった患者などに薬剤の変更などは試してみる価値があると思っています。

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