分子量〇kDa(キロダルトン)は間違い?相対質量と単位

とある薬剤関連を調べていて、分子量の比較などいろんな比較を書いていこうと思って調べていたら発覚したので紹介します。

  • kはキロ(×1000)
  • Daはダルトン

です。

目次

分子量に単位はない

これは化学を習うと学ぶはずなので、高校生は知っているはずです。

ですが新薬の紹介や、実験結果などに

「分子量〇〇kDa」という表記がなされているものがあります。間違いです。

分子量に単位はない

ダルトンとは

ダルトン(Dalton)は、分子や原子の質量の単位です。

炭素の同位体元素12Cの1原子の質量の12分の1と定義されています。

  • (〇)分子量60000
  • (✖)分子量60kDa

となります。

質量60kDaとすれば問題ありません。

単位の問題であって、値は分子量と等しくはなるようです。

ダルトンは質量の単位

分子量の意味

分子量は、ある分子を構成する各原子の原子量と原子数の積の総和として求められます。

たとえば

メタンはCH4という分子です。

Cは炭素原子で原子量12です。

Hは水素原子で原子量1です。

ということで、メタンの分子量は 12+(1×4)=16となります。

これは正解ですが、簡易的な分子量としての正解です。

同位体と原子量

世の中には原子番号が同じでも中性子数が異なる同位体が存在します。(これも高校で習います)

これによって同じ元素でも、質量が異なってきます。



よく使われるのが、炭素原子のCです。

Cは原子番号12で12Cが基本ですが、世の中の炭素の1%は中性子数が1つ多い同位体の13Cです。

さらには放射性同位体として知られる14Cもごくわずかにあります。

14Cの割合はごく一部なので無視できますが、13Cはそれなりにあるため炭素の原子量をまとめて求めると、12.01となります。

12Cの質量とその割合、13Cの質量とその割合を足したものを、12Cの質量で割って求めた、相対質量となります。相対値、すなわち比であり、単位はありません。原子量は「質量数12の炭素原子の質量を12としたときの相対質量」です。

分子量は原子量を元に計算しているので、同様に相対質量であり、単位はありません。

つまり

  • 分子量、原子量は相対質量であり単位はない
  • ダルトンは質量の単位

ということになります。


メタンの話に戻りますが

水素も同様に重水素(D)、三重水素などがあり、水素の原子量は1.008です。

結果、メタンの分子量も細かくは16.04となるようです。

まとめ

  • 原子量も分子量も相対値であり単位はない
  • Da(ダルトン)は分子1個の質量の単位
  • 数値的には分子量とDaは等しくなる

製薬会社の表記だけでなく、公式な薬剤情報にも「分子量〇〇kDa」などと書かれているので、驚きます。

kDaってなんだっけ?と言う感じでインパクト与えるためにやったのか、はたまた化学的知識がなくやったのか、真意は知りません。

抗VEGF薬の分子量の計算まとめています↓

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