脂腺癌 原因・症状・診断・治療について

脂腺癌(sebaceous gland carcinoma)について。

悪性腫瘍であり、頻度は少ないですが重要な疾患です。

  • 脂腺に発生する(マイボーム腺、Zeis腺)
  • 高齢、女性、上眼瞼に好発
  • 転移し、生命予後にも影響する
  • 治療は完全切除が基本
  • 霰粒腫とよく間違えられる
目次

概要・病態

眼瞼における脂腺は、瞼板内のマイボーム腺と睫毛根部のZeis腺(Zeiss腺)の2つがあり、これらの脂腺から生じる悪性腫瘍が眼瞼の脂腺癌である。

基本的には眼瞼発生であるが、皮脂腺が存在するところであればどこにでも発生する可能性がある。多くはマイボーム腺由来である。

眼瞼にある腺(下眼瞼のイラストは簡略)


欧米では非常にまれであるが、アジア、特に日本においては決してまれな疾患ではなく眼瞼悪性腫瘍の1/3程度を占める。一般には高齢女性の上眼瞼に好発するが、30~40代の症例や下眼瞼由来の症例も存在する。

耳前リンパ節、顎下リンパ節などの所属リンパ節への転移が最も一般的であるが、放置すると眼窩深部・頭蓋内浸潤、遠隔転移を起こすこともあるため、腫瘍専門医師のいる施設へ紹介するのが無難。

Muir-Torre(ミュア・トール)症候群(皮脂腺癌と消化器癌を合併する疾患)の一部の所見として認めることもある。

原因

大部分は皮脂腺での突然変異で生じ、遺伝性はない。

ミュア・トール症候群の一所見として認めた場合、常染色体優性遺伝する。

症状

眼瞼腫脹など

所見・診断

黄色~黄白色調の弾性硬な腫瘤で、初期は霰粒腫との鑑別が困難高齢女性の上眼瞼に好発する。

睫毛列に生じた場合は睫毛の脱落、腫瘤周囲に不規則に走行する口径不同な血管像などを認める。必ず眼瞼の翻転をし、瞼結膜の所見を確認する。

リンパ節・遠隔転移の有無、ミュア・トール症候群の消化器癌などを評価するため、全身の造影CTや、PET-CTなどを行う。

病理組織では、核異形成や核分裂像、泡沫状の胞体を持つ腫瘍細胞を認める。Oil-red O染色やSudanⅢ染色などの脂肪染色にて胞体が脂肪成分であることを確認する。

治療・予後

完全切除が基本である。切除は安全域(マージン)を取って切除する。

所属リンパ節転移がある場合は、リンパ節郭清を行う。

放射線療法は手術ができない症例などに行われることがある。一方、術前後の放射線療法にて成績がよかったなどの報告もある。

全身化学療法は一般には行われないが、姑息的に行われたり、マイトマイシンC点眼などの局所治療を行うことはある。

20%程度に転移・再発を認め、転移した場合の5年生存率は65%程度。(報告によりばらつきあり)

まとめ

  • 頻度は圧倒的に霰粒腫、麦粒腫のほうが多い
  • 脂腺癌は転移し死亡する可能性のある悪性腫瘍
  • 改善傾向がない眼瞼腫瘤、再発を繰り返す腫瘤は早めに専門病院に紹介を
  • また、切開手術をした際は必ず病理検査を
  • 病理での確定診断に至るまでに平均24カ月程度かかっていたという既報あり(霰粒腫と間違えやすい)

40代以降ぐらいで、霰粒腫かはっきりしないときは早めに切開、生検するのもよいかもしれません。

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