麦粒腫(hordeolum)について。
いわゆる「ものもらい」のことです。
概要・病態
麦粒腫は眼瞼に生じる急性化膿性炎症で、感染症です。
できる位置によって、外麦粒腫と内麦粒腫に分類されます。
- 外麦粒腫はまぶたの外側にできる
=睫毛根部にあるMoll腺(汗腺)、Zeis腺(脂腺)の炎症で生じる - 内麦粒腫はまぶたの内側にできる
=瞼板内にあるマイボーム腺=瞼板腺(脂腺)の炎症で生じる
→google画像検索「麦粒腫」(㊟目の画像が大量に出てきます)
原因
培養検査では黄色ブドウ球菌が検出されることが多いようですが、一般には臨床的に診断し、検体は取ることは少ないです。
外麦粒腫
Moll腺(汗腺)、Zeis腺(脂腺)の感染性炎症
すなわち、睫毛の根本の炎症であり、毛嚢炎・毛包炎と考えられる
内麦粒腫
Meibom腺(脂腺)の感染性炎症
マイボーム腺の開口部に生じる場合と、マイボーム腺の内部生じる場合がある。(感染部位がマイボーム腺内の開口部に近いか遠いかの違い。)
症状
眼瞼腫脹、腫脹部の発赤・熱感・疼痛・圧痛、結膜充血など
典型的には、「痛みがあるかどうか」は霰粒腫などとの鑑別になります。
所見・診断
外麦粒腫
睫毛根部や皮膚側に膿点が見られ、上記症状をを認める。
内麦粒腫
マイボーム腺開口部(睫毛よりも眼球寄り)、眼瞼結膜内部に膿点が見られ、上記症状を認める。
治療・予後
基本的に数日~1週間程度の間に、自壊・排膿され治癒します。後遺症は残らないことがほとんどです。
細菌感染のため、抗生剤投与を行うこともあります。基本的に局所治療でよいが、全身投与を行うことも教科書的にはあります。
部位から考えると、外麦粒腫に点眼はあまり意味がないです。(外麦粒腫は膿点が皮膚側、睫毛根部にあるため)
外麦粒腫には軟膏のほうが良いです。
経過を短縮する目的や、腫脹が強い場合には穿刺・切開排膿してもよいですが、自然に軽快するので自分はしません。
穿刺の場合は27G針などで穿刺し、綿棒などで圧迫して排膿します。
切開の場合は、皮膚側から行う場合は眼瞼縁と並行に(横切開)、結膜側から行う場合は眼瞼縁と垂直に(縦切開)行います。
鑑別
よくある鑑別として、霰粒腫があげられます。霰粒腫は、脂腺癌との鑑別も大事です。
まとめ
- 麦粒腫は、細菌による瞼の感染症
- マイボーム腺(脂腺)にできると「内麦粒腫」
- 睫毛根(汗腺)にできると「外麦粒腫」
- 基本的に、痛い
- 基本気に、排膿され自然に軽快する
クリニックなどでは非常に一般的に見る疾患ですね。
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