マキュエイドの出荷停止・在庫切れ?治療・手術はどうする?

さて、大変困ったニュースで、マキュエイドという薬剤が出荷停止となります。

半年程度は再開までにかかる見込みとのことです。

「確実に」いずれの病院も在庫が尽きていくでしょう。

ほとんどの眼科医、多くの患者さんに影響し得る事態です。

目次

マキュエイドの使用用途

マキュエイドの使用用途は以下になります。

  • 硝子体手術時の硝子体の可視化
  • 糖尿病黄斑浮腫に対する治療(硝子体内注射、テノン嚢下注射)
  • 網膜静脈閉塞症に対する治療(テノン嚢下注射)
  • 非感染性ぶどう膜炎に対する治療(テノン嚢下注射)

網膜静脈閉塞症に対する治療

網膜静脈閉塞症に対する治療は現在、抗VEGF薬(ルセンティス、アイリーア)が主体です。マキュエイドはそうそう使いません。難治性の場合に併用したりすることがある、程度です。

→困らない

糖尿病網膜症に対する治療

糖尿病黄斑浮腫に対する治療はさまざまですが、抗VEGF薬(ルセンティス、アイリーア、ベオビュ、バビースモ)やレーザー治療もあります。金額が高いためにマキュエイドを使用することもありますが、代用は利きます。

→医療者は困らない、患者は金額が高い治療しかできないので困る可能性あり

硝子体手術時の硝子体の可視化

網膜剥離や黄斑上膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症などの手術が硝子体手術です。硝子体は卵の白身のような透明なゼリー状の物質です。硝子体手術ではその透明な硝子体を切除し、必要に応じて網膜へ治療を行います。マキュエイドは白い粉末状の物質であり、硝子体にかけることで可視化し、手術を行いやすくします。慣れている術者であればマキュエイドの使用は必要最低限で済みますが、たぶん多くの術者は普通にマキュエイドを使っていると思います。

これは術者の腕と手術内容によりますが、やはり重症例などでは使えたほうが助かります。けど逆に言うと、使わなくてもできるような硝子体手術もそこそこあります。これを機に、硝子体術者の腕がみんなあがっていくか、できない人は衰退するかで、硝子体術者の腕が問われると思います。

→硝子体術者が困る

非感染性ぶどう膜炎に対する治療

ぶどう膜炎による黄斑浮腫に、抗VEGF薬は適応がありません。したがって治療薬として必須となります。もちろんマキュエイド以外の治療(点眼や内服など)もありますが、基本的には適応疾患の数、効果、価格、副作用などからマキュエイドは結構必要です。

→ぶどう膜炎関連が一番困る

代用品はないのか?

ケナコルトという薬剤が適応外使用として使われていることがよくあります。

効果としては同等で問題はないのですが、眼科用の薬剤ではないので院内での承認が必要など、使用にはルールがあります。

また、ケナコルトはベンジルアルコールで溶かされている溶液になります。(マキュエイドは粉末を生理食塩水に溶かして使用する)

特殊な操作をした上で、眼内(硝子体内)投与する方法もあるようですが、そのままでは基本的に硝子体注射は行えません。したがって、ステロイドの硝子体注射が必要な患者さんには、優先してマキュエイドを使うべきでしょう。

そして、眼科でマキュエイドは上記のように、結構頻繁に使われます。全国の眼科医が一斉にケナコルトを注文するようになると、ケナコルトも足りなくなるかもしれません。

使用の優先事項と対策

ということで、マキュエイドをできるだけ使わない方針にしないといけなくなりました。

使用する優先順位としては以下でしょうか。

  1. 硝子体注射が必要な例
  2. 非感染性ぶどう膜炎
  3. 重症硝子体手術
  4. 糖尿病黄斑浮腫

そして以下のような対策を取ることになりそうですね。

  • 網膜静脈閉塞症→使わない
  • 糖尿病黄斑浮腫→できるだけ抗VEGF薬を使う
  • 硝子体手術→できるだけ使わないで手術をする(簡便な症例に限る)
  • 硝子体投与が必要な例→マキュエイドを優先して使うしかない
  • その他では、ケナコルトを適応外使用で検討する

まとめ

  • マキュエイド出荷停止となる
  • ぶどう膜炎患者、硝子体内投与が必用な患者を優先して代用が利く場合は使用を控える
  • ケナコルトもあるけど使い過ぎないように
  • 早く出荷再開してください

vit surgeonのみなさん、マキュエイドを一切使わないで手術をするというテクニックを身につけるチャンスですよ。

なるべく早くの出荷再開を、心から願っております。

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