近視も遠視も緑内障のリスク つまり誰もが緑内障リスク?

日本における視覚障害者の原因の疾患第一位は、緑内障です。

日本ではこれを元に、

「失明原因の第一位は緑内障」

と一般的に言われています。(正しくは失明ではなく視覚障害者となった人の原因疾患の順位です。緑内障の分類の記載まではないので、統計的に多少のずれがある可能性はあります。例えば糖尿病からの血管新生緑内障での失明原因が多ければ、糖尿病の順位が上がるかもしれません)

さて、そんな緑内障ですが、緑内障は

  • 近視だとリスクが高くなる
  • 遠視だとリスクが高くなる

という、近視も遠視もリスクが高くなるという実情があります。近視なのか、遠視なのかという簡単な基準で考えてしまうと、ほとんど全ての人にリスクがあることになってしまいます。(実際には近視・遠視がある程度強いとリスクとなりやすいです。)

目次

緑内障で大事なのは眼圧

「眼圧が高いと緑内障が進行しやすい」

これはほぼ確実なこととなっています。

現在は眼圧以外にも、視神経周囲の血流などに注目され研究がしばらく前から行われていますが、ほぼ確実と言えるのは現在のところ「眼圧」のみであり、治療方法も眼圧を下げることがメインとなっています。(今後変わっていくかもしれません)

緑内障は眼圧が高いとなりやすくなる

近視で増えるのは開放隅角緑内障

近視で生じる緑内障の原因は、近視に起因します。(あたり前ですが)

近視は眼軸が長い(伸びた)状態です。

目が長く伸びると、目の構造が引き伸ばされ、網膜は薄くなり、視神経は変形し、構造的に目が痛みやすくなります。

そのような目に眼内圧が慢性的に(持続的に)目にかかることで、ゆっくりと進行していくのが開放隅角緑内障です。

日本人は、特にその中でも眼圧が正常範囲内(10-20mmHg程度)でも緑内障が進行する、正常眼圧緑内障が多いです。

近視では開放隅角緑内障(特に正常眼圧緑内障)がリスクとなる

遠視で増えるのは閉塞隅角緑内障

遠視で生じる緑内障の原因は、遠視に起因します。(あたり前ですが)

遠視は眼軸が短い状態です。

目の長さが短く小さいと、目の構造が密になります。密になると内部構造のスペースが狭くなり、眼房水の出口を塞ぐことで急激な眼圧上昇を引き起こし、緑内障を発症します。

近視と遠視はどちらも緑内障のリスクだけれど、なりやすい緑内障の種類が違うということです。

遠視では閉塞隅角緑内障がリスクとなる

緑内障の分類における割合

少し古いデータですが今もよく使われている多治見スタディ(2000-2002年)では

「40歳以上の緑内障患者は5.0%、すなわち20人に1人いる」とされています。その振り分けは

  • 広義の開放隅角緑内障が3.9%
    • 狭義の開放隅角緑内障が0.3%
    • 正常眼圧緑内障が3.6%
  • 閉塞隅角緑内障が0.6%
  • 続発緑内障が0.5%

とされています。「広義の開放隅角緑内障=狭義の開放隅角緑内障+正常眼圧緑内障」です。

正常眼圧緑内障は眼圧が正常範囲内ですが、狭義の開放隅角緑内障は眼圧が正常値より高い値で、それらをまとめて広義の開放隅角緑内障となります。つまり広義での開放隅角の意味は、眼圧には関係なく、隅角という眼房水の流出路が構造的に開いているかどうかで判断します。

2つの「×」のうち右側の「×」の部分が隅角

日本人の多くは正常眼圧緑内障なので、言ってしまえば眼圧の正常値(10-20mmHg程度)というのはあってないようなもので、あまり意味はありません。

あくまで基準として10-20mmHg程度とされていますが、実際には眼圧は「一人ひとりの目にとってその圧が高いのかどうなのか」が重要となります。

遠視における緑内障は予防できる

閉塞隅角緑内障は、発症する前であれば予防ができます。

早い段階で予防治療を受けることができれば、緑内障にはならずに済むことも多いです。

そのための根本的な予防治療が、内障手術です。(レーザー治療などでもある程度の予防はできます)

内障手術によって目の内部のスペースを広くして、急激な眼圧上昇・緑内障発症を予防することができます。

内障だけど内障手術なのです。

急激に眼圧が上がって急性緑内障発作を起こすと、そのときに傷んだ視神経は改善しません。視野異常が既に出ていれば、それは残ってしまいます。

また閉塞隅角でも急激な眼圧上昇が起こらないこともあります。慢性的な閉塞隅角があることで、眼圧がやや高い状態が長引いて慢性化しているパターンです。その場合、隅角が構造的に閉鎖しかけていて、白内障手術をしても閉鎖状態が改善せず、高い眼圧のままとなり緑内障の進行が続くことがあります。

なので、「早い段階」に適切に治療を受けることが大事です。

閉塞隅角緑内障は予防的治療ができる

近視における緑内障は進行を遅らせることしかできない

一方、近視タイプの緑内障、多くは開放隅角緑内障になりますが

こちらのタイプの緑内障は、発症したら進行を遅らせることしかできません。

予防はないのか?というと、あります。予防は眼圧を下げることになります。

<緑内障は眼圧が高いと進行しやすい>ので、「進行しにくくする=予防する」には、とにかく眼圧を下げたほうがよいです。

では、全国民の眼圧を下げて緑内障の進行を予防しますか?という話です。

これは現実的ではないので、しません。保険医療では無理です。(自費でしたい人はしてもいいかもしれません。)

前視野緑内障を予防治療するか?

基本的には、視野が悪くなった状態(光を感じにくい部分が出た段階)で、初めて緑内障と言います。現在は視野が悪くなる直前に網膜が痛んで薄くなっていることがわかり、視野異常がでていないけれど今にも出そうな状態を「前視野緑内障」といいます。

ここは意見が別れるところではありますが

個人的には未発症の緑内障(視野異常がない状態)、前視野緑内障の段階では、無治療でよいと考えます。なぜなら基本的に緑内障点眼は付け始めたら、中止することはなく、付けっぱなしです。「予防している」のですから、基本的に点眼を減らすことはありません。

その状態で視野異常がでてこなければ、それは

  • 点眼で予防しているから視野異常がでてきていないのか
  • そもそも点眼していなくても視野異常はでていないのか

判断できません。

また、単に網膜が薄くなっている人は大勢います。一つは加齢に伴うもの、一つは近視に伴うもの、一つは他の目の病気に伴うものなどです。

近視は緑内障と関係がありますが、緑内障がなくとも網膜は薄くなる傾向があります。構造上、引き伸ばされるからです。また加齢によっても網膜は薄くなりますし、過去に網膜血管障害などを起こした人はその領域の網膜が薄くなっていたりします。

こう考えると、本当に緑内障と関連して網膜が薄くなったのか、という判断が大切になってきます。

これが緑内障による変化で、もう少ししたら視野障害がでてくることが確実である場合で、その人がまだ若い場合などは、点眼治療を開始して眼圧を下げることも考慮しますが、

そうではない場合や、それが確実に緑内障による変化だと判断できない場合、点眼してもそれは無駄な医療費、患者負担を今後ずっと強いることになりますし、実際そこまでの判断ができている医師は、専門の一部の医師を除いて、多くはないと思います。

意見は別れるが個人的に、基本的には経過観察

今後増えていく緑内障はどっち?

開放隅角緑内障が増えると思われます。

理由は、近視人口が増えているからです。

近視人口が増えるのであれば、近視が原因でなりやすい緑内障が増えると考えるのが妥当ですので、そう推測されます。

結局、リスクが高いのはどっち?

近視と遠視では、緑内障のタイプが違うので単純にリスクを比較することはできません。

しかし近視人口が増えていく中、今後増えていくことは開放隅角緑内障だと思われます。

そうなると、治療対象となる緑内障も、開放隅角緑内障すなわち近視が原因の人が多くなっていくと思われます。

そういう意味においては、多くの人にとってなりやすい緑内障が開放隅角緑内障という点で、近視のほうがリスクがあると言うこともできるかもしれません。

また、近視において増える目の病気は緑内障だけではありません。以下では近視における病気を簡潔にまとめています。

このような点から、近視進行を抑制することが、緑内障発症者を減らす予防法の1つになり得ます。

まとめ

  • 近視は隅角緑内障のリスク
  • 遠視は隅角緑内障のリスク
  • 近視人口が増加に伴い開放隅角緑内障が増えると考えられる
  • その点で、近視による緑内障が増えるので近視のほうがリスクが高いとも言える

じゃあ正視(近視と遠視の中間)はどうなのか?という話ですが、リスクは下がると思われます。

近視・遠視ともに度数が強いほどそれによる目の構造上の変化も大きいので、度数が小さい近視や遠視、ちょうど真ん中の度数である正視はリスクが低いかと思われます。逆に近視・遠視が強い人は、40歳前後に一度眼科での検査を受けたほうが安心かと思います。(※遠視の人に開放隅角緑内障がない・近視の人に閉塞隅角緑内障がない、というわけではありません)

結論、全国民が緑内障のリスクというわけではないですが、近視・遠視がそれなりにある人はリスクはやや高くなります。また、正視でも他のリスクから緑内障になりやすい人もいます。

つまり、40歳ぐらいからたまに眼底検査も受けようね、ということです。

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