眼鏡処方箋とは?通常の処方箋との扱い・法律の違い

メガネを作成するとき、方法は大きく2つあります。

  • 直接メガネ店に行きメガネを作成する方法
  • 眼科で眼鏡処方箋をもらいそれをメガネ店に持っていき作成する方法

どちらが良いかについては、小さいお子さんや目の病気がある人は眼科受診の上相談したほうがよいですが、それ以外は基本的には直接 メガネ店で作成で良いと思います。

今回は「眼鏡処方箋」というワードについて調べてみました。通常の処方箋との扱いの違いや、法的根拠などに関してです。

目次

処方箋とは

処方箋とは、薬の使用方法(薬剤名、服用量、投与方法など)が記載された書類です。医師、歯科医師、獣医師が発行でき、その処方箋を用いて薬剤師が調剤します。

「処方箋」とは、医師が患者さまの病気の治療に必要なお薬の種類や量、服用法が記載された書類です。

処方箋とは?|日本調剤

処方箋(しょほうせん、英・仏: prescription, 独: Rezept)とは、診療所や病院などの医療機関にて診察を受け、医師、歯科医師、獣医師が医薬品を処方するために、薬の種類とその服用量、投与方法などが記載された薬剤師が調剤に用いる文書である。一般に、処方箋医薬品はこの処方箋がなければ入手することはできない。

処方箋|ウィキペディア

これらからわかるように、処方箋とは薬(くすり)の指示書です。

医師には処方箋交付義務があります。処方箋交付は医師・歯科医師・獣医師にしかできない業務独占であり、医師法に明記されています。

第二十二条 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。

医師法|e-GOV法令検索

医師法に書いてある「処方せん」というワードは、薬に対してのみです。

眼鏡処方箋というワードは記載されていません。

過去の通達などを探せばあるかもしれませんが、法律上に「眼鏡処方箋」の記載はないということです。

処方箋の交付等に関連する法令の規定(PDF)|厚生労働省
医師法|e-GOV法令検索

・処方箋は薬の種類・用量・用法などを記載したもの

眼鏡処方箋とは

眼鏡処方箋は、レンズの度数・瞳孔間距離(左右の目の距離)・使用方法(常時使用、必要時使用)などが記載されている、いわばメガネの設計図みたいなものです。(通常フレームのことは記載していません)

しかし先ほど述べたように、医師法に書いてある「処方せん」という言葉は、薬に対してのみです。眼鏡処方箋というワードは記載されていません。過去の通達などを探せばあるかもしれませんが、法律上に「眼鏡処方箋」の記載はありません。

つまり扱いとしては、法律上の意味のある処方箋ではなく、何の法的効力もないただのメモ書きです。

薬の処方箋と眼鏡処方箋の使い道の流れは以下のようになります。

  • 薬の処方箋は、医師(医療従事者)が発行し、薬剤師(医療従事者)が薬を調剤する
  • 眼鏡処方箋は、眼科医(医療従事者)が発行し、眼鏡店(非医療従事者)が眼鏡を作成する

薬は医療品であるのに対し、眼鏡は医療品であるとともに日常生活用品です。眼鏡が医療・治療として使われるケースは多くはなく、単純な近視や乱視などの見え方の改善のための日常生活用具としての意味合いで使われることのほうが圧倒的に多いと思います。

処方という言葉

また、言葉の問題ですが、医師は薬を「処方する」と言います。薬剤師は薬を「調剤する」です。同様に、医師が眼鏡を処方するという言葉も使われます。眼鏡処方という言葉も同様に医師が使う言葉です。

しかしなぜか、眼鏡店・店員の間では眼鏡処方という言葉がしばしば使われているようです。

処方の意味としては、医師が薬などの指示を出すこと、簡潔に言うと処方箋を発行することを指します。

眼鏡処方という言葉を眼鏡店員が使うのは言葉上間違っていると思われますが、古くからの慣習でしょうか。

・眼鏡処方箋は医師が出したただの紙切れ(法的効力なし)

眼鏡処方箋の法的根拠

眼鏡処方箋という言葉はどこから来たのか?前述の通り、医師法には存在しません。

答えは、眼科の診療報酬点数一覧の中に存在します。

D263 矯正視力検査 69点
 1  眼鏡処方箋の交付を伴う場合 
 2 1以外の場合
(令和4年度)

診療報酬は保険診療における点数です。

保険診療は、保険医が行い、これらは健康保険法で規定されています。

つまり、保険診療としてお金を請求する上で、眼鏡処方箋という言葉があるに過ぎません。

眼鏡処方箋は実質無料?

再度その処方箋の行き先を考えてみましょう。

  • 薬の処方箋は、医師(医療従事者)が発行し、薬剤師(医療従事者)が薬を調剤する
  • 眼鏡処方箋は、眼科医(医療従事者)が発行し、眼鏡店(非医療従事者)が眼鏡を作成する

薬は医療保険で3割までの自己負担となります。

一方、眼鏡は・・・?まさか代金の3割で買えるわけないですよね?(さまざまな条件で現金給付の補助が出るケースはあります)

つまり、眼鏡処方箋は、処方箋として発行してはいるものの、その紙の使い道としては保険は効かずただのメモ書きに過ぎない、しかし発行したら保険診療としてコストを取っていいよ、という何とも不思議な中途半端なやつなのです。

それなら眼鏡処方箋をたくさん発行したら眼科は儲かるのでは?と思う人がいるかもしれませんが、保険点数は一般の視力検査と同じであり、しかも手間は眼鏡処方箋を発行する方がかかるため、必要な場合と患者が希望する場合を除いてわざわざしません。

また、眼科では患者さんが眼鏡合わせ希望であろうとなかろうと、不要な場合を除いて、最高矯正視力を測る視力検査をします。

つまりこの段階で、視力検査としてのコスト分は仕事をしているわけです。眼鏡処方箋が希望の場合、処方箋を発行するという手間が追加されます。この際に処方箋にどのような度数を記載するかは人に依りますが

  • そのまま最高矯正視力が出た度数
  • そこから少し度数を弱めた度数
  • 実際にそれらの度数でしばらく眼鏡を装着してもらってから問題なければ処方する

というパターンでしょうか。3つ目の装用練習はしないで出すところ・場合もあると思います。

で、先ほども言いましたが既に視力検査としてのコスト分働いている上で更に上記のようなことをして、最終的にコストとして取る上で、名称が

 1  眼鏡処方箋の交付を伴う場合 
 2 1以外の場合

1となるか、2となるか、の違いに過ぎません。

しかしコストは変わりません。

つまり、眼鏡処方は実質無料でやっていることと同じようなものです。

処方箋の期限

薬の処方箋

薬の処方箋の有効期限は、発行日を含む4日間です。4日というのは決まっていて、それを過ぎると薬局で受け付けることができず、再度医師から発行してもらう必要があります。

眼鏡処方箋

眼鏡の処方箋の有効期限は一般的には1か月~数か月程度です。期限はあくまでそのくらいの期間が多いというだけで、過ぎたらその度数で眼鏡を作ることができないというわけではありません。そもそも眼鏡処方箋は法的な記載のあるものではありません、ただの紙切れです。つまり、有効期限を過ぎていても、眼鏡店が作ろうと思えばその度数で眼鏡を作ったところで法的には問題はありません。

なぜ1か月~数か月程度なのかというと、目の屈折状態(度数)は日数が経過すると変化する場合があるので、度数ズレが大きくならないように、そのくらいの期間の間に作った方が良いよ、ということに過ぎません。

つまり逆に言うと、1か月以内に作ったとしても、その1カ月~数か月後、作った眼鏡の度数がズレて合わないと感じることもあり得るってことになりますよね。

そもそも視力検査はその日の体調や天候やさまざまな影響によって結果が変わってきます。最高視力は変化し、その矯正に用いた度数も変化します。つまり、その日完璧に合わせた眼鏡の度数だろうと、実際に使ってみたら合わないな、ということはあり得ます。

「眼鏡処方箋」が記載されているのは、診療報酬として保険医が保険診療を行いコストを請求する上で、のみです。その紙を用いて眼鏡作製するのも医療従事者ではなく、眼鏡処方箋自体も法的効力のあるものでもありません。

期限が明確に決まっていない処方箋の使用期限を過ぎて使用したところで、法的に問題あると思いますか?

まとめ

  • 処方箋は医師法に規定あり(薬の処方箋)
  • 眼鏡処方箋は法律に規定なし
  • ただし眼科の保険診療報酬一覧に記載あり(健康保険に関与)
  • 薬の処方箋の有効期限は発行日含め4日
  • 眼鏡処方箋の有効期限は1か月~数か月だが期限切れても法的に問題なし

眼科処方箋を巡る論争では、その処方箋を受けている眼鏡店からの意見がいろいろとあります。(インターネット上、ブログ、SNS含めたくさんあります)医療機関で働いている分には考えたこともなかったですが、インターネットを通じて知ることができました。

今回も多少触れていますが、次作ではそのあたりの問題の検討、考察もしていきます。

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