CNV、MNV、PNVについて<新生血管まとめ>

AMD関連の黄斑疾患領域は、最近呼び方が変わったり、新たな概念が出てきており、アップデートしないと取り残されますので、アップデート用にまとめました。

  1. CNV:脈絡膜新生血管
  2. MNV:黄斑部新生血管
  3. PNV:パキコロイド新生血管

の3つの概念について書いていきます。

目次

CNV

choroidal neovasculopathy(脈絡膜新生血管)

いままで一般的に言われてきた脈絡膜新生血管です。教科書等でも多くはCNVという記載です。

分類として、

  • type1 CNV:網膜色素上皮より下(脈絡膜より)のNV
  • type2 CNV:網膜色素上皮より上(網膜より)のNV
  • type3 CNV:網膜内NV(=RAP)=初期は”C”NVではないが、進行して網膜色素上皮下に到達する

という3タイプに分けられます。

またFA-IAの所見で

  • occult CNV:控えめな感じ
  • classic CNV:旺盛な感じ

という2つに分けられます。

occult CNVは所見がoccult(潜在性、隠れた)なので控えめな感じであり、type1 CNVのパターンが多いです。

classic CNVは所見がclassic(典型的)なので旺盛な漏出などを認め、type2 CNVのパターンが多いです。

type1 CNV ≒ occult CNV
type2 CNV ≒ classic CNV

MNV

macular neovasculopathy(黄斑部新生血管)

CNVの分類を、おおむねそのまま言い換えたような感じです。

CNVだと脈絡膜新生血管の意味となり、type3は網膜内新生血管であることから、MNV(黄斑部新生血管)という名称のほうが適切であろうということから、網膜領域の人たちの間では現在はこちらが主流です。

  • type1 MNV:RPEの下のNV
  • type1 MNV特殊型:PCV
  • type2 MNV:RPEの上のNV
  • type3 MNV:網膜内のNV

ここの分類でPCVがtype1特殊型とあるように、PCVは基本的にtype1になります(網膜色素上皮下のNV)

概ねCNVの呼び方をMNVと言い直しただけ

PNV

pachychoroid neovasculopathy(パキコロイド新生血管)

こちらはパキコロイドという新しい概念を元に、そのパキコロイドがある条件で出現する新生血管を意味します。

パキコロイドによるNVと、一般的なAMD(加齢黄斑変性)によるNVは少し異なると言われています。(パキコロイドの有無、ドルーゼンの有無・種類など)

ドルーゼンの種類に関しては下記記事を参考に。

基準としては下記のものが提唱されていますが、決まってはいません。(中心窩脈絡膜厚は250µm以上だったり、現時点では曖昧です)

  • 脈絡膜新生血管がある
  • 中心窩脈絡膜厚が200µm以上
  • ICGA後期でCVH・脈絡膜血管拡張に関連したRPE異常(≒PPE)・CSCの既往のいずれかをもつ
  • ドルーゼンがあっても少量の硬性ドルーゼン

パキコロイドに関して詳細は下記記事を参考に。

パキコロイドという概念のもとでの新生血管

まとめ

  • CNV:AMDの新生血管の従来の呼び方
  • MNV:AMDの新生血管の最近の呼び方
  • PNV:パキコロイドに伴うNV(AMDに依るNVとは異なる

いろんな概念がでてきて、さらにいろんな新しい治療が出てきている網膜領域です。

治療もここ数年でベオビュ®から、バビースモ®という新薬がでてきて、ルセンティス®、アイリーア®の独占状態から変わってきていますので、知識のアップデートが必要かと思います。

知らぬ間に置いていかれないように、参考にしていただければ幸いです。

参考:
・Drusen and pachydrusen: the definition, pathogenesis, and clinical significance
・Subthreshold Exudative Choroidal Neovascularization (CNV): Presentation of This Uncommon Subtype and Other CNVs in Age-Related Macular Degeneration (AMD):J Clin Med. 2022 Apr; 11(8): 2083

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