2024年3月26日、バビースモは「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」への使用に適応が拡大されました。
それまではバビースモが使える疾患は、nAMD(加齢黄斑変性)およびDME(糖尿病黄斑浮腫)のみでしたが、今回、RVO(BRVO、CRVO)に伴う黄斑浮腫に対しても使用できるようになりました。
RVOはそれなりに頻度の高い疾患であり、それに対する抗VEGF薬の薬剤選択が増えることは嬉しいことです。また、RVO患者にはAng-2が他疾患より多く、その点から考えると、バビースモが最適な治療である可能性があります。
網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に使える抗VEGF薬
これまでは、網膜静脈閉塞症に伴うに伴う黄斑浮腫(CME)に使える薬剤は、アイリーアおよびルセンティスのみでした。
nAMDおよびDMEに関してはバビースモも使用できますが、RVOに関しては上記2種類でしたが、適応が拡大しバビースモも使用できるようになります。
RVOに対するバビースモは期待大?
バビースモは、VEGFーAだけでなくAng-2を抑えるということが特徴的な新しいタイプの抗VEGF薬です。
そして、RVO患者におけるAng-2は、nAMDや健常人よりも多く存在しているとされ、そういった点から考えると、バビースモは抗VEGF薬の中で唯一Ang-2を抑えることもできることから、最適な抗VEGF薬である可能性があります。
まだ実臨床における結果は少ないことから、保守的な考えの方は使いにくいかもしれませんが、実臨床においてアイリーアに非劣勢を示していることに加え、上記理由から今後使用が増えていくと思われます。
アイリーアから変更した場合の負担増加額
アイリーアからバビースモに薬剤を変更すると、薬価がアイリーアが137292、バビースモが163894であることから、差額が約25000円となります。
- 3割負担の場合、約7500円
- 2割負担の場合、約5000円
- 1割負担の場合、約2500円
上記分だけ、患者負担は増えることになります。1回辺りの負担が大きくなるのですから、非劣勢とは言わずに、効果がアイリーア以上でないとな、とは思います。
まとめ
- バビースモがRVOに使えるようになった。(現在、nAMD、DME、RVOに使用可能)
- RVO患者はAng-2が高く、Ang-2を唯一抑えることができる抗VEGF薬のバビースモは、最適な治療の可能性がある
- 実臨床のデータは少ないので、今後に期待
RVO患者に対する抗VEGF薬の投与頻度はまちまちで(もちろんDMEもnAMDもそうですが)、非常に頻回の治療が必要な人や、どうしても薬剤をやめられない(再発してしまう)患者さんに対して、新たな治療の選択肢が増え、喜ばしいことだと思います。今後の報告に期待ですね。
コメント