外科系の医者に手術はつきものです。
今回はあくまで自分の考え、医療者側の視点の内容です。
主に言いたいことは以下の三点です。
- 現時点で手術がうまくないことは恥ずべきことではない
- 手術がうまくなるための努力をすること、努力する姿勢が大切(それをしないことは恥ずべきこと)
- 最終的に手術が合わないと感じれば手術以外の治療に専念すれば良い
偉そうに書いているので偉そうなこと言う人嫌いな人はさっとページを閉じましょ←
現時点での手術技術は大きな問題ではない
手術治療は技術が伴う治療であり、若手医師の手術は未熟なことが多いです。これは単に、経験と知識が足りないからです。
経験して、知識をつけて、努力を繰り返してうまくなっていきます。年数が経つに連れて一般的にはうまくなっていきます。
そして、ある程度したら成長速度は下がるかプラトーに達しますが、それが早い人もいれば遅い人もいるし、そのあたりは個人差があります。
どんな医者も最初は下手だった
当たり前のことですが、初めから手術を早く綺麗に問題なくできる医者はいません。
今手術がうまい医者、手術で有名な医者も、昔は大してうまくなかったはずです。いろんな経験を積んで努力を重ねて、結果として、手術がうまい今があるということです。
なので今下手な若手の医師は、今下手であることに心配する必要はありません、伸び代しかありませんから。ただし伸ばす努力はしないと伸びませんし、伸びても大して伸びないかと思います。
手術を学べる環境によって差は付く
書籍から得られる知識量は、職場の忙しさによって多少の差は付くものの、それほど大きな差にはならないと思います。忙しさよりもむしろ一人ひとりのやる気によって変わると思います。
一方、技術の習得には経験が大事であり、手術経験が得やすい環境かそうでないかで、同年代の医師の間でも実力差はでてきます。眼科においては、病院によっては1年目で白内障手術を完投できるような環境もある一方、なかなか執刀させてもらえず3-4年目でやっと、というところもあります。
これは仕方がないことなので、より積極的になり、努力している姿を見せて手術をさせてもらうようにするか、もっと手術ができる環境に行くか、など自分で決めるしかありません。
今の自分の力量を理解して、それを高めるにはどう行動すべきか、ということです。
努力の姿勢は必須
さて、最初は手術が下手でも仕方ないという内容でした。最初からうまい人はいないので、それは当たり前のことで、あまり気にしても仕方ないことです。
しかし患者さんからしたら、下手な人に手術をして欲しいわけがありません。(超当たり前ですが、超重要です)
手術とは侵襲性のある治療ですから、リスクも伴いますし、受ける側もそれなりの覚悟を決めて手術に臨まれます。
自分が手術を受ける身だったら、手術技術の高い人と低い人、どちらの手術を受けたいか?答えは明白ですよね。
だから、たとえ今手術が下手でも、うまくなるための努力は外科医であれば絶対にしなくてはいけないと思います。
医師の働き方改革など、時代の流れ・風潮もあり、あまり個人に負担が大きくならないようにすることが求められていますが(これには賛成ですし、私もさっさと帰りたい←)
手術に関しては別だと思います。
問題なく手術ができるならよいですが、そうでないなら努力するしかないです。
しかし繰り返しますが、現時点で技術レベルが未熟であることは大きな問題ではありません。(あなたがベテランクラスの学年で全然できなかったらそれは問題かもしれませんが・・・)
その状態からうまくなるための勉強、練習、努力をする必要がある、というだけです。
技術が伴う仕事でその技術力を高めないのは、仕事を全うしていないとも言えます。そしてその足りない技術は、直接患者さんの身体に害を及ぼし得ます。手術をする人が手術技術を高めることは、責務です。
安定した手術ができないのに努力をしない人は、手術をやめた方がよいです。
努力の程度は人それぞれで他人に評価されることではない、というのもとてもよくわかります。勿論その人のレベルによってそれぞれにはなりますが、手術は上の人が見て十分に努力しているかどうかは判断したほうがよいと思います。(努力の方向性が間違っているのならその指導も含めて)
若手の段階で具体的にやることとしては
- 知識を深める(本や動画やうまい人の意見を参考に)
- 模擬練習をする
- 実際の手術の経験とその手術の復習をする
これの繰り返しです。
その末に合わなければ辞めるもよし
手術が苦手でしたくない人は、しなくてよいと思います。苦手でも手術する必要がある場合は、そのために努力が必要です。
しかし経験を重ねても、努力をしても、得意不得意は人によって違いますし、どうしても手術が苦手な外科医もいるかもしれません。
その場合は、最終的には辞めたほうがよいと思います。苦手なことをやり続ける自分自身への負担と、患者さんへの負担を考えてのことです。
他科はどうか知りませんが、眼科は手術しなくても全然やっていけます。手術以外の治療もたくさんあり、そちらの方面に深い知識をつけるというのも、選択肢の一つです。
とは言え、ほとんどの人の技術は上達する
とは言え、たいていの人は手術がうまくなります。繰り返される動作に脳にシナプスが形成され、スムーズに動作ができるようになるから、ですかね。
いろんな「手術絶対ムリ」「手術が心配」「手術の緊張が強すぎて辛い」を見てきましたが、ほとんどはできるようになっています。勿論手術の種類は関係ありますが。
なので安心してください。
眼科関連の手術に関して言えば、白内障手術はほとんど皆んなできるようになります。上手い下手の差はもちろんありますが、全くできなかったころと比べると全員上達します。
ただし、ただひたすら慣れを信じて努力しないのと、慣れも合わせ持ちつつ努力するのとでは、成長スピードは全然違います。センスの差はあるにせよ、やっぱり明らかに頑張っていることが分かる人は、成長が早い印象です。
努力する程度は人それぞれで変わってきますが、その姿勢はなくさないようにしましょう。
まとめ
- 手術は最初はみんな下手、それは仕方ない
- 努力して技術・知識を身に着ける姿勢が大切
- 外科でも最終的に苦手ならやめてもよい
手術をする者の最低限の意識として、責任をもって臨むこと、そのための努力をすること、これらは必須です。
その責任感がない人は手術をやめましょう。患者さんにも、まわりの医療関係者にも害です。
より良い医療を提供できるように、自分の技術力をあげていきましょう。
逆にというか、指導医に関してですが
「手術が下手であること」そのものに対して、下手だと文句を言ったり、自分だったらもっと綺麗に早く終わる、といった内容をくどくど言う上級医は注意です。(もちろん徐々に綺麗にスピードアップする努力はしてください。)
自分も昔下手で時間かかったでしょ?と言ってやりたくなるかもしれませんが、そこは言わずに、努力して実力をつけて、さっさとその医師の指導を外れて、反面教師にして自分はそうならないようにしましょう。言ったところで良いことはないですし、自分が同じような先輩にならないことが将来的に多くの人の幸せに繋がります。
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まぁなんか偉そうに書いてきましたが、自分自身も超若手()なので、今回自分で書いたことをよく見て反省して今後も励みたいと思います←
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