近視の疫学まとめ 2050年に世界人口の〇割が近視に

日本国内でもそうですが、全世界的に近視の人口は増えています。

近視が強くなると裸眼視力が低下し、眼鏡やコンタクトなどの矯正が必要となってきます。

近視は「眼鏡またはコンタクトをしないとよく見えない」という日常生活上の不便さはありますが、近視だけであれば眼鏡やコンタクトで矯正すれば見えるので、とりわけ大きな問題にはなりません。

一方で強い近視(強度近視)になってくるとさまざまな目の病気を引き起こしやすくなり、その点で近視人口の増加は問題視されています。

今回は近視の過去から現在、未来にかけての分布、割合などをまとめていきます。

目次

近視の疫学概要

近視の疫学についてポイントは以下のようになります。

  1. 世界的に近視人口は増えている
  2. 地域面では、近視は東アジア・東南アジアに多い
  3. 経済面では、近視は先進国に多い
  4. 年齢では、近視は若年者に多い
  5. 近視は遺伝要素もあるが環境要素のほうが強い
  6. 近視のなかでも強度近視の割合が増加してきている

世界的に近視が増えていて、東アジア・東南アジアにおける先進国の若者に特に増えていて、さらに近視の度数の強い強度近視が増えていることが問題になっています。

世界人口における近視人口の割合

過去、現在、今後の近視人口の予想については、以下のようになっています。

  • 2000年は世界人口の4-5人に1人(20-25%)
  • 2020年は世界人口の3人に1人(33%)
  • 2050年は世界人口の2人に1人(50%)

もちろん、世界の人口については、国ごとに人口が大きく異なりますので、たとえば中国で近視が増えるだけで世界人口の近視としては割合は大きく増えてきます。

近視が多いのは東アジアの先進国

近視は世界的にみると、東アジア、東南アジアに多いとされています。

東アジアにおいて

  • 中国、香港、台湾、韓国、日本では多い
  • モンゴルでは少ない

東南アジアにおいて

  • シンガポールでは多い
  • カンボジア、ラオスなどでは少ない

近視は遺伝の影響はあるにせよ、このように、経済が発展しているかどうか、国の生活環境がどうかという点が大きく関係していると考えられます。

近視は若者に多い

  • 東アジア諸国の先進国の17-18歳の学校卒業生の近視は80-90%
  • 西欧諸国における同年代では、20-40%
  • 学校教育が未発達な発展途上国においては、5-10%

分け方が大雑把ではありますが、東アジアと西欧の同年代の若者では、圧倒的に東アジアにおいて近視の割合が多いです。

しかし今後、東アジアの近視割合に近づくように、その他の地域でもどんどん近視割合が増えていくと推測されています。

近視が問題となる理由

近視を矯正することができる地域(眼鏡やコンタクトが簡単に利用できる国)では、近視があるだけでは大きな問題にはなりません。矯正すれば見えるからです。

一方で、矯正ができない国(経済的にあまり発展していない国)では、近視があるだけで視界はぼやけ、生活が困難になることすらあります。眼鏡があれば見えるような状態でも、眼鏡がなければ見えないわけです。

「近視(だけでなく乱視など)の屈折矯正ができないこと」は、世界的にみると失明の原因や低視力の原因になっています。

また、近視は日常生活において不便であることもさることながら、強度近視ともなると近視が原因で近視性黄斑症、緑内障、網膜剥離などの目の重大な病気を引き起こす可能性が高くなり、その点でも問題となってきます。

ただの近視は矯正できれば問題ない
ただし眼鏡が日常生活で必要となる不便さがある
強度近視は生活上不便なだけでなく、目の病気を引き起こす可能性が高くなる

まとめ

  • 近視の世界人口は増えている
  • 2050年には世界人口の約半数が近視となると推測されている
  • 近視が特に増加しているのは、東アジア・東南アジア
  • その中の先進国において、特に若者の近視が増えている
  • 近視は眼鏡がない地域では低視力、失明の原因にすらなる
  • 近視が強いと緑内障や網膜剥離などのリスクがあがる

眼鏡生活に慣れている人であれば、近視は老眼がでる年齢(40-50代)で、眼鏡を外せば近くが見えるので老眼を自覚しにくく、改めて見え方が変化しにくいという点では良い点もあります。

また、緑内障のなかでも急激に起こるタイプの急性緑内障発作は生じにくいです。

-3D~-5D未満程度の近視であれば日本社会であればそこまで困ることは少ないですが、それより強い近視になると常に眼鏡が必要となってくるので不便だと感じることが多いと思います。

参考:近視進行予防のサイエンス

コメント

コメントする

目次