医療訴訟が起こる原因とその発生確率を下げる方法

医療訴訟、経験されたことのある医療者は多くはないと思います。多かったら悲しい世界ですね。

しかし医療者として働いている限り、医療訴訟が生じてしまう可能性は、少ないですが存在し続けます。そのため、多くの医師は医療訴訟用の保険に入っていると思います。

訴訟は争い、もめごとですから、極力ないほうが互いがハッピーです。ただし行われた医療行為、言動、態度などによっては、訴訟を辞さない場合があっていたしかたないことだとも思います。

ということで、医療訴訟ネタを書いてまいります。

目次

医療訴訟はどうしたら起こるのか

患者側が被害を受け(たと感じて)、医療者を訴えたら起こります。

患者側が「医療ミスだ」と感じ、「相手のせいだ」と感じ、「訴訟を起こす」と思って実際に行動されたら訴訟になります。

コトバンクによると、訴訟とは以下のような内容になります。

「訴訟」

社会生活上、発生した紛争や利害の対立を、国家権力によって法律的に解決調整するために、対立する利害関係人を訴訟当事者として、その主張を聞き、審理裁判する手続を一般的に訴訟という。

コトバンク

紛争とは以下のような内容です。

「紛争」

紛争とはもめ事をさし、家庭内の親子・夫婦喧嘩(げんか)から企業内の労働者と経営者間の争議、さらに国家間の戦争に至るまで、人間社会の広い範囲にわたってみられるものである。

コトバンク

つまり、医療訴訟とは「患者と医療者でのもめごとを裁判によって解決させるためのもの」ということです。

患者医療者間のもめごととは何かというと、医療行為によって、もしくは医療行為を行わなかったことによって、患者が被った(と感じた)不利益、つまり医療行為に対する結果の責任の所在の追及です。

患者は医療者に責任があると主張し金銭の賠償を得るために行います。一方、医療者は訴えられる側なので、非がないこと、正当であったことなどで責任を回避する形になります。

医療訴訟の発生率を下げる方法

医療訴訟は争いですから、極力ないほうが平和です。できるだけ起こらないほうが良いに決まっています。

そこで、医療訴訟の発生率を下げる方法をお伝えします。逆のことをすると発生しやすくなります。

医療者として働かない

医療者として働かず医療行為を行わなければ医療訴訟は100%受けません

医療者として働いていて、適切な医療行為を行わなかったことで被った不利益には、訴訟となる可能性はあります。

唯一確実に医療訴訟を避けられる方法は、医療従事者として働かないことだけでしょう。

医療ミスを起こさない

医療ミスが起こらなければ、訴訟になることは少ないです。しかし100%医療ミスをなくすことはできません。極力医療ミスを起こさないような全体のシステム作り、個々人では専門的な知識、技術の習得が必要です。

できる限りそのような体制を整えても、起こるときには起こります。医療者として働く限り100%はありません。ですが、少しでも患者側に不利益を被らないような形を作っていくことが大事です。

医療ミスだと感じさせない

そもそも医療行為に合併症は付きものです。人体に介入するわけですから、悪影響を及ぼしてしまうことがどうしても起こりえます。頻度が多い合併症に関しては充分に説明をする必要があり、頻度が少なくても重篤な合併症も説明しておく必要があります。

合併症としてこういうものがある、ということと、医療行為によってどういう結果が得られる・もしくはあまり良い結果が得られない可能性があることなどを、しっかり患者側に認知してもらう必要があります。

だたし技術的な医療行為での合併症は医療ミスと違うのか?と言われると、認識に依ると思います。

リスクのある不必要な治療を行わない

患者満足度が関係してきます。あまり困っていない相対的手術適応などの患者は、あえて積極的に手術はしないほうがよいと思います。もちろん後々のことをしっかりと説明した上で、患者満足度に繋がらない治療でもしたほうが良い場合は、その点も踏まえて相対的に検討したら良いです。

要するに、患者側が得られるメリットが少ない状況で、自分の利益や経験のために医療行為を行うなということです。

真摯に対応する

それまでの対応が適切であったかどうであれ、身体に不利益を被って辛いのは患者側です。自分には非がないことを主張することよりも、相手の気持ちを汲み取り、現状をどのようにしてより良くさせるかのほうが大事だと思います。

「これは合併症だから仕方ない」「説明したし同意書にも書いてある」などと突き放すような対応をするよりも、辛さを傾聴していく姿勢のほうが、患者側も気持ちがおさまると思います。

「謝罪をしたらこちらに非があることを認めるようなものだ」という考えもわかりますが、もし自分があのときこうしていたらと少しでも思う点があるのであれば、不適切な対応をしたわけではないにせよ、結果に対して申し訳なく思うことを伝えてもよいと思いますし、私はそういう人のほうが好きですね。

それでも訴訟になるときはなる

何を言っても話が通じない人、どうあっても相手の責任にしたい人、賠償金を強く望む人などは、残念ながらいます。そこまでの段階になってしまったら、そもそも信頼関係は築けておらず、その後も築けないでしょうから、自分の正当性を主張したほうがよいと思います。

正当性がないと負けてしまいますから、一般的なレベルにまでは自身の知識・技術を高める必要があります。

医療訴訟はもめごとです。ないほうが良いに決まっています。

逆に患者側の視点ですが、どうあっても許せない、相手の責任を追及したい、医者をやめてほしいと思わせてしまうような傲慢な医者も中にはいます、残念ながら。そのような人には訴訟を起こしましょう。自分が患者でもそんな医者がいたら起こします。

まとめ

  • 医療訴訟はないほうがよい

あたり前のことをあたり前のように書いただけの内容なので、まとめもあたり前のこと一言にしておきます。

患者と医療者、互いがハッピーになれる医療が一番よいですね。

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