黄斑と中心窩の違い 視力と中心視野に関わる網膜の中心部

「網膜の中心である黄斑・中心窩を中心に眼科網膜治療は回っている」

網膜の中の一部の範囲を「黄斑(おうはん、英語でmacular)」といったり、「中心窩(ちゅうしんか、英語でfovea)」といったりします。

どちらも物を見ているときの中心に位置する網膜であり、視力・中心視野に非常に重要です。

つまり、黄斑が痛んでしまう病気では、中心が見にくくなり、視力が下がります。

このあたりを詳しく説明していきます。

目次

黄斑・中心窩とは

網膜とは光情報を受け取る部分です。

網膜は目の内側の広い範囲に裏打ちされている膜です。

全てが光を受け取る役割をしていますが、最重要なのはその網膜の中でも中心部に位置する部分です。

中心部がどこかって話ですけど、網膜には一部へこんでいる部分があり、そこが中心です。

そのあたりの網膜のことを、黄斑(黄斑部)といいます。

また、その黄斑の中のさらに中心部、真ん中のくぼんでいる領域を、中心窩といいます。つまり、大事な部分のさらに中心の部分を中心窩といいます。(「山」はそんなに目立ちませんが、正常の人は「谷」は必ずあります)

黄斑と中心窩とその他の網膜

用語としてはさらに、中心窩の中の中心の「中心小窩」(谷の中の一番凹んでいる部分)や、中心窩の少し周囲の「傍中心窩」という部分があります。

中心中心うるさくてわかりにくい

  • 中心窩:黄斑の中のくぼんだところ
  • 黄斑 :くぼみを含むもう少し広い範囲の網膜

くぼんでいるところが網膜のド真ん中で、「中心窩」といい、ものを見ているときの中心の位置に相当する部分で、視力に一番強く関係している、ということです。

黄斑は中心窩を含めたもう少し広い範囲の網膜を指していますが、中心からは離れすぎていない範囲なのでこちらも視力や見え方には大きく関係します。

黄斑:網膜の中心あたりの大事な部分

中心窩:網膜の中心の黄斑のさらに中心

視力と視野

中心視力と周辺視力

何かを見るとき、視界には目線の向いているところ(見ているところ)と、見ている位置の周りの景色が見えますよね?

ものを見ているとき、特に目に異常がなければ細かい字なども見えるはずです。

一方、見ているものを少し視線から外すと(追わないようにして位置をずらすと)、そこにあるのはわかるけど細かい字までは見えないと思います。

このように、見ている中心というのは非常に細かいことまで見ることができて、これが視力に直結します。

視力検査のcの字、非常に小さくて細かいですよね?それが見えるのは、中心で見ている、すなわち黄斑・中心窩で見ているから見えるのです。

一方、周囲に少しずらしてもそこにあるのは分かるし見えてはいます。しかし、細かい字などは目線をずらしたら見えません。

このように、中心での視力が高い一方、中心からずれた部分では視力はガクンと下がります

この見え方の差は、中心窩・黄斑部に多い目の細胞と、その周囲にいる目の細胞が異なるからです。

中心窩に多くて細かい識別ができる細胞が錐体細胞(すいたい)、周辺に多くて周りの視野に関与する細胞が杆体細胞(かんたい)です。明るいときの見え方、夜の見え方が違ってくるのも、これらの細胞の影響です。

中心視力は高いが周辺視力は低い

中心窩には錐体細胞が密にいることで視力に関与する

視野

見えている範囲全ての範囲を、視野といいます。

これもどの辺りかによって、中心視野、周辺視野と分けて言ったりします。

視力(≒中心視野)というのは見ている中心での見え方のことであり、その部分に相当するのが、黄斑さらに細かくいうと中心窩ということです。

黄斑部が痛むと

したがって、黄斑部や中心窩の網膜が痛むと、視力は下がります。(≒中心暗点、中心比較暗点)

どんなに合う眼鏡をしても、視力が出ない状態になります。

真ん中が見にくくなりますが、周りの網膜は正常であれば機能しているので、周辺視野でなんとなくぼんやり見ることはできます。

しかし中心ではっきりとものを見ることはできなくなってしまいます。

黄斑が痛んでも真ん中以外の視野は保たれる

網膜の病気と治療

このように、黄斑部というところが目の網膜の中でも非常に重要ということをお話しました。

網膜が悪くなる病気は非常にたくさんあります。

中でも、この黄斑・中心窩をメインに生じる病気もたくさんあります。

つまり、思いっきり視力に影響してしまうんですよね。

逆にいうと、黄斑部・中心窩に悪影響がでない網膜の病気であれば視力には影響は出ず、あまり重要ではありません

なぜなら、見え方にほとんど影響しないからです。

視力には影響はまったくなく、周辺の見えている視野のごく一部に影響が出るくらいですが、

よっぽどのことでなければ普通は気が付かない、気にもならないと思います。

しかし網膜剥離などの場合は、周辺の網膜が痛んでそこから「進行して」黄斑部まで悪くなります。

したがってこの場合は進行する前にできるだけ早く治療をする必要があります。

逆に、そもそも網膜の中心すなわち黄斑部を悪くする目の病気もいっぱいあります。(むしろこっちのほうが多いです)

この場合は、黄斑の網膜が痛んだら見えにくくなるので結構早く気が付きます。(反対の目で補ってしまうことであまり気が付かない人もいますが)

そして黄斑が痛んでいくとどんどん視力が下がってしまうので、この場合は積極的に治療をしていきます。

具体的には

  • 加齢黄斑変性
  • 黄斑円孔
  • 網膜上膜閉塞症による黄斑浮腫
  • 糖尿病黄斑浮腫
  • 黄斑下出血

など、いろいろな病気があります。(まだまだ大量にあります)

まとめ

  • 黄斑は網膜の中心のあたりの領域で大事(凹んでいる)
  • 中心窩は黄斑の中の中心でもっとも大事(凹みの一番谷の部分)
  • 黄斑・中心窩が痛むと視力に強く悪影響を及ぼす
  • それ以外の網膜は見ているところの周辺の視野に相当する

網膜は光を受け取る部分ですので、黄斑が痛むと受け取る側としての障害で見えにくくなります。

一方、網膜より手前の目の組織は、光を集める役割をしていますが、そこに汚れがあると「光が綺麗に入ってこない」ことで、視力が下がります。

代表的な疾患は「白内障」です。

見にくい原因というのは、非常にたくさんあるので、見にくい場合は検査をしましょう。

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