ヒアルロン酸点眼まとめ 濃度が濃くても効果に差はない

ドライアイ点眼の有名薬剤として、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液があります。(ヒアレイン®など)

害が少なく気軽に処方しやすく、他科でも処方されていることも多々見受けられます。

今回ヒアルロン酸ナトリウム点眼液について、ドライアイ診療ガイドラインなどを元にまとめました。

目次

ヒアルロン酸点眼の種類

非常にたくさんのジェネリックがありますが、濃度とボトル・使い捨てのタイプで分けると

  • 0.1%ボトル
  • 0.3%ボトル
  • 0.1%ミニ(使い捨て)
  • 0.3%ミニ(使い捨て)

の4つに分かれます。(ボトルタイプはジェネリックが多数あり)

使い捨てタイプには防腐剤が含まれていません。

ヒアルロン酸点眼の効果

二つあります。

  1. 分子内に多数の水分子保持機能があることで、涙を保持し安定させ目の乾燥を防ぐ
  2. フィブロネクチンと結合角膜上皮細胞の接着・伸展を促進させ角膜創傷の治癒を促進する

フィブロネクチンとは、細胞の周囲に蓄積して「足場」を形成する細胞外基質のひとつ(細胞接着、細胞移動を担い、細胞外マトリックスという細胞環境を提供する)

ヒアルロン酸と他の保水成分の違い


ヒアルロン酸はムチンに結合することでヒアルロン酸が液層に長く留まり、涙液が長時間安定化しやすいとされます。(コンドロイチンなどの他の保水成分がムチンに結合しない)

ヒアルロン酸点眼の適応病名

  • スティーブンス・ジョンソン症候群の角結膜上皮障害
  • ドライアイの角結膜上皮障害
  • 眼球乾燥症候群の角結膜上皮障害
  • シェーグレン症候群の角結膜上皮障害
  • 外因性疾患の角結膜上皮障害
  • 内因性疾患の角結膜上皮障害

添付文書より

ドライアイ治療における推奨度

ヒアルロン酸点眼は,自覚症状,涙液の安定性,角膜障害を改善し,治療の選択肢として推奨する.

ドライアイ診療ガイドライン|日本眼科学会
  • 推奨の強さ:強い:「実施する」 ことを推奨する
    (シェーグレン症候群に対しては 弱い:「実施する」ことを推奨する)
  • エビデンスの強さ:B(中)
    (シェーグレン症候群に対しては C(弱))

TFOT: tear film oriented therapy

ヒアルロン酸ナトリウムには、涙液の液層の水分を保水する役割がある

重大な有害事象の発生の可能性は非常に低い

重大な有害事象はないものの,涙液安定性への効果は軽微であり,また高濃度の製剤では粘稠度が高くなるため,さし心地に影響をもたらすこともあり,低濃度のものから試みることが望ましい

濃度の違いによる効果の違い

ヒアルロン酸ナトリウムは日本においては、0.1%と0.3%の点眼薬がありますが

  • 涙液の安定性において0.1%と0.3%には違いがなかった

との報告に関してまとめられており

高濃度のほうがより効果があるとは言えないようです。

防腐剤はあるもの、ないものがある?

防腐剤の有無、種類に関してはジェネリックの詳細を調べないとわかりません。

点眼回数は何回か

添付文書上、ガイドライン上では1日5-6回が推奨されています。

ドライアイは点眼回数が少ないと水分補充が不十分となり

逆に回数が多すぎると涙液層の安定性を低下させる可能性があり

その結果無駄に多く付けるとドライアイの悪化を招くこともあり得ます

ガイドラインには「1日7回程度まで(多くても10回まで)」との記載あり

また防腐剤(BAK)が入っているものでは、点眼回数が多いとよりドライアイを悪化させる可能性もあります

点眼の順番

点眼の順番は基本的に、水性点眼剤→懸濁性点眼剤→油性点眼剤→眼軟膏の順

「ジクアホソルナトリウムとヒアルロン酸を併用する際には,ジクアホソルナトリウムを先に点眼し,5 分以上経ってからヒアルロン酸を点眼したほうがよい」らしいです。

処方箋がなくても薬局で買うことができる

ヒアルロン酸ナトリウム点眼は2020年9月16日から、ヒアレインSとして、薬局でも販売されています。価格は2本入りで1580円。要指導医薬品です。

※要指導医薬品 とは、薬剤師が対面で薬の情報提供や指導することが必要な医薬品

コンタクトレンズの上から使ってよい(カラーコンタクトレンズを除く)

BAKフリー、防腐剤としてクロルヘキシジングルコン酸塩を使用。

→公式にコンタクトレンズをしながら点眼してよいとされていますが、コンタクトレンズをしながら点眼して良いか悪いかの正式な医学的見解はないです(基本的には問題となることは少ないですが)。「BAKを使用していない」から使ってよい、という解釈でしょう。

使用上の注意

「ドライアイ、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、角膜感染症の診断を受けた人は使用しないでください」

相談すること

「2週間を超えて使用する場合は医師または薬剤師に相談してください」

→病名が付くような人や継続的に使用する人は眼科を受診してください、ということですね。

要指導医薬品なので、薬局に買うにしても一手間かかる

まとめ

  • ヒアルロン酸ナトリウムはドライアイの治療薬として推奨されている
  • 濃度は0.1%、0.3%があるが治療効果に差はないとされる
  • 使い切りタイプは防腐剤が入っていない
  • 点眼はし過ぎても悪影響を及ぼす可能性がある
  • ボトルタイプに含まれる防腐剤による悪化の可能性もある
  • 薬局でも同様の物を買えるが値段は高い
  • 病名が付く人は眼科受診を勧められる

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