コンタクトレンズをしながら目薬(点眼)をしてよいのか?まとめ

コンタクトレンズを普段使っている方は大勢いらっしゃると思います。

昨年の消費者庁のデータによると、日本でのコンタクトユーザーは1500-1800万人程度で、人口の10分の1以上にもなります。(コンタクトレンズによる眼障害について|消費者庁, 2021)

また、目薬を直近1年間で使用したことがある人は約6割で、コンタクトレンズ利用者では7-8割もいるようです。(【 目薬の利用 】に関するアンケート調査(第4回)|MyVoice, 2019)

このコンタクトレンズ利用者1500-1800万人の7-8割が点眼を仮に使っているとしたら、1000万-1400万程度の人がコンタクトを利用しつつ、目薬も使っていることになります。

ということで、非常に大勢の人に当てはまるこの問題、「コンタクトレンズをしながら目薬を使ってよいのかダメなのか」について、まとめました。

目次

コンタクト自体に目薬をつけると

実験的には、以下のことが確認されているようです。

  • コンタクトレンズに目薬の成分や防腐剤が吸着される
  • コンタクトレンズの形状に影響を与える(変性する)

結果、影響として

コンタクトレンズの性能が下がったり、薬の成分や防腐剤(殺菌薬みたいなもの)がついたコンタクトをすることで目の表面(角膜・結膜)への悪影響、レンズの形状が変わることで着け心地の低下、レンズがずれる、見え方への変化などが起こる可能性があります。

ハードコンタクトレンズや、1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズでは影響は少ないとされていますが、レンズケアを必要とする長く使うタイプのソフトコンタクトレンズでは注意が必要です。

目薬のpHによる影響

  • 酸性だとレンズ径小さく、アルカリだと大きくなる
  • 浸透圧が高いとレンズ径が小さくなる

防腐剤(BAC)による影響

  • ソフトコンタクトレンズにBACを浸した研究では、レンズ径が濃度依存性に縮小した

BACはbenzalkonium chlorideの略で、塩化ベンザルコニウムといいます。


これらは実験による変化です。

レンズの形状が変わるということですね。

結果として、フィッティング(着け心地など)や、レンズの位置、見え方の変化や、角膜・結膜など目に影響が出る可能性があります。

防腐剤(BAC)とその副作用

BACとは

塩化ベンザルコニウムは「逆性石けん」として知られており、細菌の細胞膜のタンパク質を変性させることによって殺菌力を発揮します。点眼薬の防腐剤として、多くの点眼薬に使われています。

塩化ベンザルコニウムは細菌の細胞膜だけでなく、角膜の細胞の細胞膜にも作用し、タンパク質を変性させてしまいます。その結果、角膜に傷を作ることがあります。(角膜上皮障害)

基本的に、若く健康な人が点眼しても問題になることは多くありません。一方、高齢者や糖尿病患者、ドライアイ患者、他、角膜がもともと弱い人が長期間使用していると、障害を起こすことがあります。

現在は通称BACフリーという、塩化ベンザルコニウムを含まない点眼薬が多くなってきており、代わりの防腐剤や、そもそも防腐剤自体入っていない目薬もあります。

ただしこれらは殺菌力が弱かったり、防腐剤無添加では殺菌力がないわけであり、適切な期間で目薬を使い切るor破棄しないと、点眼ボトルの中に菌が繁殖する恐れがあります。(BACを使用していても長期間保管はできません)

コンタクトを付けた目に目薬をすると

実験的にはコンタクトレンズへの影響があるということをお伝えしました。

一方で、実際にコンタクトレンズを付けている人への点眼薬の影響を調べた文献(小玉:コンタクトレンズと点眼薬 あたらしい眼科, 2000)では

コンタクト使用者への点眼(244例)で、点眼液が原因となるような

  • 角膜障害や結膜障害を起こした人はいなかった
  • フィッティングにも変化はなかった

という報告があります。

ちょっと古い文献ですが、結論としては

「定期検査をしっかりしていればコンタクトをしながら点眼することも比較的安全なのでは」というものです。

一方で、注意として

  • 長期間点眼を使用する場合には、防腐剤フリーの点眼を使うべき
  • 複数の点眼使用時は時間を十分にあけるべき
  • 感染症(結膜炎など)がある場合はコンタクトの使用を中止し治療を優先するべき
  • 症状が改善したらすぐに点眼は中止する(漫然と使わない)べき
  • 点眼薬を使用している間は定期診察を早めに確実にするべき
  • フィッティングのチェックを常に行うべき

などがあげられています。

目薬の使用期限

開封する前の点眼薬の使用期限は、ボトルなどに書いてあることが多いです。

一方、一度開封した点眼ボトルは、ボトル内に細菌などが繁殖している恐れがあるため、長期間の使用は避けたほうがよいです。

目安としては

  • 防腐剤入りの点眼薬で1か月
  • 防腐剤無添加の点眼薬で1週間

というのが眼科的には一般的です。

この使用期限みたいな期間については、定期的な点眼が必要な人以外では、多くの人が守っていないと思われます。というか気にしたこともないことが多いのではないかと思います。

要するに、開けて長期間経った点眼ボトルの中には細菌が湧いて繁殖している可能性があるということです。

そんな菌だらけの目薬を付けること自体恐ろしいですが、コンタクトをしていてその菌がレンズの内側に留まったり、コンタクトで傷ができてしまったところから感染なんてしたら、とんでもないですし、とんでもなく辛い思いをするのは自分自身です。

ただしこの1か月、1週間というのはあくまで目安であり、それを超えたら使ってはいけない、というわけではありませんし、使い方が悪い(点眼液の先端をあちこちに付着させてしまっているなどの)場合では、それより早く雑菌がわく可能性もあります。

このようにコンタクトだけに限らず点眼薬自体の問題もあり、さまざまなリスクを考えると、コンタクトを付けたまま積極的に目薬を使っていいよとは言いにくいのが実際です。

開封後の目薬は1か月程度で破棄しましょう

実際の眼科医の対応は

「防腐剤を含まない目薬以外はコンタクトレンズをはずして、点眼してください」

が多いと思いますが、前述のように、防腐剤フリーに限らずその点眼がいつ開封したものかも注意したほうがいいかもしれません。

コンタクトレンズの上から目薬をつけることに関しては、明確な記載や方針がないため、医師や薬剤師、製薬メーカーによっても見解が異なります。なので

  • 付けてもいいよ
  • 付けたらダメ
  • 付けてよい目薬とダメな目薬がある

など、さまざまな意見があると思います。

添付文書によっては「ベンザルコニウム塩化物を含有するため、含水性ソフトコンタクトレンズ装用時の点眼は避けること。」などと書かれているものもありますが、わざわざ書いてあるものの方が少ないです。

しかし、合併症のリスクを下げる、悪くならないようにする、より安全に、というのが医療者のマインドとして基本的にありますので、「全然大丈夫だからつけていいよ~」という人は少ないと思います。

コンタクトしながら目薬しても全然大丈夫だよ という眼科医は少ない

まとめ

  • 実験的には点眼でコンタクトレンズは変性したり成分が吸着したりする
  • 実際の人への研究では、コンタクトレンズの上から点眼しても問題はなかった
  • コンタクトレンズの上からの点眼についての答えははっきりしていない
  • ただしコンタクトによるトラブルは実臨床でよく見かけるので、そのリスクを下げる意味で、お勧めはしない・しないように伝える医師が多い

以上、コンタクトレンズをしながら点眼をしてよいのか?でした。

個人的には、目の状態と、点眼薬の種類と、コンタクトの種類によっては、気にしなくて使っていいと思います。

具体的には1dayコンタクトで、目の表面が綺麗で、緑内障点眼やステロイド点眼などでなければ使っていいかなと思います。

自らおすすめはしないですが、もし聞かれて、わざわざその目薬をするためにコンタクトレンズを外さなくてはいけない、という状況を考慮してかなと思います。相手に応じて変わるかもしれませんが。

点眼1滴するためだけにコンタクトレンズを外してまた付けること、新しいものに付け変えることも大変だと思いますし、そもそもそんなに点眼薬を使わなくてはいけない人には、コンタクトよりも眼鏡をお勧めします。

眼鏡だったら眼鏡の上から点眼しても目に入りませんが(あたりまえ)

眼鏡は簡単につけ外しできますからね。

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