急性緑内障発作は、眼科の中では重症で緊急性の高い、また本人も非常に辛い代表的な疾患の一つです。
頭痛・吐き気・嘔吐などの辛い症状の中、放置すると失明するという恐ろしい病気ですが、世の中にはなりやすい人が非常に多くいます。
今回は急性緑内障発作に関して大まかな概要と、主に起こりやすい年齢、性別、時間などについて説明します。
急性緑内障発作の症状
急激な頭痛、眼痛(目の奥が痛い)、吐き気、嘔吐、充血、かすみ目、が代表的です。
実際には目が見えにくくなっていることが多いですが、本人はそれよりも頭痛、吐き気などの体の症状が非常に辛いため、「目が調子悪い」などと考られる状態ではなく、救急外来や脳神経科を受診されることも多いです。
しかし、頭痛、吐き気などの症状以外に体の症状は基本的にありません。熱もないし、意識が飛ぶこともないし、手足がマヒすることもないです。ただひたすらに目~目の奥の頭部が痛くて吐き気がして苦しい状態です。
目は高い圧に長時間さらされていると、視神経が痛んでしまい、いずれ光を感じなくなり、放置すると失明します。
急性緑内障発作の原因
眼圧が急激に上がると、上記の症状が起こりますが
「急性緑内障発作」という表現をすると、眼圧が上がる原因としては相対的瞳孔ブロックということになります。
簡単にいうと、目の中の前方のスペースがもともと狭くて(前房が狭い=浅前房)、更に狭くなってしまったときに生じるのが急性緑内障発作です。
前房が狭いことが原因で
隅角がつまる状態を、原発閉塞隅角緑内障および原発閉塞隅角症といい、それらが急に起こるときに、急性緑内障発作といいます。
相対的瞳孔ブロックではなく、通常の瞳孔ブロックでも眼圧は非常に上がり、同様の症状を来しますが、急性緑内障発作とは言わず単に瞳孔ブロックということが多いです。他にも眼圧が上がれば同様の症状は起こりますが、同様に急性緑内障発作とは言わず、それぞれの原因で呼ばれます。
症状が起こる原因は、眼圧が非常に高くなるからで、眼圧は正常値が10-20mmHg程度とされていますが、急性緑内障発作では40-80mmHg程度まで上昇します。目がパンパンに張っている状態で、それが頭痛、眼痛、吐き気などの体の症状を引き起こします。
急性緑内障発作が起きやすい人
浅前房・狭隅角の人に多いです。
浅前房・狭隅角はどういう人に多いかというと
- 高齢者
- 遠視
- 白内障手術を受けていない人
- 女性
という人に多いです。印象としては上の写真のような「小さいおばあちゃん」という感じです。
起こりやすい時間としては、夕方~明け方に起こりやすいとされています。
年齢は高齢者ほど多い
年齢は高齢者ほどなりやすいですが(白内障手術をしていない場合)、40歳くらいから起こる可能性があります。
性別は女性のほうが多い
女性のほうがなりやすいと言われますが、ものすごい差があるわけではなく、他の要素が女性のほうが若干多いから結果として女性に起こりやすいという理由です。
遠視、老眼タイプが多い
遠視は眼軸が短いため、目の内部のスペースが狭いことにより、緑内障発作が起こりやすくなります。
白内障手術を受けたらもうならない?
白内障手術を受けると基本的に、急性緑内障発作は起こらなくなります。
しかしまれに、白内障手術をしてもスペースができない人がいます。
そのような人は、硝子体圧が高かったり(悪性緑内障の気)、既に虹彩前癒着が強く生じていたりと、別の要素があります。
また、相対的瞳孔ブロックによる急性緑内障発作は起きなくても、炎症が強く起こると瞳孔ブロックによって同様の急激な高眼圧状態になることはあります。
夕方~明け方になりやすい?
相対的瞳孔ブロックの機序が、瞳が開いてから閉じかかるときに起こるため
夕方~明け方に起こりやすいと言われます。
夜は瞳が広がりますが(散瞳)、明るい部屋などにいけば瞳は狭くなります(縮瞳)。
- 夜間暗くなって自宅に帰り電気を付けたとき
- 夜間寝ていてトイレに起きて電気を付けたとき
などに起こったりします。
夕方~夜間は病院は救急外来しか空いていませんが、疑わしいときは受診してください。
まとめ
- 急性緑内障発作の概要となりやすい人、状況を説明しました。
- 急性緑内障発作は急激に眼圧が上がって、頭痛、嘔吐、放置すると失明する
- 相対的瞳孔ブロックという機序で起こる
- 高齢者、女性、遠視、白内障手術していない、夜間に起こりやすい
急性緑内障発作関連の記事は、ちょこちょこ他の記事にも登場していたのですが、まとめて書いたの初めてでした。
他の記事にもいろんな側面で書いてあるので、参考にしてください。
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