一般向け内容です。「目が見えにくい」となったとき、どのように見えにくいのかをはっきりさせ理解しておくことで、診断がスムーズになり、治療もスムーズになるので、眼科を受診する前にぜひご確認ください。
ポイントは、「片目を隠したときに治るのか、治らないのか」です。
そもそもの話ですが、ヒトは目が二つあり、両目で見ることで立体的に見えたりしています。二つの目はそれぞれが同じものの方向を向いていることで、ブレない綺麗な像が見えてきます。
片方の目の位置が見ている対象の方向からずれてしまうと、ものが二重に見えるようになります。(=複視)
「はっきりとものが見えていて、それがダブって見えるかどうか」が大事です。
近視の人はメガネをかけなければ遠くのものはぼやけて見えます。場合によってはにじんで見えます。老眼の人は近くのものはぼやけて、同様ににじんで見えたりします。これらは、ピントが合っていないからぼけているだけで、複視とは異なります。
このような場合、「ぼやけて、にじんで、二重に見える」という場合は、ただピントが合っていないからぼけているだけで、眼鏡をかければスッキリ改善することもあります。
一方、はっきり見えているものが二重に見える場合、これは複視といいます。その場合は、「両目で見ると二重に見える」のか、「片目で見ると二重に見える」のかが重要なので、以下のようにして目の前を手で隠すなどして、確認してください。
- 両方の目で見る
- 右目を隠して見る
- 左目を隠して見る
「両眼性複視」といいます。目の位置のずれが原因で、左右の目で見ている位置が異なるため二重に見えます。見ている場所が右目と左目で違うことで生じる複視なので、片方の目を閉ざすと複視はなくなります。(二重ではなくなる)
上のイラストではA,Bの字は右眼には映らないので、左眼だけで見ているためブレは起こらなくなります。
「単眼性複視」といいます。片目で見てもずれるのであれば、両目の目の位置は関係ありません。二重にずれて見えるほうの目が、それ自体が原因です。原因としては、強い乱視、白内障などがあります。
片方の目の影響が強くダブって見えていれば、両目で見てもダブって見えます。ダブらない場合もあります。なので、両眼での見え方はあまり気にしなくてよいです。
大事なのは、
両目でダブって見えるときに→片目でそれが治るかどうか です。
ただし病態として、片目が白内障や乱視の影響で単眼性複視があり、両目の位置もずれていて両眼性複視もあるという感じで、両方が重複する可能性もありますが、その場合の見え方は難しいので省略します。
以上のことから、ぼやけ、かすみという言葉は、「二重に見える、ダブって見える」とは区別して欲しいのです。
複視ではない、目のぼやけ・かすみは非常に多くの原因で起こりえます。もっとも一般的な原因は、未矯正の近視や乱視、白内障などですが、その他に光が通過するところに汚れがあると生じます。
角膜、房水、水晶体、硝子体に濁りがあると、かすみ・ぼやけが生じる
ダブって見えなかったとしても、これらは「かすんで見えるほうの目、それ自体の影響」なので反対の目を隠しても改善はしません。
- 「ぼやけ・かすみ」と「ダブる・二重に見える」は異なり、わかっていると診察がスムーズになる
- よくわからないときは、片目を隠して見てみる
- 片目を隠して改善した場合、両眼性複視(左右の目の向きがずれている)
- 改善しない場合は単眼性複視もしくは、白内障などによる「ぼやけ・かすみ」
とは言っても、どう見えにくいのかというのは伝えるのが難しいかもしれません。見え方で変だなと思ったら、まずは「片目を隠して見てみて、それでどのように見えるか」を自分の中で認識しておくと、診察がスムーズになります。
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