糖尿病網膜症は失明原因の第2位 絶対ならないほうがよい病気

一般利用者向けの内容です。糖尿病網膜症がいかにして起こって、どれだけやっかいな病気で、ならないほうがよい病気かを解説していきます。

糖尿病網膜症は、簡潔に言うと

  • ある程度悪くなるまで自覚症状はありません(自分では気が付きません)
  • 自分で見え方に異変を感じたときには、たいてい既に重症です

なので、眼科の定期通院が必要な病気です。糖尿病と診断された人で目の健康をできるだけ維持したい人は、必ず眼科を受診しましょう。

ある程度悪化してしまうと

  • 繰り返す高額な注射治療
  • 悪化予防のための痛いレーザー治療

が必要になってきて、とてもやっかいで嫌な病気です。(もちろんさらに悪いと手術が必要となり、最悪失明します。)

目次

糖尿病網膜症は失明する

糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で起こる網膜の病気であり、視力などに影響しない軽度の状態から、失明に至るまでの、程度の幅が広い病気です。

日本国内における失明原因(正確には視覚障害者手帳の原因疾患)の第2位となっています。

大事なことなのでもう一度言いますが、

失明原因の病気ランキング、2位です。

糖尿病のせいで見えなくなってしまう人は、非常にたくさんいるということです。

そして失明にまで至らなくとも、糖尿病網膜症による合併症(主に硝子体出血)で手術をされる人は、非常にたくさんいます。とてもよく見える状態にまで回復できる状態の人もいれば、既に目が痛み切っていて手術しても少ししか改善しない人もいます。

糖尿病による合併症

糖尿病の本態は高血糖による血管障害です。

血液内が高血糖の状態だと、血管にとって悪く、血管を傷付けます。

この血管障害によって、さまざまな合併症が引き起こされます。

代表的な合併症が、

  • 腎症
  • 神経症
  • 網膜症

です。

  • 腎症は最悪、透析となります。(週3回程度、数時間の透析を受けないと死にます)
  • 神経症は最悪、足が腐り、下肢切断などとなります。
  • 網膜症は最悪、失明します。

身体には血管が張り巡らされていて、身体の隅々まで血液が届くことで身体の細胞が生きることができます。

糖尿病は血管中をぼろぼろにするため、全身に様々な悪影響を及ぼし、心臓や脳の血管障害(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクもあがります。

糖尿病網膜症の種類

糖尿病による網膜症は、大きく分けると2つに分けられます。

網膜全体に影響が及ぼす名前もそのままの「糖尿病網膜症」と、網膜の中心に影響を及ぼす「糖尿病黄斑浮腫」です。

糖尿病黄斑浮腫

黄斑部は視力に直結する、網膜の中で特に重要な部分です。したがって糖尿病黄斑浮腫では病状が軽度でも強く見えにくさを感じます。このため、運転免許の更新などにはかなり関わってくる病気です。

網膜全体の糖尿病網膜症と、網膜の中心(黄斑部)の糖尿病黄斑浮腫

糖尿病網膜症

一方で、網膜全体への糖尿病網膜症では、網膜の中心に影響が出にくいので、視力は急に下がらず、軽症~中等症までは見え方に影響はほとんど出ません。ただしある程度を境に、硝子体出血などを起こすと、急激に見えなくなります。

こちらが最初に述べた、「気が付いたときには既に重症」ということです。

糖尿病黄斑浮腫→軽症の段階から見え方に異常をきたす

糖尿病網膜症→重症になってから見え方に異常をきたす

糖尿病網膜症の視力への影響、後遺症など

糖尿病黄斑浮腫

糖尿病黄斑浮腫はすぐに視力に影響がでます。適切に治療が行われ改善すればほぼ改善することも可能ですが、重症だと視力が0.1以下にもなります。

また、網膜は傷むと後遺症を残すので、黄斑部が繰り返し痛むと視力が1.0まででなくなったり、歪んでみえたり、見え方の後遺症を残します。結構やっかいな病気です。

網膜の中心である黄斑部が痛むだけなので、視力には強く影響しますが、完全に失明する(光を感じなくなる)ことはありません。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、軽症~中等症では視力に影響がでません。ただし、ある程度を境に急激に視力低下を起こし、さらに未治療でいると、視力は完全に失明するところまでいきます。

失明となる原因としては、糖尿病網膜症から起こる重症な緑内障(血管新生緑内障)が多いと思います。

糖尿病網膜症の治療

糖尿病黄斑浮腫

糖尿病黄斑浮腫の治療は、メインは薬剤の眼内注射(硝子体注射)です。その他、薬剤の眼球後方への注射や、局所的な網膜レーザーを行うことなどがあります。場合によっては硝子体手術をすることもあります。

メインは硝子体注射であり、薬剤料金が非常に高く、1度の注射あたりに3割負担だと5-6万円かかります。多い人だと毎月行う必要があります。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の治療は、メインは網膜全体のレーザーです。悪化しすぎる前はレーザーですが、悪化しすぎて硝子体出血などで見えなくなってしまった場合は、手術しかありません。

治療とは言えど、レーザーすることで見え方が改善するわけではありません。網膜症が悪化し失明を防ぐために行うものであり、レーザーによって網膜の機能はやや下がります。

また、さらに悪化すると難治性の緑内障となって失明してしまうため、緑内障手術が必要となることもあります。薬剤の硝子体注射は状況に応じてこちらも行います。

まとめ

  • 糖尿病網膜症は日本の失明原因の第2位
  • 見え方に異変を感じたときには既に重症である
  • 糖尿病と診断された段階で眼科への受診が望ましい
  • 糖尿病黄斑浮腫は初期でも見え方に強く影響し、視力が下がる(運転免許などに影響しやすい)
  • 悪化させないためのレーザー治療(痛みあり)
  • 繰り返しの高額な注射治療が必要となる

糖尿病網膜症になって良いことはほとんどありません。

見え方の質(QOV)を保つためにも、糖尿病と診断された方は眼科受診すること強くお勧めいたします。

しっかり通院されている方も多いですが、通院を中断されたり医療機関を受診したことがないような人がやはり重症な状態でやってくることが多いです。

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