補装具についてまとめました。
障害者に対する生活の補助のためのものであり、基本的には障害者総合支援法に基づきますが、その他の法律でも規定され支給されることがあります。
いろいろ細かい部分が多くわかりにくいですが、まとめてみましたのでご参考にどうぞ。
補装具とは何か
補装具とは、障害者総合支援法にもとづいて支給される、障害者等の失われた身体機能を補完または代替するための更生用の用具のことで、
- 障害者等の身体機能を補完・代替するもので、障害に対応して設計されたもの
- 日常生活にまたは就労・就学のために同一の製品を継続して使用するもの
- 医師による判定書・意見書を要する
補装具費支給意見書を作成できる医師は
- 第15条指定医
- 視覚障害者用補装具適合判定医師研修会を受講・終了した医師
- 指定医療機関において難病治療を主に携わる医師で所属学会で認定された専門医(難病患者等に限る)
補装具の対象
- 身体障害者手帳を所持している人
- 障害者総合支援法の対象疾患(指定難病+独自の対象疾患)の人で補装具が必要な障害状況と認められた人
眼科の対象疾患
眼科関連の指定難病
以下のページは眼所見があるものをほぼ全て記載した内容になっていますが、全てが該当するわけではないので参考程度に。
障害者総合支援法独自の対象疾患
- 円錐角膜
- 加齢黄斑変性
- 急性網膜壊死
- サイトメガロウイルス角膜内皮炎
- スモン
- ダウン症
- ペルーシド角膜辺縁変性
補装具に関する制度
障害者総合支援法のほかに
- 戦傷病者特別援護法
- 労働者災害補償保険法
- 介護保険
- 生活保護法
などによる福祉用具貸与制度があり、いずれの制度も障害者総合支援法に優先して適用されます。
補装具の種類
厚生労働大臣が定める補装具の種目は 、 以下の通りとなっています。
- 義肢
- 装具
- 座位保持装置
- 視覚障害者安全つえ
- 義眼
- 眼鏡
- 補聴器
- 車椅子、電動車椅子
- 歩行補助つえ
- 歩行器
- 座位保持椅子
- 起立保持具
- 頭部保持具
- 排便補助具
- 重度障害者用意思伝達装置
視覚障害者用の補装具の種類
上記のうちの
- 視覚障害者安全つえ
- 義眼
- 眼鏡
の3つが視覚障害者用の補装具です。
視覚障害者安全つえ
白杖のことです。
視力の低下や視野狭窄により、歩行の安全を図れない人が対象となります。
道路交通法に携帯義務が規定されているほか、外装(色)についても、白色または黄色であることが道路交通法施行令で定められています。
義眼
- オーダーメイド
- レディメイド(既製品)
レディメイド(既製品)よりオーダーメイドのほうが価格が高くなります。
さまざまな形で補助がでます。身体障害者(視覚)の場合は、視覚基準の障害者手帳を持ち医師が必要と認めた場合、眼球摘出術後・眼球内容除去術後であれば健康保険で療養費払いとして払い戻されます。その他、労働災害補償、生活保護、戦傷病者でも補助がでます。
眼球摘出術後、眼球内容除去後の無眼球状態以外にも、小眼球症・眼球ろう・角膜混濁などの有眼球状態でも対象となりますが、基本的には失明レベルの視機能であることが必要です。
眼鏡
眼鏡はたくさん種類があり、大きく以下の4つに分かれます。
- 矯正用
- 遮光用
- 弱視用
- コンタクトレンズ
これらはさらに、
- 遠用
- 近用
- 屋外用
- 室内用
- 前掛け式
- 掛けめがね式
- 焦点調節式
など種類がたくさんあり、度数によって金額、補助額も変わってきます。
基本的には視力が低い人が対象です。
眼鏡は他にも健康保険で「小児弱視等の治療用眼鏡等に係る療養費の支給」として、小児の弱視・斜視・先天白内障術後の屈折矯正の治療用としての眼鏡・コンタクトレンズの補助がでます。
こちらの場合は「治療用」として改善を見込んで使われる点で、障害者総合支援法での眼鏡とは対象が異なります。障害者総合支援法の場合は、機能の改善ではなく(基本的に障害は固定して改善しないことを指す)、機能の代替、補完を目指すものです。
まとめ
- 補装具の支給には15条指定医の意見書が必要
- 補装具の対象者は障害者手帳持ち・障害者総合支援法の対象疾患(指定難病+独自の対象疾患)で必要と判断された人
- 眼科の補装具は視覚障害者安全つえ・義眼・眼鏡
- 障害者総合支援法以外にも、健康保険、その他で補助がでる場合もある
法律、役所関係の仕事のため詳しくない医師も多いと思いますが、障害者手帳の申請には医師の記載が必要ですし、頻度は多くはなくとも関わる分野です。
多少のことは答えられるようにしておくと日々の診療にも役立つかもしれません。
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