自分が使っているメガネやコンタクトレンズが、凸レンズなのか凹レンズなのか、どっちなのか知っていますか?
知らなくても困ることはあまりないですが、自分が何を使っているのか把握しておきたいという人には、今回の記事でわかるように解説いたします。
レンズの効果
レンズは光を曲げる効果があります。光を曲げることで遠方にピントを合わせたり、近方にピントを合わせたりすることが可能です。
細かく言うと光の屈折は、光が今あるところの屈折率とこれから進入するところの屈折率のどちらが大きいかで屈折する方向は変わります。
レンズ(これから進入するところ)は基本的に大気中(今あるところ)より屈折率が高いので、光の曲がる方向は以下のようになります。
凸レンズの効果
- 光を集束する(集める)
- 凸レンズは丸みを帯びて膨らんでいるレンズ
- 光は収束する方向に向かって屈折する
- レンズは大気中より屈折率が高い
凹レンズの効果
- 光を発散する(広げる)
- 凹レンズは内側が丸みを帯びて凹んでいるレンズ
- 光は広がる方向に向かって屈折する
- レンズは大気中より屈折率が高い
レンズの種類
凹レンズと凸レンズですが、合計6種類のレンズがあります。
- 片面が凹か凸、もう片面が平面のレンズ(平凸レンズ、平凹レンズ)
- 両面が凹か凸のダブルレンズ(両凸、両凹)
- 片面が凸、もう片面が凹のメニスカスレンズ(凸メニスカス、凹メニスカス)
凸レンズの種類
平凸レンズ
- 片面のみ膨らんでいるレンズ
両凸レンズ
- 両面が膨らんでいるレンズ
凸メニスカスレンズ
- 片面の強い膨らみに対し、反対面が弱い凹みのあるレンズ
凹レンズの種類
平凹レンズ
- 片面のみ凹んでいるレンズ
両凹レンズ
- 両面が凹んでいるレンズ
凹メニスカスレンズ
- 片面の強い凹みに対し、反対面が弱い膨らみのあるレンズ
メニスカスレンズの違い
凹と凸のメニスカスレンズの違いは、
- レンズ中心が厚く、周辺が薄いのが凸メニスカスレンズ
- レンズ中心が薄く、周辺が厚いのが凹メニスカスレンズ
ということになります。結局は、真ん中が凹んでいたら凹、出ていたら凸になります。
メガネのレンズは一般的に「メニスカスレンズ」が使われています。その理由は、他のレンズより収差が少ないこと、外観がよいこと、フレームへの枠入れ加工がしやすいことなどがあります。
メガネにおける凹・凸レンズの役割
遠くを見る場合、近くを見る場合で話が変わってきますので、イラストでは遠くを見る場合のレンズの働き方を書いていきます。
近視の人
近視の人は遠くからの光は網膜より手前に結像してしまうため、遠くの視界がぼやけて見えます。
近くからの光はより後方に結像し、網膜の近くで結像するため、近くの物ははっきり見やすいです。
遠くを見やすくするためには、遠くからの光が網膜の手前に結像しないように光を拡散する必要があります。元の光を拡散・広げる方向へ曲げることで、網膜上に像が結べばはっきり見えるようになります。
したがって使うのは凹レンズです。
遠視の人
遠視の人は遠くからの光は網膜より奥に結像してしまうため、遠くの視界がぼやけて見えます。
(※実際は目の構造により光は遮断されるため、目の奥に光が結像することはありません。つまり物理的、数学的な計算上、イメージ上、目の奥に結像する、と言っているに過ぎません。)
近くからの光はより遠い位置に結像し(※これもイメージです)、近くの物はさらに見にくいです。
ですが調節力がある若いうち(40歳代くらいまで)は、遠視がそれほど強くなければ調節することで見えます。調節力がなくなると見にくくなり、一般的には老眼と言われています。
いずれにせよ、網膜より後ろへ結像してしまう光を、網膜より手前に結像するように光を集光・集まる方向へ曲げることで、網膜上に像が結べばはっきりと見えるようになります。
したがって使うのは凸レンズです。
正視の人
正視の人は遠くからの光がぴったり網膜上に結像する人です。したがって遠くははっきり見えますので、レンズによる矯正は必要ありません。
近くからの光は網膜より後方に結像(※イメージ)するため、、調節力がなくなると近くは見にくくなってきます(老眼)。調節ができるうちは少しの後方へのズレは補正することができます。
よってメガネを使う場合は、近くのものを見るときに、網膜より後方に結像してしまう像を手前側にもってくる必要があります。したがって使うのは凸レンズです。
まとめ
- レンズには凸レンズ、凹レンズがある
- 凸レンズは光を集める方向に曲げる
- 凹レンズは光を広げる方向に曲げる
- 両凸・両凹、平凸・平凹、凸・凹メニスカスレンズがある
- メガネはメニスカスレンズが一般的に使われている
- 近視の人は凹レンズ
- 遠視の人や老眼には凸レンズ
世の中の多くの人は近視なので、凹レンズを使っている人のほうが圧倒的に多いです。
今回、「網膜より後方へ結像する、という表現はイメージに過ぎない」と説明しましたが、これはあくまでイメージです。実際には結像はしません。(網膜より後方へは目の内部組織により光が遮断されるため結像しません)
なぜ繰り返しこのようなことを言うかというかというと、「遠点」という用語を使うと、この辺りがごちゃごちゃになってくるからです。
また、近視・遠視を理解するためには、眼軸長がキモとなってきます。
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