病院はどこもかしこもだいたい混んでいます。
特別な理由がある人を除いて、診察までの間たくさん待っていたいと言う人はいないと思います。
さっさと診察を終えて帰りたいですし、医者側もさっさと診察(仕事)を終えて(家に)帰りたいです。
今回は待ち時間の原因と対策について、患者側・医者側の両側面から考察していきます。(コラム)
お互い早く帰りたいのですから、お互い協力していきましょう(?)
待ち時間が長くる根本的な原因
まず、根本的なことですが
- 来院患者数が多く
- 一人あたりの診察時間が長い
と、待ち時間はどんどん長くなっていきます。
したがって、患者数を少なく、一人あたりの診察時間を短くすることが、混まない外来を作る基本的な戦略です。
しかし、患者数は完全予約制であればコントロールできますが、そうでなければ患者さんが来るか来ないか次第なので、患者数で確実に待たせないようにコントロールすることは難しいです。
したがって、一人あたりの診察時間(診察室への入退室を含め)を、短くすることが混まない外来を行う上で大切です。
※ただ単に診察にかける時間を短くしろと言っているわけではありません
外来の待ち時間が長くなる原因と対策 医者編
外来が混んで待ち時間が長くなる原因として、医者側に原因がある内容としては
- 予約患者の人数が多すぎる
- 患者一人あたりの診察時間が長い
- 診察に時間がかかりすぎる
- 説明が長い
- カルテ操作が遅い
- 次の患者を呼ぶまでの時間が長い
- 予習をしていない
- 事前に方針を決めていない
- 事前に検査結果を確認していない
などがあると思います。
それぞれ解説していきます。
予約患者の人数が多すぎる
予約システムを取り入れている医療機関の場合です。
そもそもの予約人数が多すぎて、自分の診察スピードでさばききれないほどの患者がいたら、どんどん未診察状態の患者が増えて、待ち時間が長くなります。あたりまえの話です。
予約をつみこみ過ぎず、自分の診察スピードを考え、適度な人数に予約人数を制限するか、予約時間に幅をもたせましょう。
患者一人あたりの診察時間が長い
- 30人の患者がいて、患者一人あたり平均3分で診察した場合、90分(1時間半)
- 30人の患者がいて、患者一人あたり平均5分で診察した場合、150分(2時間半)
- 30分の患者がいて、患者一人あたり平均10分で診察した場合、300分(5時間)
あたりまえですが、診察スピードが遅ければ遅いだけ、患者さんは待つはめになり、自分の仕事が終わるのも遅くなります。
→一人あたりの診察時間を短くできるように努力しましょう
これらの要因として
- 診察に時間がかかりすぎる
- 説明が長い
- カルテ、パソコン操作が遅い
などがあります。
診察に時間がかかりすぎる
診察の技術をあげてさっと診察できるようにしましょう
説明が長い
説明の要点を素人にわかりやすく伝えられるような話し方を考え、練習しましょう
カルテ、パソコン操作が遅い
カルテ操作になれましょう、パソコンのタイピングスピードを速くしましょう
次の患者を呼ぶまでの時間が長い
前の患者さんが診察室を出て、次の患者さんのカルテを開いて、確認して、それから患者さんを呼んでも、次の患者さんが診察室に入って着席し、診察を開始するまでには時間がかかります。
前の患者さんが診察室を出た後は、早めに次の患者さんの呼び出しを開始し、患者さんが診察室に入り診察を始める前までにカルテをさっと確認し、検査結果を確認できるスキルを高めると、効率よくなります。これには慣れとある程度の知識、経験がないと難しいかもしれません。
しかし、これはささいなことながら、患者人数が多い場合は大きく時間効率に関わります。
呼び出してから患者さんが診察室に入り、診察を始めるまでの間の1分ぐらいの差が、合計30人の診察となると30分の差になります。50人いれば50分です。なかなか診察室に入ってこない患者さんもいますので、その場合はもっと長くなります。
患者さんが退室してからもカルテを書くことが多いとは思いますが、前の人のカルテ記入が終わったら、次の人のカルテ内容をじっくりチェックする前に、さっさと呼んでから、患者さんが来るまでの間にさっと内容を理解しましょう。
予習をしていない
病歴が複雑な患者さんなどは、事前にカルテを確認できるのであればしておくと対応が早くできます。
これまでの治療内容や検査結果に対して瞬時に判断し、対応が思い浮かぶのであれば行わなくても大丈夫ですが、特に若手の医師は予習して方針を決めておくことで、当日は多少スムーズな診察ができるはずです。
外来の待ち時間が長くなる原因と対策 患者編
待ち時間が長くなる原因として患者側に原因がある内容として
- 診察室への入退室が遅い
- 話が長い
- 医者に聞きたい質問がまとまっていない
- 医者から治療の提案にすぐに判断ができない
- 残薬数を確認しておく
などがあると思います。
※これらは何も患者さんを責めているわけではありませんが、少し気にしていただけるとwin-winだよという話です
診察室への入退室が遅い
これは、足腰が悪い人、耳が遠い人などを責めているわけではありません。
自分の診察の番号を確認して、近づいてきたら診察室の近くで待機すればよいだけです。
診察に呼ばれてから、診察室から非常に遠いところからゆっくりと診察室へ向かうのと、すぐ近くで待っていて診察室に向かうのとでは、それなりに時間の差が生まれます。
もちろん席が空いてないなどの理由があることもあると思います。これは患者さんを責めているわけではなく、診察の順番が近づいてきたかわかる案内がでているのであれば、診察の時間が近づいたらできるだけ診察室の近くで待つようにしましょう。
話が長い
話したくのはとてもよくわかります。話してもらわないと医者側もわかりません。なので、どんどん話してください。
しかし、こちらとしては質問したことに関する返答が欲しいのです。むかーしむかしのストーリーからお話される方や、斜め上方向の返答が来たりする方は多々いらっしゃいますが、時間だけだってあまり重要ではありません。
また、おしゃべりは医者側がしてくれそうな感じであればしてもよいですが、あまり関係のないことを長々としゃべってしまうと、結局それ以降の患者さんの待ち時間が長くなります。
たくさん待ったのだからしゃべりたい、というのもわかりますが、次の人以降をさらに待たせてしまうため、必要以上におしゃべりをするのは、少しだけご配慮していただけると助かるのです。
医者に聞きたいことの質問がまとまっていない
「何か聞きたいことはありますか?」
と聞いてくれる医者はやさしいと思います。(聞かないでさっさと終えてしまう医者はたくさんいます)
しかし、聞いておいてなんですが
聞きたいことがあるのかないのかはっきりしなかったり、聞きたいことがまとまっていなかったり、聞きたいことを書いたメモがどこかにいってしまって探されたりされると、ものすごい忙しい外来の日などには「しまったな・・・」と思ってしまうこともあります。
質問をできるだけ簡潔にまとめていただいて、2-3点程度までにしていただけるとありがたいです。
医者から治療の提案にすぐに判断ができない
検査や診察の結果の説明を受けて、それに対して治療などの方針の説明があると思います。
現代では基本的に医療はIC(インフォームドコンセント)という用語があり、「医療者側が治療などの説明をした上で、患者側が選択し同意する」という形をとります。
つまり、治療の決定権は患者側にあります。
患者さんがどうしたいか決定してもらえないと、治療はできません。
これもいきなりどうするか選べと言われても困る、というのもよくわかります。その場合は「どれがいいか?」と素直に聞いてもらえれば、医者から提案もしてくれるでしょう。
その場でなかなか決めれない場合は、後ほど診察室に来てもらうか、後日などでもよい場合もあります。迷いやすい人の場合、同席者がいると結構すんなり決めてくれることも多いです。
残薬数を確認しておく
内科の薬は日数で出されることがほとんどであり、飲み忘れがなければ残薬数が大きく変化することはありません。
一方、眼科の点眼薬は、毎回上手に1滴ずつさせる人は別ですが、慣れないと何滴も点眼してしまったり、残数が結構ばらつきます。
現在点眼薬の残りがどれくらいあるか、次回の診察までに点眼薬が何本あれば足りるか、をあらかじめ確認していただけると、素早く対応できます。
まとめ
- 患者数が多くて診察が遅いと外来は渋滞する
- 医者ができること
- 診察技術・スピードをあげる
- 説明力をあげる
- 次の患者さんを早く呼ぶ
- 患者さんができること
- 診察の番号が近くなったら診察室の近くで待つ
- 話し込み過ぎない
- できるだけ自分で判断を
- 残薬数を事前に確認しておく
医者側が診察技術やスピードをあげる努力をして、混まない外来を提供できるように努めるのはあたりまえのことです。
一方、患者さん側は特段何をしろということはないですが、多少の気を使っていただければありがたいという話です。特に、スペースがあるのであれば番号が近くなったら診察室の近くで待つ、お喋りしすぎない、残薬数を確認しておく、自分で判断がすぐできない場合は身近な人に同席してもらう、などがあります。
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