ステロイド点眼・眼軟膏の全種類と力価、副作用まとめ

ステロイドは全身疾患に限らず眼科領域でも頻繁に使われる薬剤です。

全身投薬も副作用が非常に多い一方、点眼薬も副作用を生じます。

ステロイド点眼・軟膏による懸念すべき副作用のほとんどは、「眼圧」です。

ステロイド点眼・軟膏の眼内移行性や、力価などによってステロイド性の高眼圧になるリスクが変わってきます。

目次

ステロイドの力価

糖質コルチコイド(グルココルチコイド)作用(抗炎症、抗アレルギー、免疫抑制、代謝作用)としての力価です。

全身用ステロイド(内服薬)の力価

ヒドロコルチゾンを1として、以下のようになります。

  • ヒドロコルチゾン1
  • コルチゾン0.8
  • プレドニゾロン4
  • メチルプレドニゾロン5
  • トリアムシノロン5
  • パラメタゾン10
  • デキサメタゾン25-30
  • ベタメタゾン25-30

皮膚科の外用ステロイド(塗り薬)の力価

外用ステロイドは作用の強さとして5段階に分かれています。(strongest, very strong, strong, medium, weak)

眼科用のステロイド点眼の力価

点眼薬の力価は明確には決まっておりません。

ベタメタゾンやデキサメタゾンは、ステロイド力価が高いことに加えて眼内移行も良好であるため、強いステロイド点眼薬として認識されていおり

一方、フルオロメトロンは角膜への浸透性が低いことから、弱~中のステロイドとされています。しかし眼表面の炎症には有効でありかつ副作用が少なく使いやすい利点があります。

ステロイド点眼薬 全種類

フルオロメトロンのみ眼表面メインで眼内移行率の低い弱めのステロイド、他は強めのステロイドと考えてよいです。

以下のような表もありました。

トピックス 2 ステロイド点眼薬の使い方:コツと落とし穴|アレルギー 58(6),613-619,2009

ベタメタゾン

  • リンデロン0.1%/0.01%
  • サンベタゾン0.1%
  • ベルベゾロン0.1%
  • リノロサール0.1%
  • ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF0.1%

強ステロイド点眼です。

リンデロン点眼は通常は0.1%を使いますが、低濃度の0.01%が存在します。

また、PF点眼はPreservative Freeの略で、防腐剤無添加となっています。長くステロイドが必要な眼疾患で、かつ角膜上皮障害がある人、リスクがある人に使いやすい薬剤となっています。

PF点眼薬(防腐剤無添加)|ロートニッテン

フルオロメトロン

  • フルメトロン/フルオロメトロン0.1%/0.05%/0.02%

弱ステロイド点眼です。

名前がフルメトロンとフルオロメトロンと2種類あり、濃度が0.1%と薄い0.02%があります。参天の先発品(0.1%/0.02%)に対して、後発品はセンジュ、ニットー、わかもと、日点の点眼があります。0.05%はセンジュ、日点のみ。

フルオロメトロン自体はステロイドとしては弱いので、0.02%は「水のようなもの」と表現される人もいます。自分は0.1%以外はほとんど使いませんが、使いようはあるかもしれません。

デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム

  • オルガドロン0.1%
  • テイカゾン0.1%

強ステロイド点眼です。

デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム

  • サンテゾーン0.1%/0.02%
  • D.E.X点眼0.1%/0.02%
  • ビジュアリン0.1%/0.05%/0.02%

強ステロイド点眼です。

ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩

  • リンデロンA液
  • ベルベゾロンF液

フラジオマイシンが含有されている強ステロイド点眼です。フラジオマイシンはアミノグリコシド系の抗菌薬で、接触性皮膚炎を起こしやすいというデメリットがあります。

ステロイド点眼と抗生剤が必要な場合、基本的にはこのような合剤を処方するより、それぞれを処方するほうが多いと思われます。

ステロイド眼軟膏 全種類

デキサメタゾン

  • デキサメタゾン眼軟膏0.1%
  • サンテゾーン0.05%眼軟膏

強ステロイドの軟膏です。

単純に強く消炎したい眼瞼の炎症などには使えますが、高眼圧などの副作用に注意しましょう。

プレドニゾロン酢酸エステル

  • プレドニン眼軟膏
  • プレドニゾロン酢酸エステル眼軟膏0.25%

内服薬の力価を考えると、中等度のステロイドの軟膏です。

ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩

  • リンデロンA軟膏

強ステロイドの軟膏です。

フラジオマイシンが含有されています。

メチルプレドニゾロン・フラジオマイシン硫酸塩

  • ネオメドロールEE軟膏

内服薬の力価を考えると、中等度のステロイドの軟膏です。

フラジオマイシンが含有されています。

ステロイド点眼・眼軟膏の合併症

眼科におけるステロイドの合併症のメインは、白内障と緑内障です。

白内障は水晶体、緑内障は隅角が関係する疾患であり、眼内移行率が高いステロイド薬ほどリスクがあがります。とはいえ、短期的にみて一番重要なのは、緑内障に関係する眼圧です。

ステロイド剤を使用した際は眼圧が上がってこないかのチェックが必須と言ってよいでしょう。点眼に限らず、眼周囲に塗布する場合、ステロイドパルスやそれなりの用量の内服する場合もです。

他、フラジオマイシン含有のものはフラジオマイシンによる接触性皮膚炎を起こすリスクがあり、眼瞼炎や充血を起こすことがあります。

正確な病勢評価という点では、抗生剤が含有されているものは、抗生剤が効いたのか、ステロイドが効いたのか不明確になります。また効き目が乏しい場合、効果が弱いのか、フラジオマイシンによるアレルギーが生じているのか、判断がしにくい場合があります。したがって、使い手の好みですが、フラジオマイシン含有の薬剤を好かない人もいます。が、多くはそれなりに効果が得られます。

ステロイドによる高眼圧は1-3週程度で生じることが多いです。眼圧は30~50mmHg程度までとかなり上がることがあります。眼圧40mmHg以上は結構緊急です。

ステロイドを使う人は眼科診察を忘れないようにしましょう。

まとめ

  • 点眼薬は主にベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオロメトロンと、フラジオマイシン含有のデキサメタゾン
  • 点眼薬の強さ、副作用の強さは、ベタメタゾン=デキサメタゾン>フルオロメトロン
  • 眼軟膏は主にデキサメタゾン、プレドニゾロンと、フラジオマイシン含有のベタメタゾンとメチルプレドニゾロン
  • 眼軟膏の力価はデキサメタゾン>プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン
  • フラジオマイシンは接触性皮膚炎を起こしやすい
  • ステロイドによる高眼圧に注意

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