理解して覚える網膜10層構造の覚え方、語呂まとめ

網膜は目の内側に裏打ちされている膜であり、光を受け取る神経細胞でできています。その情報が神経を通して脳へ伝わり、「見る」ことができます。脳と同じく神経細胞でできており、障害されると後遺症を残すことがあります。今回はその網膜の層の覚え方に関して書いていきます。

ものが見える仕組みはこちら

目次

網膜の10層構造について

網膜は内層(目の内部側=硝子体側)から順番に

硝子体(眼の内側)


網膜

  1. 内境界膜
  2. 神経線維層
  3. 神経節細胞層
  4. 内網状層
  5. 内顆粒層
  6. 外網状層
  7. 外顆粒層
  8. 外境界膜
  9. 視細胞層
  10. 網膜色素上皮層


脈絡膜

強膜(眼の外側)

となっています。10層もあるので覚えるのは大変ですが、網膜の役割や解剖を理解しておくと、暗記するところは一部で済みます。(その分、網膜の役割や解剖を理解しないといけませんが・・・)

10層構造の覚え方

目の基本的な解剖、生理をわかっていると、ある程度は覚えなくても解ります。

①光情報の伝達の方向

ヒトの目は

  1. 瞳孔(ひとみ)から光が眼球内部に入り
  2. 光は網膜の内側の層を通過して
  3. 網膜の外側の層の視細胞で光刺激を受けとって
  4. その情報がシナプスを介して内側の層へ伝わり
  5. そこから神経線維が視神経乳頭へ向かって、脳へ向かう

という流れで光刺激が伝達します。すなわち、網膜の外側から内側に情報が伝わり、それが脳へ伝わっていきます。そうすると、

  • 視細胞は外側(脈絡膜側)寄り
  • 神経線維・神経節細胞層は内側(硝子体側)寄り

であることは明らかです。また、神経節細胞の軸索が神経線維となって、視神経乳頭に集まって、視神経を形成し脳へ繋がっています。網膜の外側から内側に情報が流れていくため、神経線維層は神経節細胞層より内側になります。

②内境界膜は1番内側

網膜10層のうち、内境界膜(internal limiting membrane:ILM)という層があります。内境界膜ILMで知っておいて欲しいことは、内境界膜は硝子体手術の際に剥きとる操作をすることがある、ということです。

冒頭に述べたように、網膜は神経でできているので、障害されると後遺症が残ります。そんな中で剥きとってもよい層が内境界膜ILMというわけです。すなわち、網膜10層構造において、網膜を触って剥いても大丈夫な場所と言われたら、、、一番内側になります。

剥いてよい理由は、内境界膜は神経網膜ではなく、基底膜だからです。

③網膜色素上皮層は1番外側

網膜色素上皮は、視細胞(神経網膜)を栄養する土台です。土台なので、一番外側と考えればokです。網膜の外側は脈絡膜(ぶどう膜)になりますが、ぶどう膜は基本的に濃い茶色をしています。網膜色素上皮は名前の通り、色素があるため、網膜の内側にあると光を遮ってしまいます。すなわち同じように色の付いている脈絡膜と同じ側にいないとダメなので、一番外側になります。


以上の基礎的なこと(一部臨床要素もありますが)を考えると、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、視細胞層、網膜色素上皮層は、10層のうち以下のところになります。

  1. 内境界膜(←硝子体手術で剥く、一番内側・硝子体側の膜)
  2. 神経線維層
  3. 神経節細胞層
  4. … 
  5. 視細胞層(←網膜色素上皮の1つ内側)
  6. 網膜色素上皮層(←網膜の土台、脈絡膜の手前)

残りの層は、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜の5つです。

10層のうち暗記する箇所

したがって暗記で覚えるのは

  1. 内境界膜
  2. 神経線維層
  3. 神経節細胞層
  4. 内網状層
  5. 内顆粒層
  6. 外網状層
  7. 外顆粒層
  8. 外境界膜
  9. 視細胞層
  10. 網膜色素上皮層

4~8番目の中5つ、ここだけでokです。

「内もう(網)か(顆)・外もうか・境界」とか適当に覚えればokですが、全部「内○○層」「外○○層」というように、「内」「外」という接頭語が付いています。内が内層よりで、外が外層よりなのは当たり前なので、順番も暗記ではなく覚えられると思います。

内境界膜は一番内層なので、外境界膜がどこに入るかが一番覚えにくいのですが

  1. 内境界膜
  2. 神経線維層
  3. 神経節細胞層
  4. ←外境界膜
  5. 視細胞層
  6. 網膜色素上皮層

もうか・もうかの一番外と覚えればよいでしょう。

外もうか→内もうか→外境界

ただしそこまで理解する時間がなく、完全に暗記・語呂で覚えたい人には、以下のものを紹介しておきます。

覚え方・ゴロ

他ブログからの引用させていただきます。

内気繊細もうかりゅもうかりゅ(儲かる)。今日至上の喜び」

内気な→内境界膜
繊→神経線維層
細→神経節細胞層
もう→内網状層
かりゅ→内顆粒層
もう→外網状層
かりゅ→外顆粒層
今日→外境界膜
至→視細胞層(桿体錐体細胞層)
上→色素上皮層

引用:まめっこ医学生の語呂合わせ

「境界線で切るもかもか教科書」

境界→内境界
線→神経維層
で切る→切(セツ)→神経細胞層
も→内状層
か→内粒層
も→外状層
か→外粒層
教科→外境界
し→細胞層
(し)ょ→そ→網膜色上皮層

引用:みーの医学

どちらも結構昔のブログ記事から引用したものなので、年期が入っております。これ以外の暗記文は、独自で作ってください。

まとめ

  • 理解すれば暗記する部分は10層のうち、5層のみ
  • その5層も「内」「外」と接頭部がつくので覚えやすい
  • 内もうか→外もうか→外境界
  1. 内境界膜(←硝子体手術で剥く、一番内側・硝子体側の膜)
  2. 神経線維層
  3. 神経節細胞層
  4. 内網状層
  5. 内顆粒層
  6. 外網状層
  7. 外顆粒層
  8. 外境界膜
  9. 視細胞層
  10. 網膜色素上皮層(←脈絡膜の手前)

覚えるのは下線部のみで、後は理解できます。

内境界膜は網膜の一番内側の基底膜ですが、この内境界膜は目のいろんな病気が起こる部分でもあります。以下の記事では、網膜と硝子体の境界面に起こる病気たちをまとめているので、是非参考にしてください。

・・・まぁ働く上ではこの10層構造全てをすぐに言える必要はないので、忘れます(笑)

コメント

コメントする

10 + 5 =

目次