低眼圧時の圧迫眼帯の処置の意味 原理と行う際の注意点

施設によって扱いが異なると思いますが、圧迫眼帯をどのようなときに使っていますか?

そもそも眼科書籍に圧迫眼帯のことを細かく書いてあるものは多くなく、論文を検索してもあまり多くは見つかりません。

それだけ施設毎にやり方が様々で、慣例的に行われているものだと思われます。

主に低眼圧時に行われますが、圧迫の仕方がよくなかったりするとむしろ悪化や合併症を起こし得ます。

目次

圧迫眼帯とは

圧迫眼帯とは、通常の眼帯にプラスして(もしくは別の方法で)、ガーゼを折ったものなどを間に入れて厚みを出した状態で、眼帯の上からテープなどで強力に押さえつけて付ける眼帯のこと。  

具体的な付け方は、圧迫の仕方などは施設によって異なると思います。

眼球を圧迫するようにして、眼帯をつけることが肝です。

圧迫眼帯を行う疾患・病態

  1. 緑内障術後の過剰濾過の状態
  2. 円錐角膜の急性水腫

教科書的には上記2つが圧迫眼帯の使用場面です。

調べる限りではそれ以外は書いてありませんでした。

ただし慣例的に緑内障手術に関係なく術後低眼圧のときに行われていたりします。

圧迫眼帯の効果

圧迫眼帯による大まかな効果は

  1. 圧迫することによって眼球運動をさせないようにする
  2. 圧迫することによって眼内圧をあげる

の2つです。

①は目を指などで瞼の上から強く押さえつけてください。動きにくくなるはずです。

②はそのまま、眼球を凹ませて体積を減らしているので圧が上がります。

圧迫眼帯の使用場面ごと図式解説

圧迫眼帯を使う可能性がある場面について検討してみます。

緑内障濾過手術後の過剰濾過

前房が消失しているような状態です。

「濾過胞・強膜弁を上から押さえつけるようにして圧迫することで、蓋をするような形で房水の濾過を減らす目的で行う」いう原理のようです。

たしかにうまく塞がれば効果はあるかもしれません。


しかし目が動いてしまったり、濾過部分を圧迫していない状態になると、圧迫によって眼内圧が上がり、濾過部分から更に前房水が漏れ出ると想定できます。


つまり、ちゃんと弁を蓋をするように圧迫できていなければ逆効果というわけですね。

実際には前房内に粘弾性物質を繰り返し注入して様子を見ているパターンや、縫合するパターンが多いような気がします。

円錐角膜の急性水腫

「圧迫眼帯+炭酸脱水酵素阻害薬(ダイアモックス)の内服が基本」と記載されている書籍はあります。

原理は書いていないのでよくわかりませんが、眼圧を下げることは、デスメ膜破裂を起こした部分を更に前房内から圧をかけないようにする、という目的かと思われます。


圧迫眼帯は?

圧迫したら眼圧は上がります。ダイアモックスで圧を下げているのに眼内圧を上げる意味がよくわかりません

また、①で述べた通り圧迫するには圧迫する位置が重要です。


どの方向から圧迫するのか?

記載はありません。


下手に圧迫したら弱っている角膜に圧をかけ、逆に悪化、眼球破裂(穿孔)するのでは?

それとも角膜の真正面から圧迫するのか?よくわかりません。


急性水腫になると角膜上皮が障害されることが多いです。可能性としては、角膜上皮障害を早く改善させるために、圧迫眼帯(+眼軟膏)をして眼球運動をさせずに、上皮改善を目的としている、というのはあるかもしれません。

しかし後述するように、圧迫眼帯は角膜上皮障害を起こす可能性があります。角膜上皮障害を治すために角膜上皮障害を起こす可能性がある処置をする、というのも意味がわかりませんね。

そして圧迫眼帯をしなくても、急性水腫は治ります。

硝子体術後の低眼圧(ポート刺入部の閉鎖不全)

これも濾過手術と同様、穴を圧迫しなければあまり意味がないように思います。

つまり、どこのポート部分から漏出しているかをザイデル試験で確認して、その方向から圧迫すれば意味はあるかもしれません。

しかしこちらも基本的には自然に閉鎖するのを待つか、縫合したほうが早いです。

穿孔のない低眼圧病態

毛様体浮腫・剥離などによる房水産生低下による低眼圧病態

低眼圧の状態が続くと起こり得るよくない病態として、脈絡膜剥離(CD)や低眼圧黄斑症、易感染性などがあると思います。易感染性は穿孔している状態に当てはまるのでここでは省略します。

圧迫によって眼内圧が上がれば、CDや低眼圧黄斑症は生じにくくなるでしょう。

CDは両端が接触するほぼ大きいものでなければ緊急度は低いし、低眼圧黄斑症も長期間持続しなければ可逆性です。

しかしどちらも勿論、起こらないのに越したことはありませんので、そういう意味では一番理にかなっている使用場面かもしれません。

圧迫眼帯の注意点とデメリット

  1. 圧迫の位置がずれたら意味がない
  2. 圧迫のされ具合が人によってバラバラであり、効果もバラバラ
  3. 角膜上皮障害を起こすことがある

圧迫することで眼球は、眼窩壁や眼瞼に押し付けられることになります。

当たり方が悪いと角膜上皮障害を起こします。

また、先ほど述べたように穿孔性低眼圧の穴に蓋をする目的の圧迫眼帯の場合、圧迫位置がずれたらむしろ、眼内圧が上がることで、穴から更に房水が漏出し、病態が悪化すると思われます。

圧迫眼帯のまとめ

  • 圧迫眼帯について詳細に書かれた書籍・文献は少ない
  • 圧迫眼帯を何のためにやっているのか考えよう
  • 圧迫の位置がずれると意味ないどころか悪化させる可能性もあり
  • 角膜上皮障害を起こす可能性がある
  • 実際には圧迫眼帯をしなくても問題のないケースが多い

個人的にはよく角膜上皮障害を起こして疼痛や透見性が悪くなったり充血が強くなったりするので、自分はあまり好んでやりません。

調べてもあまり載っていないというのは、やはり慣例的で、なんとなく効果がありそうだから、という感じであいまいな処置・治療だと思います。


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