ピンホールメガネによる視力改善効果は、
ない です。
ないのですが、ピンホールメガネを掛けると見やすくはなるのは事実です。
掛けている間は見やすいですが、外したら元に戻る、外しても視力がよくなっているわけではない、とうことです。
何が起こっているのか解説します。
※この記事はピンホールメガネの購入を勧めるものではありません。記事内にリンクを貼っていますが、画像でイメージしやすいように載せています。購入は自己判断で。
ピンホールメガネとは
ピンホール上に穴が数箇所~たくさん空いているメガネ。
穴が空いていないところは普通は真っ黒で、光を通過しません。穴が空いている部分だけから見える仕組みです。
上のような感じで、穴が空いている数はデザインによっていろいろ異なります。
アマゾンでは値段は数百円~数万円まで、いろいろありました。
↓1万円を超えるピンホールメガネ
↓2万円を超えるピンホールメガネ
デザインがいろいろあって、金額設定もいろいろあって面白いですね。高いやつは何となくスタイリッシュな感じがします。
しかし繰り返しますが
ピンホールメガネに視力を改善・回復する効果はありません。
ピンホールメガネで見やすくなる理由
ピンホールメガネは掛けている間は見やすくなります。
これは本当で、「見やすくなった」「効果がある」「すごい」などと思うかもしれません。
しかしメガネを外したら、もとに戻ります。(見にくくなります)
外しても見やすい状態、すなわち(もともとの)視力が回復・改善した、ということは起こりません。
※目の緊張状態で起こる仮性近視などでは改善することもあります
これは、ピンホール効果という物理学的な原理で起こっているだけです。
ピンホール効果とは何か
ピンホール(せまい穴)に光が通るときに起こる現象です。
- 狭い穴の部分しか光が通らないので、光の量は減ります(暗くなる)
- 一方で狭い部分からの光は奥行きの広い範囲に光が届きます(焦点深度が広がる)
この焦点深度が広がる(深くなる)というのがキモで、この物理現象によって、見やすく感じているだけです。
焦点深度の詳しくは上の記事紹介していますのでご確認ください。
まとめると、
「見やすい奥行きの幅が広がる」ため、見やすいということです。
- 近視の人は遠くが見にくいですが、焦点深度が広がれば少し遠くまで見やすい部分が広がって、見やすくなる
- 老眼の人は手元が見にくいですが、焦点深度が広がれば手元近くまで見やすい部分が広がって、見やすくなる
ということです。
どのタイプのピンホールメガネがよいか?
視力回復法、すなわち「メガネを外したあとも視力が上がるか」という観点でいうと、視力回復はしませんのでどれでもよいです。ただしデザインなどにより、見やすいタイプのピンホールはあると思います。
具体的にどのタイプのピンホールが見やすいのか、は研究データがあるかもわかりませんが、人の目自体もいろいろ個人差がありますので、その目の状態によって見やすいタイプのピンホールも異なってくると思います。
しかし単純に穴が多いほど見やすい、穴が小さいほど見やすい、というものではありません。
それは
- 穴が小さいほど焦点深度は広がる(見やすくなる)
- 穴が小さいほど光の入る量は減り暗くなる(見にくくなる)
- 穴が小さいほど光の回折現象は大きくなる(見にくくなる)
- 穴が小さいほど高次収差は小さくなる(見やすくなる)
「回折」「高次収差」という新たなワードがでましたが、これも物理現象を表す言葉です。
光が通る穴の大きさや数によって、これらの要素が関係してきて見やすさに影響するため、複雑なんですね。
まとめ
- ピンホールメガネに視力回復の効果はない(ほぼ正しい)
- 掛けている間は見やすいが、外したら見にくくなる
- ピンホール効果で焦点深度が深くなるから見やすくなるだけである
- 穴は小さいほど見やすいというわけではない
ピンホールメガネで視力が改善する と書いてあったら、それは多分ウソですので、すぐに飛びつかないようにしましょう。
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