正常眼圧緑内障は、緑内障の分類の一つであり、日本人においては多いタイプでもあるため、眼科医からしたら一般的な疾患です。
しかし、
- 緑内障は眼圧が高いとなりやすいのに
- 眼圧が正常値なのに緑内障である正常眼圧緑内障
という、矛盾しているような内容でもあり、一般の人からしたらわかりにくいかもしれません。
ということで、正常眼圧緑内障に関して解説します。
緑内障は眼圧が高いとなりやすい
眼圧の正常値は10-21mmHgです。
眼圧は高いほど緑内障にはなりやすくなります。
したがって、人間ドックなどでは眼圧がおおよそ20mmHgを越えてくる場合には異常値として、精密検査を勧められます。
眼圧は高いけれど検査の結果、緑内障はまだなかった場合には、高眼圧症という病名になります。
正常眼圧緑内障の眼圧は正常値
正常眼圧緑内障は、その名の通り、眼圧は正常範囲内です。したがって、未治療の状態で眼圧が10-21mmHgになります。
眼圧は高い方が緑内障になりやすいと言いつつ、眼圧が正常値で高くないのに緑内障になるとはどういうこと?という話です。
結論としては、
- 眼圧が正常値(10-21mmHg)であっても、緑内障になるかどうかの眼圧の基準値は、人それぞれ異なる
ということになります。
つまり、正常範囲内の眼圧であっても、人によっては緑内障は出現・進行します。日本人には眼圧が正常範囲内の緑内障(正常眼圧緑内障)が多いため、眼圧が正常範囲内だから大丈夫というわけではないということです。(ただし眼圧が高い方が緑内障にはなりやすいです。)
緑内障の治療は眼圧を下げること
眼圧が高いと緑内障になりやすいので、緑内障の治療(主に点眼薬)では、眼圧を下げることを目標とします。
しかし、眼圧を下げることは間接的な目標です。
眼圧を下げることで、緑内障による視野狭窄をとどめること、進行させないことが本来の目標になります。
したがって、
- 眼圧値が下がっているかどうかを確認し
- 視野障害が進行していないかどうかを確認する
ことが緑内障診療・治療の基本になります。
眼圧が正常値でも眼圧をさらに下げることが治療
正常眼圧緑内障では、眼圧はそもそも正常値です。
しかしそのままでは緑内障が進行するため、眼圧を正常範囲内のなかで、さらに下げる必要があります。
なので、
眼圧は正常値だけどもう少し下げるために点眼薬を追加しましょう
ということになります。
正常値ではあるけれど、あなたの目にとって今の眼圧はまだ高く、緑内障が進行する可能性があるため、さらに下げる、という感じです。
まとめ
- 眼圧の正常値は10-21mmHg
- 緑内障は眼圧が高いほど進行しやすい
- 正常眼圧緑内障は、眼圧は正常値だけど、緑内障が進行する
- 日本人には正常眼圧緑内障が多い
- 正常眼圧緑内障では、眼圧が正常値でもさらに下げる必要がある
- 眼圧が正常範囲内でも、その人の目にとって高い可能性がある
正常眼圧緑内障に関して言えば、眼圧の正常値(10-21mmHg)という数値はあまり意味がなく、未治療でのその患者さんの眼圧値を基準として、そのままでは「高い」状態であるため、それよりも「低く」なるように治療をする必要があるわけですね。
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