詐病(詐盲)患者の取り扱い方、撃退・撲滅マニュアル

タイトルは半分ネタです。(本文は長いです)

撃退したいところもありますが、実際は大きな問題にならないようにしつつ毅然とした態度で、検査結果と一致しない自覚症状の結果を診断書に記載すればokです。

利益を得ようと悪いことを考えている人なので、自身の身を案じて安全な対処をするのが吉です。

目次

詐病とは

詐病とは、何らかの利益を得る(疾病利得)ために、嘘の症状を述べ病気であるかのように偽ることを言う。

利益を得たいから嘘を付いているので、必ず診断書(病院の様式のもの、保険会社のもの、障害等級のものなど)を要求されます。必ず診断書を要求するので、よっぽどうまくやる人を除いて、普通にわかります。

つまり、検査上は異常がないのにそれなりの症状を訴えます。

詐盲とは、詐病の中で目の症状(視力低下や視野狭窄、その他)を有するものを言います。


以下、詐病について引用。

詐病(さびょう、Malingering)とは、経済的または社会的な利益の享受などを目的として病気であるかのように偽る詐欺行為をしてしまう精神病。 類義語に仮病(けびょう)があるが、詐病とはニュアンスが異なる。仮病は、欠席の理由付けなど、その場しのぎに行うものなどの症状が多い。これに対して詐病は、実利を目的とするものをいうことが多く、どちらかというと虚偽性障害(きょぎせいしょうがい)に近い。また、類似の症例としてミュンヒハウゼン症候群があるが、これは周囲の関心を引くために行われるという点で詐病や仮病とは異なる。 DSM-5には「詐病は個人的な利益(金銭、休暇)などを得るために意図的に病状を訴えるという点で作為症とは異なる。対照的に、作為症の診断には明らかな報酬の欠如が必要である。」と書かれている。

Weblio辞書

精神障害診断のDSM-5には、上記のように詐病の記載があるみたいです。

実際には病気ではないのに病気を装うことで不正な利益を得ようとする行為。類義語に「仮病」があるが、仮病は、会社や学校を休むためにかぜを引いたふりをするなど、軽度の病気を装うことをさす場合が多い。これに対して詐病は、より悪質で反社会的なものを意味する。たとえば保険金詐欺では、自動車の運転中にあえて急ブレーキをかけるなどして追突を誘発し、軽く接触しただけであっても、むち打ちの症状を重篤なように装い、多額の保険金を得ようとする。殺人などを犯した者は意味不明なことを口走り、奇怪な行動をとることで精神疾患を装い、減刑をねらうことがある。また、犯罪に至らないまでも、就労を拒否するために、うつ病のふりをして医師の診断書を取得し、長期にわたって休職するような例も詐病の一種である。

コトバンク

医師法における診断書交付の義務

さて、詐病であっても医師は診断書を交付しないといけないのか?

医師法により、医師は正当な事由がなければ診断書を交付しないといけません。

診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない

医師法第十九条2

正当な事由とは、日本医師会日医NEWSの記事によると、

  1. 患者に病名を知らせることが好ましくない時(がん告知が拒否されている場合など)
  2. 診断書が恐喝や詐欺など不正使用される恐れがある時
  3. 雇用者や家族など第三者が請求してきた時
  4. 医学判断が不可能な時

との記載があります。

詐欺や不正使用の恐れがある場合は書かなくてよいのか?

過去の判例

診断書の交付をめぐる過去の裁判を取り上げてみます。

診察をした医師には、医療契約の内容として、診断書の交付要求に対して応じる義務があるというべきところ、診断書が詐欺、脅迫など不正目的で使用される疑いが客観的状況から濃厚であると認められる場合、医師の所見と異なる内容など虚偽の内容の記載を求められた場合、患者や第三者などに病名や症状が知られると診療上重大な支障が生ずるおそれが強い場合など特別の理由が存する場合に限って、拒否すべき正当事由が存在するとして交付義務を免れることができると解するのが相当である。

 そして、本件事案のように、検査に異常が認められず他覚症状も認められない場合には、その旨を患者に説明し、それでも診断書の交付を求める者に対しては、本人の訴える自覚症状(主訴)および検査、診察の結果、医師としての判断した結果を記載した診断書を交付すべき義務があり、交付自体を拒否することはできないと解するのが相当である。

東京簡裁平成16年2月16日判決

こちらはある程度医師に厳しい判断を下しているようですが、不正目的が濃厚である場合、虚偽の内容の記載を求められた場合などは拒否できる可能性はありそうです。

診断書の記載事項および内容については、…、死亡診断書など法令、規則等により定められている場合は格別、本件診断書については、その様式、記載事項、記載内容などはすべて医師の判断に委ねられているものであるから、X(患者)の具体的な記載事項の提示はあくまでも希望の域を出ないものであって、これに医師が応じる義務はない

東京簡裁平成16年2月16日判決

これは患者が「このように記載して欲しい(全治見込みまでの期間、原因、治療、予後など)」と希望されても、医師は書けることだけ書けばよいという内容です。もちろん書ける内容なら希望通りに書くのが普通ですけど、書きにくいところを無理して書く必要はないということですね。

記載内容が納得できないと、医師の診断結果と異なる内容の記載を求めることは、医師に虚偽私文書作成罪の犯罪行為を強いるもの

東京簡裁平成16年2月16日判決

行き過ぎた内容、明らかに嘘である内容、虚偽である内容を書くことは、犯罪になり得ます。更に公的文書の場合は重い罪になる可能性があります。

詐病患者への対応

さて、これらを踏まえた上で、診断書を書くか?どうするか?書くならどのように書くか?(ネタも含みます。)

大病院、上級医に投げる

はっきり言って、このような人への対応は面倒です。

自信がない場合、責任を持てない場合は泥沼にならないよう、依頼するパターンもありでしょう。

「うちじゃ検査で原因がわからないから大きな病院で診てもらいましょう」とか言って投げる。投げられた方は大変迷惑ではありますが。

大病院であれば、「ベテランの先生に診てもらいましょう」などと言って上級医に対応をお願いする。大変迷惑なので、お詫びとお礼を添えましょう。

症状と検査結果をそのまま記載する

上記判例を含めると、必要以上な記載を求められていないのであれば、書ける内容だけ書くことを了承してもらい書くのが無難でしょう。

症状は本人の言う通りに、検査結果は検査結果通りに(異常なければ異常なしと)、診断名はうまい具合に誤魔化すしかないでしょう。疾患名は書けないので、症状を書いておけばよいと思います。

眼科領域で言えば、視力検査・視野検査はやると思います。その結果をそのまま書き、その視力や視野異常をきたすような原因がなかったら、「前眼部~眼底~脳・視路(MRIなど撮っていたら)に異常は所見は認めなかった」とそのまま書けばokです。疾患名は書けないので、「視力障害・視野障害」などで誤魔化すしかないでしょう。

確定診断が必要とする書類(例えば難病の特定疾患など)は、検査結果に異常がなければ基準を満たさないので「書けない」で済みます。それでも求められたら「書いてもいいけど申請は通らないと思う」でよいと思います。(そういう書類を求めてくることは少ないですが)

整合性がないため書けないと断る

明らかに嘘ということが分かれば正当な事由になる可能性が高いわけです。

眼科での検査は、他に異常所見がない上で、視力検査のトリック法・視野検査で特徴的な結果が得られれば、心因性もしくは詐病が非常に疑われてきます。更に診断書を求めてくれば、詐病の可能性が非常に高くなるので、断ってもいけるんじゃないかと個人的には思います。

ただし恨みを買う可能性があります。

詐病患者の撃退法

撃退するのも面倒なので、撃退しないで無難に診断書を書くのもありです。

以下は、詐病相手に診断書をあまり書きたくないと思う人に対してです。(もちろん明らかに詐病だと思われる相手に対して)

以下のことを事前に説明するとよいでしょう。

原因を調べるために検査が必要であり検査費用がかかること

詐病の人は利益を得たいので、検査がかさんで出費が増えることを嫌います。

病気の人は原因は突き止めてほしいと考えるので、よほど金銭面に余裕がない人はそうとも限りませんが、普通は検査を希望します。

なので、嫌な顔をされたら、詐病である可能性がそこそこあります。

利益を得たいのに検査でお金かかっちゃうんじゃ、、、「じゃあ大丈夫です」と向こうから去ってくれればありがたい話です。

検査のために何度も通院していただく必要があること

詐病の人は利益をささっと得たいので、何度も検査に来るのを面倒に思います。(利益を得られる目安があるならそれでも我慢して来ますが)

検査の予約状況によっては、結果が全部揃うまでに時間がかかること、何度も来る必要があることを説明し、それで面倒に思って去ってくれればありがたい話です。

結果に整合性がなければ診断書を書けない可能性があること

詐病の人は利益をささっと得たいので、長引くことを嫌います。

診断書に求める内容に対して、結果によっては診断書を書けないことがあることを最初から伝えておきましょう。

頑張って何度も通院して、検査費用もたくさんかけたのに、診断書を書いてもらえなかったら、、、何のためにお金と時間費やしたの?となるわけです。

後々言うと逆上される可能性が高いので、はじめに言っておくことが大切です。

逆に言うと、「診断書は書けると思いますよ」などと軽く言うようなことはせず、「(診断書を書くのは義務だが)場合によっては診断書を書くことを拒否するできる」というニュアンスを言っておくとよいでしょう。

この医者は簡単に書いてくれそうにないな、と思わせたら勝ちです。諦めてどこか簡単に書いてくれそうな他の医者を探しに行くことでしょう。

診断書を書く書かないによるメリット・デメリット

診断書を書く場合

メリット

  • 診断書さえ受け取れば相手はこちらに用はないので、関わることがなくなる
  • それに伴い、以後余計な時間を使わずに済む

デメリット

  • 診断書の内容によっては、診断書の提出先から問い合わせを受ける
  • 診断書を簡単に書いてくれる医師、医院、病院として、そういう輩が集まってくる可能性がある
  • 最終的にそういう評判になる可能性がある

診断書を書かない場合

メリット

  • 理にかなって書かないのであれば問題はなく、自己満足を得られる

デメリット

  • 相手とのやりとりが長く続く可能性がある(引用元の裁判含め)
  • 口コミやSNSなどで悪く書かれる可能性がある

まとめ

  • 詐病とは、嘘をついて利益を得ようとする行為
  • 医師は診断書交付の義務があるが、正当な事由があれば断れる
  • 他覚的検査異常がなくても、異常がないことを含め症状に対する診断書は書くべき(判例然り)
  • 具体的な書き方は様式が決まっていないものは医師の判断で書いてよい
  • 眼科にくる詐病(詐盲)患者は、検査で詐病であることはバレバレ
  • 対応はメリット・デメリットを考え各自にお任せ

他注意点としては、いつも以上にカルテ記載はしっかりとしておくこと、余裕があれば他の医療従事者に同席してもらうなどしておくと、より良いかと思われます。

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