メガネの見え方の拡大・縮小 強い度数はコンタクト矯正を

経験的に、メガネでの見え方はメガネをかけていない状態と比べると、大きさが異なって見えることは知っている人も多いかと思います。

近視のメガネをかけると、かけていないときと比べて若干、物が小さく見えます。

逆に遠視のメガネをかけると、かけていないときと比べて若干、物が大きく見えます。

これらの内容を具体的に解説していきます。

目次

メガネでの像の拡大・縮小率

メガネの度数が1D変わるごとに、約1.4%前後、物の大きさが異なって見えます。

近視のメガネだと、物が小さく見えます。

遠視のメガネだと、物が大きく見えます。

細かいことをいうと、近視や遠視の原因(軸性・屈折性)やそのほかの要因によって変わってきますが、多くは上記の拡大率・縮小率が当てはまることが多いです。

具体的な計算式(メガネ)

  • SM=1/(1-kL)

SM:像の拡大率
k(m):(レンズ後面~角膜頂点の距離)+0.003(角膜頂点~入射瞳の距離)
L(D):レンズの度数

メガネでは基本的に、目の表面からレンズまでの距離は12mmとなっているので

0.012+0.003=0.015で、以下のような式になります。

  • SM=1/(1-0.015L)

SM:像の拡大率
L(D):レンズの度数

具体的には、

-1Dのメガネレンズ

-1Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-1)) = 1/1.015 = 0.985

拡大率が98.5%すなわち、1.5%分小さく見えることになります。

-2Dのメガネレンズ

-2Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-2)) = 1/1.030 = 0.971

拡大率が97.1%すなわち、3.1%分小さく見えることになります。

-3Dのメガネレンズ

-3Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-3)) = 1/1.045 = 0.957

拡大率が95.7%すなわち、4.3%分小さく見えることになります。

-5Dのメガネレンズ

-5Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-5)) = 1/1.075 = 0.930

拡大率が93%すなわち、7%分小さく見えることになります。

-10Dのメガネレンズ

-10Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-10)) = 1/1.150 = 0.869

拡大率が86.9%すなわち、13.1%分小さく見えることになります。

-20Dのメガネレンズ

-20Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(-20)) = 1/1.300 = 0.769

拡大率が76.9%すなわち、23.1%分小さく見えることになります。

+3Dのメガネレンズ

+3Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(+3)) = 1/0.955 = 1.047

拡大率が104.7%すなわち、4.7%分大きく見えることになります。

+5Dのメガネレンズ

+5Dのメガネレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.015(+5)) = 1/0.925 = 1.081

拡大率が108.1%すなわち、8.1%分大きく見えることになります。

コンタクトレンズでの像の拡大・縮小率

コンタクトの度数が1D変わるごとに、約0.3%前後、物の大きさが異なって見えます。

近視のコンタクトだと、物が小さく見えます。

遠視のコンタクトだと、物が大きく見えます。

具体的な計算式(コンタクト)

先程の式

  • SM=1/(1-kL)

SM:像の拡大率
k(m):(レンズ後面~角膜頂点の距離)+0.003(角膜頂点~入射瞳の距離)
L(D):レンズの度数

において、レンズ後面~角膜頂点の距離を0とできるので

  • SM=1/(1-0.003L)

SM:像の拡大率
L(D):レンズの度数

となります。

具体的には

-1Dのコンタクトレンズ

-1Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-1)) = 1/1.003 = 0.997

拡大率が99.7%すなわち、0.3%分小さく見えることになります。

-2Dのコンタクトレンズ

-2Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-2)) = 1/1.006 = 0.994

拡大率が99.4%すなわち、0.6%分小さく見えることになります。

-3Dのコンタクトレンズ

-3Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-3)) = 1/1.009 = 0.991

拡大率が99.1%すなわち、0.9%分小さく見えることになります。

-5Dのコンタクトレンズ

-5Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-5)) = 1/1.015 = 0.985

拡大率が98.5%すなわち、1.5%分小さく見えることになります。

-10Dのコンタクトレンズ

-10Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-10)) = 1/1.030 = 0.971

拡大率が97.1%すなわち、2.9%分小さく見えることになります。

-20Dのコンタクトレンズ

-20Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(-20)) = 1/1.060 = 0.943

拡大率が94.3%すなわち、5.7%分小さく見えることになります。

+3Dのコンタクトレンズ

+3Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(+3)) = 1/0.991 = 1.009

拡大率が100.9%すなわち、0.9%分大きく見えることになります。

+5Dのコンタクトレンズ

+5Dのコンタクトレンズでの像の拡大率

SM=1/(1-0.003(+5)) = 1/0.985 = 1.015

拡大率が101.5%すなわち、1.5%分大きく見えることになります。

メガネとコンタクトの拡大率の比較

以上の例を表にすると、以下のようになります。

メガネ・コンタクトでの像の拡大率

コンタクトレンズではメガネに比べて、像の大きさの変化がかなり少ないです。

これは、左右の目の度数が異なる場合に、メガネよりもコンタクトで矯正したほうが、見え方の左右差が小さく、疲れにくいということにもなります。

不等像視の限界と不同視

不同視とは左右の目の屈折度数が±2D以上異なることを言います。

不等像視とは左右の見え方の大きさが異なることを言います。

不等像視では左右の見え方の大きさが、4~7%前後異なると両眼視ができなく、疲れやすくなります。(個人差はあります)

片眼と比較して、もう片眼が-3D近視よりであれば、メガネ矯正だと拡大率が95.7%すなわち、4.3%小さく見えるわけであり、左右差が3Dあると不等像視を感じる可能性があります。

一方、コンタクトレンズでの矯正では、左右差が-3Dあっても拡大率は99.1%であり、不等像視を感じることは少ないと思います。-10Dでやっと2.9%の縮小であり、コンタクトレンズであればかなりの度数をカバーできます。

つまり、不同視の人の矯正は、メガネよりもコンタクトのほうが、不等像視を生じにくく、それによる見え方の苦痛を感じにくくなります。

まとめ

  • 近視用レンズでは物は小さく見え、遠視用レンズでは物は大きく見える
  • メガネのほうがコンタクトレンズより拡大・縮小率が大きい
  • 目の度数の左右差が大きい場合は、コンタクトレンズ矯正のほうが疲れにくい

もっと細かいことを言うと単純にこの式だけで考えられる内容ではないのですが、大まかにはこのように理解していていいかと思います。

世の中の多くの人は近視でメガネやコンタクトを使っているので

  • メガネだと大きさが小さくみえやすく、コンタクトだとそうなりにくい
  • 左右差が大きい場合はコンタクトレンズでの矯正をがおすすめ

と覚えておけばよいと思います。

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