ルクスターナの薬価、両眼1億円!日本第2位 治療は2施設で

遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子治療薬、ルクスターナ®(一般名:ボレチゲン ネパルボベク)が国内承認を受けまだ日が浅いですが、その薬価が決まり、第一次投与施設が決定したようです。

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ルクスターナの薬価

  • 片眼あたり4960万226円
  • 両眼で9920万452円

日本国内で承認されている薬では第2位の価格です。(1位は脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬ゾルゲンスマで約1億6700万円)

薬剤は1瓶に0.5mL入っております。

眼内注射(網膜下注射)にて投与しますが、値段が高すぎて震えてしまいますね。

ルクスターナの適応疾患

  1. 遺伝子検査にてRPE65遺伝子の両アレル性変異を認める網膜ジストロフィー患者
  2. 適切な検査により、生存網膜細胞を有する網膜であること

ですが、RPE65遺伝子変異は以下の疾患にみられるようです。

  • レーベル先天黒内障
  • 網膜色素変性症の一部

ルクスターナの使用前遺伝子検査

  • PrismGuide IRDパネル システム

こちらはsymex株式会社による検査キットで、2023年5月31日に国内で製造販売承認を受けています。

こちらは、遺伝性網膜ジストロフィ(IRD)の原因となる82の疾患原因遺伝子の同定を目的として、血液からゲノムプロファイルを取得します。

→シメックス株式会社ホームページ(https://www.sysmex.co.jp/news/2023/230605.html

遺伝性網膜ジストロフィの患者さんに、上記の遺伝子検査を行い、その上でRPE65変異がある患者さんで、生存網膜細胞を有する網膜の患者さんに、以下の2施設で投与可能となります。

ルクスターナの投与施設

投与施設は、以下の2つになります。

ホームページを見る限りいずれも眼科医が20人前後在籍しているそれなりの規模の施設です。

”第一次”投与施設なので、今後件数が増えたり、時期を追って投与施設が増える可能性もありますが、現状この2施設に紹介という形になりそうです。

東は東京医療センター、西は神戸アイセンター病院、という感じでしょうか。

まとめ

  • ルクスターナの薬価4920万(両眼で約1億円)
  • 遺伝子検査はPrismGuide IRDパネル システムで
  • 投与施設は東京医療センター、神戸アイセンター病院

PrismGuide IRDパネル システムを行える施設もまだ未定であり、まだ決まっていないことも多いですが、着実に準備ができてきています。

価格が果てしなく高いですが、年間予想投与本数は非常に少ない見込みであり、投与経験ができる医者も治療を受ける患者も国内にごく一部となる薬剤です。

保険で治療できるということであり、患者負担もごく一部になります。ただし予想投与本数自体が少ないため、抗VEGF薬などと比べると総医療費は圧倒的に少ないと思われます。

このような重度の視機能障害を持つ人への治療ができるようになったことはよいことかもしれませんが、治療できる人は限られるため、我々一般の眼科医ができることとしてはロービジョンケアが重要かと思います。

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