視力がすごい良い人は遠く夜空に浮かぶ星の光を綺麗に見ることができると思います。
一方、視力が少し低い人は、星の光が見えにくいですが、視線を少しずらすと光っているのが見えることがありませんか?
この現象についてです。
昼と夜で、目の使われる細胞は違う
この現象を説明する上で大事なのは、昼間と夜では目の中の使われている細胞が違うという点です。外の視覚情報が目に入ってきて、網膜の細胞が光を受けて、それを脳に伝えて脳で見ている訳ですが、その光を受けて働く網膜の細胞の種類が、昼と夜で異なります。
- 昼(明るいところ)= 錐体(すいたい)細胞
- 夜(暗いところ)= 杆体(かんたい)細胞
※杆体は桿体とも書きます。どちらも一緒ですが、眼科学(書籍)では”杆体”と記載されています。
物が見えるまでの仕組みはこちらを参考に
錐体細胞とは
物を見る中心(視界の真ん中)にたくさんいる細胞で、明るいところで活発に働きます。
日中や、明るい部屋の中では、いろんな物の色合いが分かりますよね?
つまり、錐体細胞は明るいところで働いて、主に色を認識します。
杆体細胞とは
一方杆体細胞は、物を見る中心から少し離れたところ(視界の真ん中より少し周囲)にいる細胞で、暗いところで活発に働きます。
暗いときは色彩まではよくわかりませんよね?
つまり、杆体細胞は暗いところで働いて、明るさに反応します。
錐体細胞・杆体細胞の分布
視界の中心辺りに対応する網膜を黄斑部(おうはんぶ)と言います。(その部分の網膜の色が黄色っぽいからです。)
錐体細胞は黄斑部に多い細胞で、黄斑の中の更に中心(中心窩(ちゅうしんか)と言います)に数のピークがあります。
一方、杆体細胞は中心窩から少し離れたところにその数のピークがあります。
- 網膜の中心に多い錐体細胞
- 中心から少し離れたところに多い杆体細胞
夜空の星が消える現象
では、夜空を見る環境で働いている細胞はどちらでしょうか?
夜空を見るとき、明るいと星は見えませんよね。
つまり暗い環境で見ていることになり、働く細胞は杆体細胞です。
「夜空の星を見ようとすると星が消える現象」は以下のようにして起こります。
暗いところで夜空の星を見ようとします。しかし暗いところで働く杆体細胞は、視界の中心(目線の位置)にはいません。中心から少し離れたところにいるのです。
従って、星を見ようと視界の中心で見ようとすれば(視線を合わせようとすれば)するほど、細胞がいないところで見ているので、見えないのです。
一方視界の中心から少し離れたところに杆体細胞はたくさんいます。従って視線を見たい星から少しずらすと、星が視界の中心から少し周囲に移るので、見えるようになります。
まとめ
- 「見る」ための細胞は2種類ある(錐体細胞、杆体細胞)
- 錐体細胞は明るいところで働き、網膜の中心にいて、色に認識する
- 杆体細胞は暗いところで働き、網膜の中心から少し周辺のところにいて、明るさを認識する
- 星を見るときは視線を少しずらすと見やすくなる
メガネをかければはっきり見える、という場合はピントの問題も重なっています。
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