ダビンチなどの頭低位手術における注意点の眼圧・緑内障について

頭低位、気腹などによる操作でさまざまな影響が全身に出ますが、眼科領域に関しては眼圧が上がります。

既報では緑内障の進行や網膜中心動脈閉塞症などの報告がありますが、眼科医の総意ではないかもしれませんが個人的見解、知り合いのベテラン緑内障専門医師の言葉を踏まえた上で見解を述べると、

「あまり気にしなくてよい」です。

目次

眼圧は体位変動する

眼圧は、秒で変化し、一日の間で変化し、季節で変化し、体位で変化、その他の影響で変化します。(下記参照)

体位変化では、座位<臥位<頭低位<逆立ち、というように頭の位置が心臓より下にくるほど眼圧は上がります。

上大静脈圧の上昇→上強膜静脈圧が上昇し、房水循環の出口の圧が上がるため房水が流出されず、眼圧が上昇します。

原理が静脈圧の上昇なので、頭と心臓の位置、体位の角度によって変化し、同じ角度であれば時間が経つとプラトーに達すると思われます。

なぜ気にしなくてよいのか

眼圧の変動がそこまで大きくないことが多く、時間も短時間だからです。

眼圧の正常値は約10~20mmHgです。

頭低位手術時の眼圧の報告をいくらか見てみましたが、眼圧の上昇は~30mmHg程度、ひどい例で~40mmHgとの報告が多かったです。勿論、眼圧が上がり過ぎないように、角度の調整や麻酔薬の投与などしていただいているかもしれません。

具体的に「眼圧が〇〇mmHg以上が〇〇時間以上続くと視神経にどれだけ影響がでる」なんていうのは分かりません。眼圧が高くても緑内障になっていない人もいるし、眼圧が低くても緑内障が進んでしまう人もいるし、人によってさまざまだからです。

眼科において、眼圧が30mmHg台であればまずは眼圧下降薬を投与して、外来であれば人によりますが早ければ翌日診察、入院患者であれば朝診察してからの夕方診察として、8時間後ぐらいに診察すると思います。

眼圧が40mmHgを超えてくると「だいぶ高いな」と思います。

勿論眼圧が上がる原因はいろいろあるので、原因によって対応は異なりますが

薬で下げようとする場合は、40mmHgであっても点眼や内服などを出して、同じようにフォローになるかと思います。

つまり30~40mmHg程度であれば、最短でも8時間程度の間は何度も眼圧フォローはしていないことが多いです。

頭低位手術の時間に関しては詳しくは知りませんが、これよりは短いですよね。

つまり、眼科医ですら

眼圧30~40mmHg程度の人の経過を数時間毎に細かくフォローすることは少ない

のに

頭低位手術の数時間で眼圧が30-40mmHg程度になることのリスクは、緑内障の進行という意味ではほとんど気にしていないということです。その間に進行しうる緑内障の程度は、経験的にそこまで重視されていないということです。

また、たとえ視神経が障害されたとしても、緑内障では中心視野から障害されることは少なく、周辺視野が多少障害されても日常生活にはほとんど影響しません。

気にしたほうがよい症例

ということで、そこまで気にしなくてよいという話ですが

あえて言うのであれば、緑内障の末期の人は注意です。

残存視野がほとんどなく、ほんの少しだけ残っている部分でなんとか見えているような人の目が高眼圧にさらされると、残っていたわずかな視野が消失して完全に見えなくなる可能性があります。

従って、コンサルトする意味としては、「末期の緑内障は存在しないか」という意味になります。

末期の緑内障の人は見えにくい自覚症状も出ているはずだし、多くの場合は眼科通院歴があると思います。

緑内障のない人、初期の緑内障の人はほとんど心配する必要がない、ということです。

まとめ

  • 体位で眼圧は変動し、頭の位置が低いほど上昇する
  • 頭低位手術での眼圧上昇の程度は、眼科手術後の患者などで普通にいる
  • 視野は周辺視野から障害されることが多く、その場合は自覚症状は乏しい
  • 緑内障なし、初期の緑内障の人はあまり気にする必要はない
  • 末期緑内障患者だけは、注意をしたほうがよい

性格的なこともありますが、頭低位手術によって緑内障にならないか、手術を受けないほうがよいかなど強い心配をしていた方が過去いました。

全く異常がなかったので、「気にしなくて大丈夫」「手術は必要なら受けたほうがよいと思う」とお伝えしましたが、心配させすぎる必要はないということですね。

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