同側性複視、交叉性複視についてです。
どっちが内斜視でどっちが外斜視か、暗記では忘れるかもしれませんが、実は非常に簡単な話です。
- 眼位ずれの方向と反対の方向に像が見える(最重要)
つまり - 内斜視眼で見てる像は外側の像、外斜視眼で見てる像は内側の像、上斜視眼で見える像は下方の像
- 遮蔽した目と同じ側の像が消えたら「同側性複視」、反対側が消えたら「交叉性複視」
- 内斜視は同側性複視、外斜視は交叉性複視
斜視の方向と見える像の位置
「眼位ずれの方向と反対の方向に像が見える」
これが最重要で、斜視の像の見える方向に関しての全てです。
どっちがどっち?と思ったら以下のことを思い出せば一発で思い出せると思います。
「上の視野は網膜のどこに相当する?」
答えは超簡単、下の網膜ですね。網膜の場所と外界の像の位置は、中心窩を中心として、逆になります。緑内障の視野や、BRAOなどの網膜血管疾患を考えれば誰でもわかるはずです。AOで下の網膜が障害されたら上の視野が悪くなりますよね。
では以下はいかがでしょう。
- 右眼が内斜視の状態の像(グレーの★)はどちらに見えるでしょうか。
-
本来、物を見るとき、目は中心窩で物を見ているため、赤丸のところに像が映るはずです。しかし右眼は内斜しているため、物(★)は中心窩よりも内側(青丸)に像が映っている状態です。中心窩より内側での網膜の視界は、注視物より外側の視界を反映しますよね。これだけです。(なので答えは右側のグレー★が正解)
これが、「眼位ズレの方向と反対側に像が見える」ということです。
- ではこの内斜している目を隠したら、消える像はどちら?
-
右眼で見ていたのは、黒★より右側のグレー★だから、右側の像が消えるわけです。隠した目と同じ側の像が消えるので、「同側性複視」といいます。これだけです。
同様にして逆に考えると、外斜視は交叉性複視になります。
上下斜視、回旋複視も同様
上下斜視、回旋複視も同様にして考えることができます。
- 上斜視眼の場合は、下方に像が見えます
- 下斜視眼は、上方に像が見えます
- 内方回旋斜視では、外方回旋している像が見えます
- 外方回旋斜視では、内方回旋している像が見えます
どれも、麻痺眼の本来の像が映る位置(中心窩)から考えて、どの位置の網膜に投影されているか?
その位置に投影された像は、どの方向に見えるか?を考えればわかります。
まとめ
- 眼位ズレの方向と反対の方向に像が見える
- 内斜視では外側、外斜視では内側、上斜視では下方、下斜視では上方に像が見える
- 内方回旋斜視では外方回旋像、外方回旋斜視では内方回旋像が見える
- 斜視眼を遮った際に消えた像が、遮った目と同じ側が同側性複視、反対側が交叉性複視
- 同側性複視は内斜視、交叉性複視は外斜視
※網膜対応異常がある場合はこの限りではありません。
今回は麻痺筋の同定を簡単に理解する方法でしたが、同側性複視は内斜視、交叉性複視は外斜視ぐらいは暗記でもいいかもしれません。ただし同側性、交叉性複視の意味は知っておいたほうがよいですね。
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