コンタクトレンズを長期間、高頻度で使う人は、角膜(黒目)に血管がニョキニョキ生えていることがあります。
本来角膜は透き通っている、透明な構造物です。
そこに周囲の結膜(白目)から、血管がニョキニョキと生えてくる(角膜新生血管・角膜パンヌス)ことがあります。
はっきり言って、綺麗なものとは言えません。
- 角膜は無色透明で血管がない組織
- 血流のある組織は血液から酸素や栄養を取り入れて代謝を行う
- 酸素は血液内のヘモグロビンによって運搬される
- 角膜には血管がないため涙と房水から栄養を取り入れる(酸素を含む)
- 角膜が酸素不足になるとそれを解消しようと新たな血管が生える(新生血管)
角膜は本来、無色透明
角膜は本来、無色透明、透き通った組織です。
透明なため、その先の虹彩の色が見えるため、黒目(くろめ)と言ったり茶目(ちゃめ)と言ったりします。
虹彩の色素は人種によって異なるので、茶色だけでなく、青色やグレーなどの瞳の色があります。
角膜が無色透明である理由は
角膜は外の光情報を集めて、目の奥の網膜に届けることが役目だからです。
その角膜が汚れていたり、透明じゃなかったら光情報は綺麗に目の奥に届きません。
そうすると光が適切に入ってこないため、「見にくい」状態になります。
角膜新生血管(角膜パンヌス)とは
角膜新生血管とは
角膜(黒目)が酸素不足の状態に陥ることで角膜の細胞が飢餓状態となり(酸素=細胞が生きていく上で必要)
それを解消しようと周囲から血管が生えてきている状態です。(血管の中の血液によって酸素は運ばれる)
googleで画像を確認する
→google画像検索「角膜パンヌス」(㊟目の画像が大量に出てきます)
細胞が生きていくには酸素が必要で、酸素は血管の中の、血液のヘモグロビンによって運搬されます。
そのため、人体は体中には至るところに毛細血管という非常に細いが伸びており、たとえば皮膚であればどこを切っても大体出血します。
角膜は光を通して目の奥の網膜に光を届ける役割をしているので、透明でなくてはいけません。
血管が根を広げるように生えていたら、血管によって影になってしまい見にくくなります。
従って、角膜は血管・血液以外から酸素・栄養を取り込めるようになっています。
角膜は外側は涙、内側は房水によって栄養されています。
涙はまばたきをすることによって、角膜の表面に塗りたくられて保湿・角膜の栄養を行っています。
コンタクトレンズによる影響
その角膜の表面にフタをするような形で上から乗せるのがコンタクトレンズです。
コンタクト=接触 ですから、直接角膜に接触させているわけですね。
特にソフトコンタクトレンズは角膜前面すべてを覆います。
そうすると涙は直接角膜には塗りたくられず、コンタクトの上に塗りたくられることになります。
角膜自体には涙が届きにくくなるわけですね。
そうすると涙の役割であった、目の表面の保湿、角膜表面の栄養がしくくなります。
結果、ドライアイになりやすくなったり、角膜新生血管が出現するわけですね。
角膜新生血管の見た目
非常に細かな血管なので、自分では気づかないかもしれませんが、眼科医が診れば簡単にわかります。
コンタクトヘビーユーザーなのかどうかもわかります(ヘビーユーザーはこの角膜新生血管が生えていることが多いので)
私は仕事上、綺麗で問題のない目にはそのようにお伝えしていますが
角膜新生血管のある目が、綺麗な目かと言われると
本来血管がなく透き通っているところに、血管がニョキニョキ生えている状態なので、はっきり言って綺麗な目とは思えません。
角膜新生血管が少しあるくらいであれば、特に問題はありません。
角膜新生血管を予防するには
酸素不足が原因で新生血管が生えるので、酸素不足にならないように気を付けることが大事です。
具体的には、
- 酸素不足になりにくい(酸素が通りやすい)コンタクトレンズを使う
- コンタクトレンズを使う時間・頻度を減らす
の2つです。
酸素透過性の高いコンタクトを使用する
コンタクトをしていても酸素を通しやすい素材のものを使うことで、酸素不足を軽減できます。
酸素透過性は、そのレンズがどれだけ酸素を透過できるかということで
レンズの素材(酸素透過係数、Dk値)と、レンズの厚み(t値もしくはL値)によって変わってきます。
この2つを加味した、酸素透過率(Dk/L値)が重要となってきます。
具体的には、シリコーンハイドロゲルという素材のレンズが酸素透過率が高いです。
ちなみに酸素透過率が低いレンズを終日使っていたり、連続で毎日使っていたりすると、角膜が酸素不足となり浮腫を起こしたりします。
1984年のHoldenらの報告では、角膜浮腫を起こさないDk/L値として、1日使用で24、連続装用で87としています。
つまり、安全に適切に手入れなどをおこなって使っていても、
コンタクトの種類によってはコンタクト自体の影響で目には悪影響が出る、ということです。
酸素透過率の高いレンズは下記参照
コンタクトをする時間を減らす
具体的にコンタクトをする日を週〇日以下、1日〇時間以下、というような決まりはありませんが、上述のようにレンズの種類にもよりますが、長時間・頻回にレンズを付けていると目への悪影響が出てくる恐れがあります。
支障がないのであればコンタクトは外しておいた方が目への負担はないので
以下のことを検討するとよいと思います。
自宅内でのコンタクトをする時間を減らす
眼鏡ではなくコンタクトレンズをする理由は人それぞれですが、大きくは
- 見た目的な問題(眼鏡姿があまり好きじゃない)
- 見え方的な問題(眼鏡の見え方が好きじゃない、不便)
- 使い勝手の問題(眼鏡を掛けている感覚が好きじゃない)
- スポーツをする(眼鏡だと危ない)
このあたりだと思います。
家の中では誰かに眼鏡姿を見られる心配もありませんし(家族以外)、慣れている自宅内では見え方の細かな質はそんなに気にしなくて済みます。
なので、具体的には
学校や仕事から帰宅後、外出予定がないときはコンタクトはその時点で外しましょう。
自宅内では眼鏡でokです。
コンタクトを付けている時間を減らすことで、角膜への酸素不足はやや解消されます。
休コンタクト日を作る
休肝日ならぬ、休コンタクト日です。
学校や仕事がない日、休日で誰かと出かけるような予定が特にない日などに、コンタクトをしない日を作りましょう。
そうすることでその日は丸一日、角膜への負担からは解消されます。
コンタクトを普段から使用している眼科医で、休コンタクト日を作っている人は結構います。
まとめ
- コンタクトレンズで角膜は酸素不足になりやすい
- 酸素不足が続くと、角膜に血管が生えてくる(新生血管)
- さらに続くと角膜に白濁混濁を残すことがある
- 酸素透過率の高いレンズを使う
- 長時間、高頻度の使用を避ける
透き通った、透明な目の表面の、角膜。
血管がニョキニョキ生えている状態は、決して美しくはありません。
確かにカラーコンタクトなどでは瞳が大きく見え、綺麗に見えると感じる人も多いと思いますが、特にカラーコンタクトではおしゃれ用に作られた’’だけ”のものは、品質があやしい物もあります。
綺麗にしていたつもりが本体が綺麗でなくなっていくのは、どうなのかな、と個人的には思います。
ぜひ、目に優しいコンタクトレンズを選んで、休コンタクト日をつくりましょう。
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