結膜結石(conjunctival concretion)についてです。
基本的には結石は結膜下に存在しますが、結膜から露出してくると石が結膜や眼球表面を傷つけることがあります。
露出結節を綿棒などでとったり、点眼薬で涙液調節することが治療となります。
概要・病態
眼瞼結膜および涙丘に生じる白色~黄白色の小さな固形物。球結膜には生じない。通常は結膜下に存在し、その状態では通常自覚症状はない。結膜表層に露出すると異物感の原因なったり、擦過による角結膜上皮障害などを起こす。
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原因
瞼結膜に存在するヘンレの陰窩の偽腺管構造(=窪み)に、脱落した上皮細胞が凝集・変性したもの。通常、他の臓器でいう「結石」とは石灰化・カルシウムの沈着を考えるが、結膜結石に石灰化はない。
症状
結膜下に存在する場合は通常自覚症状はない。結膜下から露出すると、異物感や角結膜上皮障害を呈する。
所見・診断
細隙灯顕微鏡で結石を確認すればよいので、容易に診断できる。フルオロセインにて染色をすると、結石の結膜露出部が染色される。
治療・予後
露出している結石を除去する。露出している結石は、綿棒などで軽く擦るだけで簡単に脱落する。露出していないものは当たり前だが取れないし、結膜から出血するだけである。
上皮障害に対しては角膜保護点眼薬を適宜処方する。
脱落した上皮細胞が凝集し変性したものなので、時間が経てば再発する。
経験談とコラム
一般的に見られる疾患であるが、自覚症状を強く訴える患者は、多くは過去に結石の除去を受けたことがある再発患者である。
麦粒腫や霰粒腫などの罹患歴、それらの切開術後、眼瞼手術後など、過去に眼瞼に何らかの炎症や処置が加えられている眼に多く(だいたい結膜がいびつでボロボロになっている)、高齢ほど多くは認めるが自覚症状を強く訴えるのは中高年が多い印象。
また、結石が露出していない状態で自覚症状を訴える場合がある。
推測の域として、結石により結膜表面がガタガタになることで涙液が綺麗に塗られずBUTが短縮し自覚症状やSPKなどを生じる可能性はある。実際にSPKがある場合もあるが、なくて自覚症状を訴える場合もある。
過去に結石除去歴がある患者だと、露出結石がなくても結石除去を求められることがある。
露出していない結石は綿棒で擦っても当たり前だが取れないし、出血する。鋭針などでほじくればとれるが、必ず出血するし(出血自体はすぐ止まるが)、その処置のせいで更に結膜が傷付くので、再発が増えるようにも思う。
そのような状況を説明しても、処置をしないと「前の医者はしてくれた」と強い不満感を訴えてくる人も多く、厄介な疾患の印象がある。
そのような場合は無理には取らずに、ある程度処置してる風にすると満足されるかもしれない。(個々人の判断に任せます)
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