非感染性ぶどう膜炎、片眼性の非肉芽腫性、線維素性虹彩毛様体炎の発作を、急性前部ぶどう膜炎(acute anterior uveitis:AAU)という。
ある程度調べましたが、明確な診断基準は見当たりませんでした。
目次
疫学
- 中年男性に多い
- 年間発生率12/10万人(フィンランドでは23/10万人)※1)
- 日本での全ぶどう膜炎における頻度は5.5%(第4位、2016)※2)
※2009年の調査の際は6.5%(第3位) - HLA-B27と関連性が強い(HLA-B27が陽性の場合は、HLA-B27関連ぶどう膜炎、という分類になる)
- HLA-B27陽性率は人種差があり、日本人では0.8-1.0%程度と低い
症状
前駆症状なく突然発症する
- 片眼性
- 充血
- 眼痛
- 羞明
- 視力低下
同一眼、または僚眼に再発するという経過をとる
所見
発作時は
- 片眼性
- 非肉芽腫性ぶどう膜炎
- fine KP
- 前房蓄膿
- フィブリン析出
- 虹彩後癒着
- 高眼圧
前房蓄膿はBehçet 病に比べ粘稠性に富む蓄膿であるため、ニボー形成せずに中央が盛り上がることが多い
”前部ぶどう膜炎”であるため、脈絡膜炎・網膜炎は認めない(認める場合は、他のぶどう膜炎を鑑別する)
鑑別・検査
感染性眼内炎
第一に感染性を否定する
内因性感染性眼内炎の鑑別のために、全身疾患の有無、発熱の有無、採血検査(WBC、分画、CRP)などを確認する
他の非感染性ぶどう膜炎
非感染性が確実であれば治療を開始し、同時に他の非感染性ぶどう膜炎の鑑別を行う(HLA検査や消化器症状、腰痛、背部痛などの確認)
- HLA-B27関連ぶどう膜炎
- Bechet病(HLA-A26、HLA-B51)
- 潰瘍性大腸炎(HLA-B52)
- 強直性脊椎炎
- 乾癬性関節炎
- 糖尿病虹彩炎
治療
基本的には局所的な治療のみでよいが、反応が乏しければステロイドの全身投与も考慮する
- ステロイドによる消炎
- 瞳孔管理による瞳孔癒着解除・予防
- 眼圧が高い場合は、緑内障点眼やダイアモックス内服など
治療への反応は良好だが、白内障の進行や、虹彩後癒着を残すことがあり、その場合は続発性の高眼圧、緑内障を生じることもある
まとめ
- 急性発症の
- 前眼部のみの
- 片眼性で、中年男性に多く
- HLAが関与するぶどう膜炎
ということがキーワードで、診察所見からは概ね推定できるのですが、最終的には除外診断という形になると思います。
まず感染性眼内炎を否定し、採血や全身精査で他のぶどう膜炎との鑑別を行う形になります。
HLA関連ぶどう膜炎との分類がちょっとはっきりしない感じは否めません。
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