2022年10月から、日本眼科学会の眼科専門医から日本専門医機構の新専門医制度の専門医へと変わります。
その要点と考察です。
要点
要点は以下の通り。
- 2022年10月時点の日本眼科学会の眼科専門医は、新専門医制度の専門医へと移行する
- 2022年10月以降は新専門医制度で単位を集め、資格を更新する(5年で50単位)
- 学会などでの単位数は方式が変わる
- 単位取得以外にも資格更新に必要なことがある
- 2022年9月30日までに必要単位数を取得しておくこと
以下、上記の項目に関して
①新専門医制度の専門医への移行
新専門医制度は2017年4月から始まっており、現在後期研修医4年目の医師は皆その制度下で後期研修をしている。
眼科で言うと2022年に専門医試験を受ける人たちから、新専門医制度下で研修していたことになる。
昨年以前に眼科後期研修を始めた人には無関係だった。
が、現在後期研修医4年目の眼科医は2022年6月の試験で合格すると、10月より「新専門医制度下の眼科専門医」となる。彼らは今後専門医の資格を新制度下での方法で行う。
それに合わせて今回、2022年10月より昨年以前に眼科専門医を取った人も全員一括で、新専門医制度下の眼科専門医へと新制度に移行することになった。
- 既に専門医の方は、自動的に新専門医制度の専門医として登録される
- 今年専門医試験を受ける方は、合格後は最初から新専門医制度の専門医として登録される
- 今後専門医試験を受ける方も同様に、新専門医制度の専門医として登録される
既に専門医を持っている人は2022年10月に新専門医となり、次回の更新は皆2027年になるということになります。
「日本眼科学会の専門医から、日本専門医機構(第三者機関)の専門医に形式上変わる」ということですね。
②③新制度下での資格更新の単位集め
今まで日本眼科学会では5年で100単位を取ることが専門医資格更新に必要だった。
日本専門医機構の新専門医制度では5年で50単位と必要単位数が少なる。
勿論、ラクに単位取得できるわけではなく、今までの単位認定を見直し、基本的には今まで取得できていた単位数が1/2以下になる。
学会や集会の単位取得も厳しくなっており、1時間に5-6人の演者が行う一般講演では、単位が取得できなくなった。
④単位取得以外にしなくてはならないこと
主に、下記二つがあります。
- 経験症例の50症例分の書類報告(5単位分取得できる)
- e-Learningなどの受講
50症例の報告。これは、初診日、年齢、性別、病名、治療法、転帰、診療施設名 これらを一行に簡潔に書くようなのだが、これ、果たして何の意味があるのか?手間なだけじゃないか?5年間で50症例にも満たない患者しか診ない医師なんていないのに、これ必要か?
e-Learningは適宜職員研修のため病院で取り入れられていると思います。それ以外にもまたやるの?という感じです。
医療倫理や感染対策、医療安全、医療事故、地域医療、医療福祉、医療経済、臨床研究など。これらは確かに大事だけど、二重にやらないで済むようにしてくれればなと思う。
⑤2022年9月30日までに現行制度での必要単位数の取得
2022年10月から眼科専門医は一斉に新専門医となり、次回の更新は2027年になります。
それまで取得していた単位数は人によって違いますが、それなのにまとめて新専門医になるのは不平等。
なので、元来の専門医更新予定時期ごとに、必要単位数を指示してその分を取得していたらスムーズに新専門医になれるよ、という話です。
足りなくても新専門医には最初は更新できますが、次回の更新時に必要な単位数が増えます。
専門医カードに記載してある有効期限 | 2022 年 9 月 30 日までに取得すべき単位 |
2022 年 9 月 30 日 | 100 |
2023 年 3 月 31 日 | 90 |
2023 年 9 月 30 日 | 80 |
2024 年 3 月 31 日 | 70 |
2024 年 9 月 30 日 | 60 |
2025 年 3 月 31 日 | 50 |
2025 年 9 月 30 日 | 40 |
2026 年 3 月 31 日 | 30 |
2026 年 9 月 30 日 | 20 |
2027 年 3 月 31 日 | 10 |
何のための新専門医制度なのか
以前から賛否両論はありました。個人的見解ですので正しい正しくないはありません。そして眼科医の意見です。他科のことは知りません。
日本専門医機構が認定する「専門医」とは、それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに先端的な医療を理解し情報を提供できる医師と定義されます。
日本専門医機構が認定する「専門医」とは、それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに先端的な医療を理解し情報を提供できる医師と定義されます。
日本専門医機構
→専門医の質を保つための目的、現在の専門医は学会毎に認定されるが認定基準が統一されておらず専門医の質に懸念。
国民の皆さんにとって専門医制度は医療機関を受診するときのわかりやすい目安になります。
全国のどの地域の皆さんにも質の高い医療を届けることは専門医機構の願い……地域や診療領域のバランスがとれた専門研修
日本専門医機構
→質が保たれた専門医を名乗ることで、国民にとって利点がある。どこでも質の保たれた専門医の医療を受けれるように地域偏在をなくす。
そもそも専門分野が違うのに、そこに統一された基準の認定なんて必要なのか?というか統一基準なんてできるのか?理想的な医師像への教育とか、医療倫理や感染対策、医療安全といったことなら統一できると思うが、それぞれの科の内容を統一することはできないし結局そこは所属学会に委ねられますよね。
試験受ければ皆合格できる専門医試験がある一方で合格率50%以下の専門医試験があったりしたら、それは確かに専門医の質が診療科ごとに異なるとは思う。が、そんなことあるんですか?(知らないが) だとしたら是正したほうがよいかもしれません。(去年の眼科専門医試験の合格率は66%ぐらい)
専門医の質を保つことが目的の制度だが、実際やっていることは更新手続きの煩雑化、基幹病院での研修の必須、地域偏在化是正のための病院毎の採用人数の制限、など。これで本当に質が保てるのか?思うに、どんな環境にいても成長のための努力を惜しまない人間がいて、後輩の成長のためにできる限りの時間を割く上司がいる一方、その逆もある。質が保たれるかどうかは、個人の意識とその環境によるところが大きいと思う。この制度で、個人の熱意をアップさせ、研修病院としての質をアップさせ、後輩指導の上級医の意欲をアップさせることができるのならよいと思うが、果たしてどうなのか。
本当に良い医者というのは一定数いるし、ちょっといろいろと心配な医師も一定数いると思う。これは制度を変えたから変わるようなものではない気がする。つまりこの新制度も、根本的に専門医の質を改善させるぞ!というより、型式上の制度に思えてしまう。まぁしかしこれで専門医の質が疑われるようなことがあったらこの第三者機関に責任があると思われるので、おそらく多少厳しくはなるのだろう。
地域偏在のことは確かに対人口比などで是正されたほうがよいとも思う。人数が集まり過ぎて医師一人当たりの担当人数が減りハイポになる病院がある一方、人が少なすぎて全て自分で請け負うハイパーになる病院がある。これら日々の診療の差が積み重なって臨床の実力差は出てくるはずが、専門医試験さえ通ればどちらも同じ専門医になる。でも、しっかりとした基準の試験させ通っているのであれば、別にどちらでも恥じたり自慢気になることはなく、基準を満たした専門医ということだろう。
ん?
つまり、しっかりとした基準の試験を作ればいいのか。ならば合格点を全科統一すればいいんじゃないかな(完結)
まぁいろいろ言いつつも
役員名簿見ても偉そうな人たちがバ~っと並んでいるようで、結局偉くないその他多数の人たちは偉い人の言うこと聞くか、聞かないで専門医資格を更新しないで生きていくしかありません。
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