Indian J Ophthalmol. 2019のCoats disease: An overview of classification, management and outcomes、その他参考書からまとめました。
目次
概要
- 男(75%)
- 子ども(平均5歳)
- 片眼性(95%)
- 非遺伝性
- 網膜内、網膜下滲出液を伴う網膜毛細血管拡張症
1908年に滲出性網膜症として初めて報告された疾患で、すべての年齢層に発症するが、20歳以下に好発(平均年齢5歳)して、75~80%が男性、95%が単眼発症で、遺伝性や全身的な異常所見は伴わない疾患。
病因
- 血管内皮異常による血液網膜関門の破綻、滲出液の漏出
- 周皮細胞異常による毛細血管拡張
症状
- 視力低下
- 斜視
- 眼痛など
漿液性網膜剥離による視力低下で気付かれることが多いが、視力低下を訴えない乳幼児では斜視や網膜剥離による白色瞳孔で気付かれることがある。進行して血管新生緑内障をきたすと眼痛を伴うことがある。
所見・診断
- 眼底周辺部に不規則に拡張した異常網膜血管
- 毛細血管瘤、網膜動静脈吻合、末梢非灌流領域など
- 黄白色の網膜下滲出物
- 滲出性網膜剥離
- 視力低下に伴う斜視
- 網膜剥離に伴う白色瞳孔
基本的に眼底周辺部から発症するが、網膜剥離が進行すると視力低下・斜視などを示し、網膜全剥離となると白色瞳孔を示す。
必要な検査
- 眼底検査
- 蛍光眼底造影検査(FA)→NPA、MA、動静脈吻合の確認
- 超音波Bモード→石灰化所見なし(網膜芽細胞腫との鑑別)
病期分類
- Stage1:網膜血管の拡張
- Stage2:網膜血管の拡張と滲出性変化
- A 中心窩外の滲出性変化
- B 中心窩を含む滲出性変化
- Stage3:網膜血管の拡張、滲出性網膜剥離
- A 網膜部分剥離
- 1 中心窩を含まない
- 2 中心窩を含む
- B 網膜全剥離
- A 網膜部分剥離
- Stage4:網膜全剥離と血管新生緑内障
- Stage5:終末期
視力を残す上では中心窩に病巣が及ぶ前に治療を行うことが重要。
鑑別診断
- 網膜芽細胞腫
- 未熟児網膜症
- 家族性滲出性硝子体網膜症
- 第一次硝子体過形成遺残
- トキソカラ症
- 脈絡膜血管腫
- コロボーマ
- トキソプラズマ症など
眼球摘出の可否を踏まえると網膜芽細胞腫との鑑別が重要だが、こちらは平均発症年齢が1-2歳で、男女差がなく、40%が両眼性である。
治療
- レーザー光凝固
- 凍結療法・冷凍凝固
- ステロイド局所注射
- 抗VEGF薬(補助的)
- 硝子体手術(重症例)
- 眼球摘出(失明し痛みを伴う場合)
無灌流領域への光凝固、異常血管への光凝固により血管閉塞を目指す。光凝固や冷凍凝固を行う。硝子体手術は網膜全剥離が対象?最近は抗VEGF薬の併用による滲出抑制を試みる報告がある。ステロイド局所療法は日本の参考書には記載なし。
予後
視力1.0の良好な視機能から失明までさまざま
適切に早期に治療を行うことが重要
まとめ
- 非遺伝性で、男児の片眼に生じる網膜血管拡張疾患
- 滲出液による硬性白斑、網膜浮腫、網膜剥離を生じる
- 進行すると全網膜剥離となり失明する
- 治療は無血管野、異常血管の凝固
- 網膜芽細胞腫との鑑別が特に重要
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