複数の点眼薬を使用する際は、〇分以上時間をあけましょう

正しい点眼薬の付け方に関する情報です。

点眼薬を複数使用する際には、最低5分あけてから次の点眼薬を付けるようにしましょう。

  • 5分あける理由
  • その根拠となる研究
  • 5分あけないとどうなるのか

などを解説していきます。

点眼薬が多い人は大変ですが、できる限り5分以上あけてから次の点眼薬を指すようにしましょう。

目次

5分間あける理由

「先に点眼した薬剤が充分に眼に浸透する前に、後から入れた点眼薬によって洗い流されてしまい、十分に効果を発揮できなくなる可能性があるため」です。

上記ページにも記載していますが、点眼1滴の量は、眼球表面に貯められる水分量より多いため、目薬は点眼すると基本的に目からあふれ出ます。

あたりまえですが、あふれた分の目薬は目には作用しません。

先に入れた点眼薬が充分に浸透する前に、次の点眼薬を付けて、水分がまぶたからあふれ出てしまうと、目薬の効果を下げてしまう可能性があるということですね。

5分あける根拠となる研究

5分あける根拠となる論文は以下のもので、1976年に発表されています。

James W. Sieg, Joseph R. Robinson. Mechanistic Studies on Transcorneal Permeation of Pilocarpine|J Pharm Sci. 1976 Dec;65(12):1816-1822.

もう50年近くも前に調べられたことが今も重要視されているということですね。

こちらの論文では、ウサギの目にピロカルピン点眼を使用し、その後生理食塩水を点眼した際に、時間によってどれだけピロカルピン薬剤量が減っているかを調べています。

ピロカルピン点眼を単独で使用した際の薬剤量を100%としたときに

  • 30秒後に生理食塩水を点眼すると、ピロカルピンは70%の減少(70%分洗い流される)
  • 2分後に生理食塩水を点眼すると、ピロカルピンは30%の減少(30%分洗い流される)

とされ、5分後以降ではほとんど減少しなかったとされています。

ウサギの目であることや、ピロカルピン点眼に限定されるなどのいくつかの制限はありますが、この論文をもとに点眼間隔を5分間あけることが正しいとされています。

点眼薬が多いと点眼するのにも大変

たくさんの種類の点眼薬を使っている人は、実は点眼作業だけで結構大変です。

たとえば、4種類の目薬をそれぞれ1日4回(朝・昼・夕・寝る前)に使用していたとします。

最初につけた目薬から5分あけて次、5分あけて次、5分あけて次と点眼すると、最低でも15分はかかります。それを1日4回していたとすると、最低でも15分×4で1時間はかかります。毎日点眼だけで1時間かかると考えると、なかなかの負担でしょう。

この時間が手間で5分あけずに次々点眼していたとすると、これまでお話したように、付けてはいるけど効き目が薄くなっている点眼薬が複数ある可能性もあります。

そうすると、「点眼しているのに全然治らない・全然効き目がない」という勘違いが患者にも医者にも生じる可能性があります。実際は、「点眼はしているけど、次の点眼までの時間が短すぎて洗い流されてしまい、十分に点眼の効果がでていいない」だけかもしれません。

そうすると、効き目が乏しいのでさらに点眼薬を追加される可能性もあるでしょう。こうなってくると、もはや何がどうなっているのかよくわからなくなってしまいますね。

したがって、

患者さん側はできる限り5分以上あけて点眼をすることをしていただきたく

一方、

医者側は患者さんの負担を考え、できる限り点眼薬の種類を減らすことが大切になってきます。

まとめ

  • 複数の点眼薬を使うときは、5分以上あけてから使う
  • 5分未満だと薬の効果が弱まる可能性がある
  • そうなると薬自体が効いていないのか、判断に迷う可能性がある
  • 薬の効果がないと判断されると、さらに点眼薬が増える可能性がある
  • 複数の点眼薬を使うのは負担であるため、医者は点眼の種類を減らすように努力する

たかが点眼と言えど、奥が深いという感じでしょうか。

点眼間隔の時間を5分以上あけてさえすればこの点において点眼が効いていない、ということはなくなるので、複数の点眼薬を使っている人はできる限り5分以上あけるように心がけて下さい。

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