網膜裂孔と網膜円孔の違いについて、レーザーの適応も含めてまとめました。
網膜裂孔と網膜円孔の違い
網膜裂孔
- 網膜が硝子体牽引により、裂けて孔が開いた状態
硝子体の牽引が原因です。基本的には牽引が残っています。
網膜円孔
- 網膜菲薄部(格子状変性など)から、網膜に孔が開いた状態
硝子体牽引に関係する場合としない場合がありますが、格子状変性部は硝子体の癒着は強いです。
萎縮円孔と言うことも多いです。
レーザーが必要な孔は?
レーザーが必要なのは、
- 硝子体牽引がかかっている孔
です。
硝子体の牽引により網膜と網膜下にすき間ができ、網膜剥離が進行していきます。硝子体牽引がなくとも孔の周囲が既に剥離となっている場合、ゆっくりと進行していきます。
- 1乳頭径以上の剥離がある場合はレーザーではなく観血的手術適応
となりますが、1乳頭を超えていても孔の形状、硝子体牽引の程度などによってはレーザーで進行停止することもあります。が、停止せずに進行することもありますので、まずはなるべく早く網膜硝子体専門医師に相談ですね。
レーザーが不要な孔は?
- 牽引が取れている網膜裂孔、網膜円孔
- 萎縮円孔
は厳密には適応とはなりません。しかし
- 網膜剥離の既往がある場合
- 白内障術後に生じた場合
などの孔は適応であり、孔があいていて怪しい場合はレーザーしておいて問題はありません。格子状変性も同様にそれだけではレーザー治療の対象となりません。
つまり、
- 孔があるだけ
- 網膜が薄くなっているだけ(網膜格子状変性)
だけではレーザーは不要です。外来でたまたま見つけた網膜格子状変性にレーザーする必要はありません。
一方、孔が開いている場合、硝子体牽引が完全に取れているのかどうかが定かであればレーザーをしないという選択もありますが、必ずしも判断ができない場合もあるため、孔があれば心配であればレーザーをしておいてよいと思います。
- 孔があるだけ
- 網膜格子状変性があるだけ
でも、反対の目に網膜剥離の既往がある場合にはレーザー適応となるので、予防的レーザーをしておきましょう。
まとめ
- 網膜裂孔→硝子体牽引で裂けてできた孔
- 網膜円孔→網膜菲薄部からできた孔(硝子体牽引はあるのとないのがある)
- レーザーは牽引のある孔には必要
- 格子状変性、萎縮性円孔など牽引の取れている孔には不要
- 反対眼に網膜剥離の既往がある場合、同側眼の違う領域に剥離がある場合などの円孔、格子状変性にはレーザーする
レーザーで治るのであればそのほうが侵襲性、その他負担は小さいのでレーザーしたほうがよいですね。
1乳頭径以上剥がれてしまっている場合は基本的には手術になります。
今回は孔の形状の違いですが、孔の大きさ・孔の場所によっても進行速度が大きく変わりますので、なるべく早めに網膜硝子体術者に相談するのがよいです。
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