角膜内皮細胞の正常値 スペキュラーマイクロスコープ

角膜内皮細胞とその検査であるスペキュラーマイクロスコープの正常値についてまとめました。

目次

角膜内皮細胞の機能・生理・解剖

  • 単層扁平な六角形である角膜内皮細胞の層
  • 厚みは4-6µm
  • 分裂能は乏しく障害されると周囲細胞が拡大して置換される
  • 細胞間は密着結合(tight junction)で結合している
  • 加齢とともに細胞数は減少する
  • 角膜実質↔前房間の水分、栄養、電解質のやり取りを行う(バリア機能とポンプ機能)
  • 障害されると角膜実質浮腫、上皮細胞間浮腫を起こす
  • 500個/mm2以下で水疱性角膜症のリスク大
  • 内皮細胞の栄養は房水から得られるため、毛様体機能低下では内皮が障害されやすい

スペキュラーマイクロスコープ

角膜内皮細胞の測定する機器

角膜疾患や白内障手術前後で測定する

CD:細胞密度cell density

1mm2あたりの内皮細胞の個数(cell/mm2

一番よく目にする数値

正常値は年齢により異なるが

  • 20-40歳で3000以上
  • 60歳以上で2500-3000程度

となっており、2000以下だと異常値とされる

年0.3-0.7%程度で減少する

400-500/mm2以下だと内皮細胞機能不全となり、水疱性角膜症となるリスクが高い

AVG:平均内皮細胞面積

そのままの意味で内皮細胞の平均面積

1mm2に3000以上が正常値と考えると、

内皮細胞の平均面積は1mm2/3000=330µm2

となる

細胞数が減少すると、内皮細胞は分裂せずサイズが大きくなって隙間を埋めるため、細胞面積が大きくなります。つまり面積が大きいほど異常値と言えます。

CV値:変動係数coefficient of variation

  • 角膜内皮細胞の大きさのばらつきを示す値、細胞の大小不同の程度を表す
  • 細胞面積の標準偏差(SD)を平均値(AVG)で割ったもの
  • 角膜内皮細胞の大きさのばらつきを表している
  • 細胞密度よりも敏感なパラメーターとされている

正常値は

  • 20-40歳で0.20-0.25程度
  • 60歳以上で0.25-0.30程度

とされ、0.35以上が異常値とされる

6A:六角形細胞率

解析した細胞のうち、六角形を示す細胞の割合を示す

正常な内皮細胞は六角形をしているため、数値が高いほうがよい

正常値は

  • 20-40歳で65-70%程度
  • 60歳以上で60-70%程度

とされており、50%以下は異常値とされる

白内障手術により角膜内皮細胞は減る

白内障手術ではその手術操作により、角膜内皮細胞が多少障害されることがあります。

白内障の程度や術者の技術によって変わってきますが、元々内皮細胞が痛んでいる患者に手術をする際は、水疱性角膜症となるリスクが高いため、事前に充分な説明と手術中の注意が必要となります。

正常値まとめ

  • CD 2500-3000cels/mm2以上
  • AVG 300µm2程度
  • CV値 0.25程度
  • 6A 60-70%程度

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