視力検査ではよく「目は細めないで見てください」と言われると思います。
経験的に、目を細めるとぼやけていたのが少し鮮明に見えることは知っていると思います。
これ、目がよくなっているのか?
→なっていません。
焦点深度とは
この現象を説明するのに、焦点深度(しょうてんしんど)という言葉が関係してきます。
焦点深度とは、「見やすい奥行の範囲」のことを言います。
普段は気にすることはありませんが、視力検査のときは、ギリギリ見えるところまでを測ることになります。(視力が1.0~1.5以上ある、視力が良い人は限界までは測りませんが。)
そんなときには、この焦点深度が視力検査結果に影響してしまうので、注意が必要です。
目を細めると、焦点深度が深くなる
目を細めると、焦点深度が深くなる=見える奥行きの幅が広がる現象が起こります。
結果的には、より遠くまで(細かい文字が)見える状態になります。
細かいことは物理学的な話になるので省略しますが、「そういう現象が起こるだけ」で、目がよくなっているわけではありませんし、目がよくなるわけでもありません。
一番よく見える眼の幅(瞳孔径)は、2.4mmと言われています。従って目を細め過ぎても原理的には見えにくくなります。
視力検査で目を細めるとダメなのか?
→あまりよくありません。
なぜなら視力の正確な数値が求められないからです。視力が正確でないと、病気の状態の判断に影響がでます。
眼科医にとって視力は非常に重要な指標になります。
病気が悪くなっているのに、無理して視力をよく出そうと頑張ると、意外と視力が出ているから治療はこのままでもよいかもしれない、という判断になる可能性もあります。
頑張って良い視力を出そうとする人もいますが、わからなかったら「わからない」と答えるのがベストです。
まとめ
- 目を細めて見ると見やすくなるのは、焦点深度が深くなるから
- 単なる物理学的な現象である
- 目がよくなっている訳ではない
- 視力検査で目を細めると正確な結果が得られないため、しないほうがよい
視力検査は目をリラックスした普通の状態でおこなって、見えにくい場合は頑張らずに「見えない」と答えましょう。
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