初期研修医を終えたあとに何科に進もうか考えている皆さん
もし眼科が頭の片隅にでも少しでも浮かぶようであれば、この記事を読んでおきましょう。
まったく興味ない方は、読まなくても良いです☆
今回は眼科の特徴として、良いところ悪いところ踏まえお伝えしていこうと思います。
眼科の特徴 5選
眼科の特徴をまとめていきますが、全ての特徴は「病院ごと」によって変わってきます。
なので多少の「ん~そんなことないと思うけどな」という内容には目を瞑っていただけると幸いです。
1.眼科は外科×内科
ちょっと語弊があるかもしれませんが
- 手術が必要な患者と
- 手術じゃない治療が必要な患者(主に薬剤治療)
という意味です。
マイナー外科というくくりによく入れられていますが、眼科の病院・クリニックによっては非常に多くの件数のオペを行っており、もはやバリバリの外科です。
最近は日帰り手術も増えていますが、入院対応のところもたくさんあります。外科として手術で治す眼科疾患がたくさんある一方、手術以外に関しては外来で治療するのが基本です。
たまに内科的疾患(薬剤治療)で入院が必要となることもあります(ステロイドパルス療法、血液浄化療法など)が、大病院・専門病院でなければ手術以外の入院にはあまり対応していません。
よって大雑把に言うと
手術治療の外科×外来治療(薬剤治療)の内科
という科であり、「眼」限定ではありますが、手術したい人もそうでない人も大丈夫な科です。ただし専門医を取るためには一定数の手術経験が必要です。
手術に関しては一般の外科よりも執刀開始時期は早いと思います。早いところだと専攻医1年目で白内障手術を完投できます。また、手術は基本的に椅子に座って行うので、立ちっぱなしで疲れる、ということはありません。
2.外来が主戦場

内科や外科では若手医師は入院治療がメインになると思います。入院患者をある程度診れるようになってから、外来という形です。
眼科の主戦場は最初から外来です。
入院患者ももちろん診るし、診れるようにならなくてはなりませんが、入院患者は基本的には手術患者で、術直後の診察がメインとなります。一方、外来患者はそれ以外の内容の患者が多く、それプラス退院後の患者を診たりします。
眼科では入院中の患者にすることはあまり多くはありません。手術後の患者にしても、全身治療が必要な患者、その他にしても、治療をしながら経過を見ていく、が基本です。
そういう意味では、病棟患者の急変はかなり少ないです。つまり眼科で夜間呼び出されることは基本的には多くないです。
入院患者は手術後の患者が多く、他にステロイドパルスなどの全身治療が必要な眼科疾患、頻回点眼や全身投与含めて抗生剤が必要な重症眼感染症の患者(自己管理できて通院できれば通院でも可)、安静が必要な状態で自宅では安静が保てない人、などです。ただし一般的な眼科においては、ほとんどの場合は手術患者です。
それ以外の人はほとんど外来でみていく形になります。
したがって、外来診療能力(診察技術、スピード、接遇など)が重要です。
外来を担当する時期は病院によって異なりますが
- はじめのうちは上級医について勉強する外来
- 予診として診察したあとに上級医に再度診察してもらう外来
- 最初から自分で初診を診察する外来
などいろいろあります。さっさと外来に出たほうが揉まれて大変ですが、さっさと臨床能力はつくと思います。
このあたりは就職先として考えている病院の眼科で確認しましょう。
3.入退院が多い
これは手術を行っている眼科ということになりますが、眼科では全人類がなる老化現象「白内障」という病気があります。
白内障を手術する場合、現在は日帰りも多くなっていますが、まだ入院手術対応のところも多いです。
白内障手術はある程度の術者であれば半日で5-10件程度はできます。(入れ替えのシステムをうまくやればもっとできます)
病院の入院キャパシティ、看護師の人員などに依って制限されることもありますが
次々に手術の入れ替え、入院の対応、退院の対応(基本術翌日には退院です)となり、入退院がトップクラスで多い科になります。(手術の件数としてもトップクラスに多いです)
それに伴って入退院の手続きが必要ですから、事務作業が非常に多い科でもあります。
4.診るのは基本的に「目」だけである

これ当たり前なのですが、眼科なので基本的に「目」しか診ません。(まぶた含む)
ここに関しては、いろいろ悩む人が多いと思います。
「せっかく医師になったのに、目しか診れない医師というのもな~」という内容です。
せっかく医者になったのだから、身体の健康も診たいって人は、眼科は向きません。身体のことも診れる眼科医はほとんどいません。一方、目を診れる眼科以外の医者というのも、ほとんどいません。
「専門性が非常に高い」ということですね。
ここは個々の考え方でよいと思います。
病気の全部を自分ひとりで診て対応することは不可能で、自分が対応できない部分は紹介・コンサルトというのが医療者間の一般的な認識・対応です。その上で、どこまで自分の手で対応できるようにしたいか、広く浅くなのか、狭く深くなのか、ということをよく考えていただいて、その上で決定すれば良いだけです。
他のマイナー科に関しても、検査部門の科に関しても同様です。恥じることは何もなく、それぞれの役割を果たせばよいと個人的には思います。
5.忙しいかどうかは病院による

これはこの通りです。
外来診療時間は基本的に病院で決まっているので、帰りが遅くなるかどうかは、
- 入院患者の人数
- 緊急対応を行っているか
が大きく関係しています。
入院患者がいる眼科の場合、基本的には
- 入院患者対応→外来患者対応・手術対応→入院患者対応
が一日の流れになります。緊急の受け入れが多いかどうか、外来診察後の入院患者をどれだけ診る必要があるか、で仕事終了時間は大きく変わってきます。
入院患者がいない、少ない眼科では午後の診療終了時間を過ぎた瞬間に帰れる眼科がある一方
逆のような眼科では、外来から病棟に上がってからの入院患者の診察や事務対応、場合によっては緊急患者が来たりして帰るのが深夜近くになる病院もあります。
- 手術件数はどの程度あるか
- 入院患者数がどのくらいいるか
- 緊急の受け入れ、緊急オペをどれくらい行っているか
が忙しさに非常に関係してくるので、確認しておくとよいかもしれません。
教育体制も影響する

忙しさは教育体制にも影響します。
後期専門医として就職した病院の眼科での後輩指導が
- 熱いのか
- 冷めているのか
で、冷めていればさっさと帰れるけど勉強は自分でしなくてはいけない一方、熱心だとその分時間は取られてしまい、帰る時間は遅くなると思います。
後輩指導はしないといけないけど、早く帰りたい、教えてもらいたいけど、早く帰りたい、、、、難しいところですよね。
まとめ
- 眼科はバリバリの外科
- 手術はするもしないもok
- 外来が主戦場
- 手術するところでは入退院が多い(事務作業が多い)
- 目の高い専門性を持つ
- 目以外はできなくなる
個人的には眼科を選んで後悔したことはないです。
目は外界の感覚情報の80%以上を視覚情報として取り入れている感覚器です。
感覚器として非常に大事なものであり、重要な器官と言う点でも個人的には好きです。
女性入局者も多く、働きやすい(やすそう)という点では、ある程度認知されているのではないでしょうか。
ただし、上で書いてきたように、ハイポかハイパーかは病院によって全然違います。この点はどの科においても言えると思います。
眼科のことに興味を持っていただいた方、既に眼科に決めている方は是非以下の記事も診て、予習しちゃいましょう。
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